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“心のつながり”にコミットすること【チベット旅行記3】

こんにちは、yukiです。

今回は、
チベットでの出会いの物語を通して、

「心に余白をもって、
 つながりを大切にして生きること」

を考えさせられたお話をしていきますね。

一昨日から投稿している、
チベット/ヤチェン訪問シリーズの
3回目となります。

よろしければ、
前回の記事もご覧いただけると嬉しいです。

僧侶トゥー・フォーとの出会い

チベットの草原

天気の良いお昼時。
草原を走ってきた乗り合いタクシーは、
ヤチェンに到着しました。

ヤチェンは、
草原を流れる河のほとりに作られた、
チベット仏教の修行場です。

町に入り口に綺麗なホテルがありましたが、
ちょっと高価だったので、
町の中で宿を探してみることにしました。

当然ながら、町にいるのは僧侶ばかり。
泊まれそうなところはなかなか見つかりません。

「こりゃ自力じゃ無理だ」
と商店の人に聞いてみようとしたところ、
ちょうどお店から出てきた僧侶と
ばったり出会いました。

僧侶は優しくほほえみ、
僕の大きな荷物を見て、
「もしかして、ホテル探してますか?」
と聞いてくれたのです。

「そうなんです!
 全然見つからなくて困ってしまって。
 どこか泊まれる場所ご存じないですか?」

「はい、知っています。
 よければ、案内しますよ。」

そう言って、
宿に電話をかけてくれました。

僧侶の名前は、
トゥー・フォーさんといいました。

「お昼ご飯はもう食べましたか?」

と聞かれたので、

「まだです」

と答えると、

「それなら、
 まずは一緒にご飯を食べましょう。」

と近くの食堂に連れて行ってくれました。

厨房の方に連れられ、

「これ、食べられますか?」

と聞かれたのは、
白く並んだ餃子のようなもの。

その餃子が、野菜と煮込まれ、
平たい鍋に乗って出てきました。

これが、優しい味で、
びっくりするほど美味しい!

しかも、代金も「私が出しますから!」と
笑顔でご馳走してくれたのです。

チベット料理

僧侶の道を選んだ理由

美味しすぎて、
夢中で料理をいただいた後、
しばらくお話ししました。

彼はチベットで生まれたのではなく、
中国人で、7年前の
33歳のときに僧侶になったといいます。

チベット僧になるために、
規則と法をみっちり学ぶのが
大変だったそうです。

つい、

「どうして、
 僧侶になろうと思ったのですか…?」

と聞いてしまいました。

すると、ほほえみながら、

「あなたは、
 人間は死んだらどこへ行くと思いますか?」

と逆に質問されます。

難しい質問の不意打ちを受け、
口をパクパクさせている僕を見て、
フォーさんは気持ちのいい声で笑います。

トゥーフォーさん

「私はね、それまで上海に住んでいたんです。
 人生に疑問を感じていた私は、
 ある時、何かチャレンジングなことを
 してみようと思ったんですよ。
 それで、上海から北京まで、歩いてみたんです。
 旅をしながら思ったことがあります。
 それは、
 “私たちはどこから来て、どこへ行くのか?”
 ということでした。
 私は、その答えを探すために、
 僧侶になろうと決めたんです。」

そんなストーリーがあったのですね…!

この、
“私たちはどこから来て、どこへ行くのか?”
という問い。

難しいですね。

かつてブッダが悟ったのは、

「この世に、
 他から一切独立して存在しているものは無い」

ということだったそうです。

この、
「“絶対的に独立して存在するもの”はこの世に無い」
という考え方が、

「空(くう)」

という概念です。

言い方を変えると、

「全てのものは、
 移りゆき姿を変えながらも、
 互いに関わり合いながら存在し続ける」

ということになります。

それはつまり、

「もとより生も死もない」
(生死は人間が作り出した概念に過ぎない)

ということ。

この「空」を理解すると、

「全てのものは、
 どこから来るわけでもなく、
 どこへ行くわけでもない」

ことに気づき(悟りを開く)、

あらゆる苦しみから、
心を解き放つことが
できるのだそうです(解脱)。

頭で理解できても、
悟りに到達する道のりはとても長いはず…。

フォーさんが、
求めている答えに
辿り着けることを願っています。

心の余白


思いがけず濃い時間を過ごして、
食堂の外に出ると、
太陽は出ているのに雨が降っていました。

「太陽と雨っていうのは、
 幸運のしるしですよ。
 ラッキーですね!」

と言われ、なんだか嬉しくなります。

「宿に行く前に、
 ゴンパ(僧院)に寄っていきませんか?」

と誘ってくれ、お邪魔することに。

ゴンパ内

なんか、
ものすごい空間に連れて行ってくださいました。
偉い方の会議なのか…?

