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とーと
2024年5月17日 16:05
(1465文字)北条さんを観察している。窓際の席でパソコンに向かう北条さんの薄くなった頭頂部に、傾き始めた陽の光が反射する。歳は50代半ばか後半か。僕が入社して8年。北条さんは全く変わらない。たった8年で、50代の男性の外見に大きな変化は見られないと思うが、髪の薄さも全く変わらない。少しは進行してもおかしくないと思うが。北条さんはいつも姿勢正しく座り、一日中パソコンに向かって入力作業を
2024年3月8日 12:43
2月に思いついた時に書いていた54文字。
2024年1月19日 00:02
お題:「雪化粧」から始まる物語文字数:595文字雪化粧を纏って白くなった街は音を包み込む。久しぶりに感じる静けさに、私はカーテンを開ける前から雪が降ったことを悟った。朝の光はグレーの空にぼんやりと浮かび、その前を音もなく白い雪がゆっくりと落ちていく。ここに暮らし始めて何度目の冬になるのか。私は数えようとしてやめた。数えきれないほどの季節を繰り返した気がする。それでもまだ旅の途中だ。
2024年1月11日 05:10
(667文字)とある研究所で、忘れたい記憶だけをピンポイントで消すことができる装置が開発された。研究所では収益を得るべく、記憶消去サービスを開始したが、あまりヒットしなかった。しかしなぜかある職業の人にだけ、絶大な人気があって続いている。今日もまたひとり、その職業の希望者がやってきた。「はい、ではね、忘れたいことを頭に思い浮かべください」白衣を着た博士に促され、昔のマッサージチェア