追憶 (第3回 私立古賀裕人文学祭 応募作品)
スーパーでお惣菜に値引シールが貼られるのを待っていた。
今日は1バック490円の豚バラが10%引きに。
あと10分、精肉コーナーは寒いので
乾物のコーナーから様子を窺う。
海苔の値段が高いのか安いのか分からないけれどお金を出して買おうとは思わない。
日曜日の午後4時。家族連れが多い。
呼び込みくんの音楽。
はしゃぐ子供の声。
イライラしてきているのが自分で分かる。
ブルっと身震いする。
体が冷えきっていた。
バカみたい。
あたしの10分49円、
時給でだいたい300円だって。