フォーさんが五体投地をしたので、
僕も彼に続きます。
(五体投地は、前の町で教えてもらい、出来るようになってました)

帰り際に、僧侶の皆さんが、
両手で持ちきれないほどの
パンやお菓子をくださいました。

屋上の小部屋

ゴンパの外に出て、
宿に連れて行ってもらいます。

フォーさんは、
レイバンのサングラスを取り出しました。

チベットは標高が高く日差しが強いので、
サングラスをかけている僧侶は多いのです。

そして連れて行ってくれた先は、
なんと最初に行った、町の入り口のホテル!

紹介してもらったおかげで、
最初に提示された料金の半額になりました。
受付の人が同じなので、ちょっと気まずい笑

フォーさんに、

「部屋に荷物を置いたら、
 屋上に来てください。」

と言われたので、その通りにします。

屋上には小さな建物があり、
そこに案内されました。

屋上の小部屋

中には僧侶がいて、
彼はリンポチェ(高僧)に
中国語の翻訳をしている方だそう。

月餅、たくさんのナッツ、
お茶を出してくださいました。

ヤチェンを創設したリンポチェの本を渡され、

「英語に翻訳されてるから、
 読んでみてください!」 

と言われます。

渡された本

身構えてページを開きましたが、
写真の下に短い説明がついてる本。

意外にも読みやすく、
夢中になってしまいました。

部屋にいる間、
何人か僧侶がやって来ましたが、
皆さんとてもウェルカムにしてくれて
嬉しかったです。

豪雨、そして別れ

1時間半くらい、
屋上の部屋にいたでしょうか。

フォーさんが、
「ちょっと歩きましょうか」
というので、外へ出ます。

だいぶ雲行きが怪しくなってきましたが、
ヤチェンを見渡せる丘に登ります。

なかなか壮観ですよね!

ヤチェン全景

丘の斜面には、
高さ1mちょっとの
小さな小屋が立ち並んでいます。

「冬場は、1人づつ
 ここに籠って瞑想するんですよ。」

瞑想小屋

丘の上にいるうちに、突然、
雷が鳴ってザーッと豪雨が降り始めました。

2人とも傘を持っていなかったので、
走ってホテルに向かいます。

道端では、土砂降りのなか
五体投地を始める人たちも…!

ホテルに駆け込んだ時には、
もうお互いびしょ濡れ。

フォーさんは、笑いながら、
こちらの心配ばかりしてくれます。

「部屋で休んできてください。
 私はさっきの屋上の部屋にいますから」

と言ってくれたので、
着替えてすぐ屋上の部屋に行ったのですが…

もう誰もいなかったのです。

翌日も探しましたが、結局見つけられず、
お礼を言うことは叶いませんでした。

彼のあたたかい眼差しと空気感は、
今でも心に焼き付いているのです。

心のつながりにコミットする

たまたま出会った人に、
心からの慈愛をもって接し、
さも当然の如く去っていく…

そこには、損得も打算もありません。
ただ“心のつながり”があるのみです。

僧侶だから特別、というわけではありません。
挨拶しても、会釈すらしてくれない方だって
たくさんいました。

タルチョー

もし、自分だったら、
あのような行動ができるだろうか…?

そのとき大事になってくるのは、
自分のなかでの優先順位だと思います。

余計な思考が入らない
“心のつながり”
がもたらす幸福感って、
何事にも変え難いものです。

そこに、
メリットデメリットを
超えた価値を見出せるか、
コミットできるか。

正直、
疲れていたり、
いろいろ考え事をしていたり、
「生産性が無いことはしたくない!」
なんて思っているときは、

意識が外へ向いておらず
自分のことばかり考えてしまいます…

だからこそ、
自分のエネルギーを
高く保てるように工夫し、
心に余白をもって、

つながりを大切にする生き方をしていきたい。
これからも頑張っていこうと思います。


ここまで読んでいただき、
ありがとうございました!

実は、今回取り上げた出来事は、
5年以上も前に経験したことです。
(日記をつけているので、わりと詳細に思い出せるのです)

昔のことではあれど、
出来事をどう解釈するかは自分次第
だと思っています。

今回の出来事も、
当時は
「親切にしてくれて感激した」
という単純な感情でしたが、

再解釈することで
新たな学びを得ることができました。

過去の経験に隠れた貴重な学びを
見つけて驚くことは、多々あります。

なので、今後も、
時々こういったお話を
していけたらなと思っています。

それでは、
最後までご覧いただき
ありがとうございました。

良い1日をお過ごしください!



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