マガジンのカバー画像

easy poem

35
簡単な詩を掲載。自由に。詩誌に投稿はしないだろう詩、のちのち推敲して投稿するかもしれない詩。
運営しているクリエイター

2023年11月の記事一覧

easy poem「橙」

easy poem「橙」

欲しいものは
手に入らないものばかり
朝焼けを見るには
早起きをする必要がある
夕焼けを見るには
誰かが教えてくれたらいい

JR武蔵野線は東京23区の外側を
扇状にぐるりと回る橙色で
いくつもの私鉄とJRと繋がり
便利な路線だが
どちらかと言えばマイナー路線だ
JR武蔵野線に乗れば
都心でも田舎でもどこにでも
乗り継いで行ける
だから今でも好きだ
子供の頃
祖父母の家に預けられる時は
母が駅の自

もっとみる
easy poem「桃」

easy poem「桃」

「クリトリスにバターを」

蜂蜜よりもメイプルシロップ
が、好きですし
バターよりもメイプルシロップ
が、好きです

透明を説明する為には
色がない
という事を証明する必要があります
描かない、こと
書かない、こと
はたまた
欠かない、こと
青い透明ならば
白い湯船の水紋
あるいは北欧人の瞳
もしくは単純に空や海

さて、わたくしは
ある男を決して
呼び捨てにしたりは致しません
読者のいない物語の

もっとみる
easy poem「緑」

easy poem「緑」

最後に教わったのは
黒で書かれた数種類の記号が
赤と緑の枠の中にあって
緑の枠の方がはっきり見えたら
度数が強すぎるということ
片目ずつ行い最後に両目で行う
それで赤と緑のバランスとる

これは眼鏡店における検眼の話である

父は分厚いレンズの眼鏡をかけていた
母は77歳の今も裸眼で視力は良い
13歳の頃に父の遺伝子が蠢きだし
赤と緑のバランスを測るようになった
他人の赤と緑のバランスを測ることも

もっとみる
easy poem「青」

easy poem「青」

青空の月をスプーンで掬って
コップの水に浮かべて
飲み干したならば
月夜の湖で月のボートに乗り
岸辺を探して進む途中で
陸には何もないと
櫂を沈めて小さな波に
逆らわず漂い続けたらならば
きっと朝が来ない幸せが
待っているのかもしれない
なんて感傷的な気分も
青い食べ物は食欲を無くすのに
青い飲み物は夏によく似合って
海の家ではよく売れるのだと
バイトの男の子が言っていたけど
あれは暑い夏の出来事

もっとみる
easy poem「白」

easy poem「白」

白は正しい
白は清い
白は美しい

白星
白衣
白無垢
美白化粧品

校則
白い下着以外は着用禁止

警察
奴にはアリバイがある白だ

私は牛乳が飲めません
薄茶色の豆乳で育ちました

私の胸に赤い痕があります
あなたがつけた痕です
正しくないのか
清くないのか

乳白色の入浴剤を入れましょう
白い泡をいっぱい立たせましょう
それから一緒に白い湯に浸かりましょう
そうして私たちは真っ白になりましょ

もっとみる