![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/147227536/rectangle_large_type_2_5cd4d0a2de6e944b3a05b47ee48ef9ba.jpeg?width=1200)
好きなものは
好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷
戦前から戦後の混迷を生きた俳人、鈴木しづ子の一句。ここに詠む好きなものは、どこか危うげで近づきがたいものに見える。いや、好きゆえに決して触れてはならぬと、大人の一女性の鋭い感性が見えてきそうである。
たんに「好き」とか「かわいい」とかで、近づいては所有しようとする幼さはまるでない。破調ともいえる一見バラバラな好きなものの列挙は、一息に吐くような勢いに乗ってすんなりまとまっている。「じゃあ、あなたの好きなものは?」と聞かれているような気がするも、私は思わず口ごもってしまう。
奔放意のままにこの時代を駆けるように生きたというこの俳人が、突然その消息を絶ってから今年で72年になるという。
好きなものは玻璃薔薇雨駅指春雷
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?