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【Creative Works2】コミュニティビルダー - ビルダー・コミュマネ・コミュデザの違い -


昨今、「コミュニティ」という言葉が本当によく連呼されている。

「これからの世の中はコミュニティだ」
「コミュニティマーケティングがこれから重視される」
「人は繋がりを欲している」

などなど、気持ち悪いくらい「コミュニティ」に関連することを唱えられている。

もちろん、「コミュニティ」を生業としているから、その必要性は十分わかる。

ただ、生業にしている僕でも「気持ち悪い」「なんか怪しい」「宗教っぽい」と思うくらい過剰。

そして、そう思う原因の大半は、過剰に必要性を唱えている人ほど、「お前本当にコミュニティのこと知ってんかよ?」って思う場面があるから。

その最たる例が、今回のサブタイトルにある3職種の違い。

「コミュニティビルダー(以下、ビルダー)」
「コミュニティマネージャー(以下、コミュマネ)」
「コミュニティデザイナー(以下、コニュデザ)」

別に国家資格でもないので、正直名乗ったもの勝ちなところがある。

だからこそ、流行りに乗っかっる人が多いし、正しい意味を理解しきれていない企業が安易に肩書を作っているケースもある。

この3職種の違いをちゃんと理解しているのか?
あるいは自分が名乗る肩書は何を価値発揮する職業なのかを言えるか?

ここがポイントである。

そりゃそうだ。「医者」が「自分は病気の診療や治療を業とする者」と認知していなかったら決して患者の病気を治すことはできないはず。

なので、今週の「クリエイターズ・ファイル」では、自戒の意味も込めて、

Q1. コミュマネ・コミュデザ・ビルダーの違いは何か
Q2. ビルダーは何を意識して仕事をしているのか。

ということを僕自身の経験から全てお話したいと思う。


≪目次≫
① 簡単な自己紹介
② ビルダー・コミュマネ・コミュデザの違い
③ 「コミュニティ」とは
④ 具体的な仕事
⑤ ビルダーの仕事で意識していること
⑥ 一流、二流、三流の違い【ビルダー編】


なお先週は、「コミュマネ」という職業についてnoteに書いている。
こちらも良かったら見てほしい。


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① 簡単な自己紹介
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冒頭あれだけ言っといて「そもそも、お前誰やねん」って話だ。

なので簡単に自己紹介をさせてほしい。

僕は現在、パラレルキャリアで活動中。コミュニティに関して言うと、コミュマネとビルダーの2つの肩書がある。

①株式会社ニット:コミュニティマネージャー(正社員)
<仕事紹介>
a.日本各地、世界各地にいる400人のリモートワーカーさん同士
b.300社以上いるクライアント様同士
c.aとbの双方同士
の3パターンで横のつながりを生み出し、
ニットのミッション・ビジョンを体現する仕事

ミッション:「あなたがいてよかった」をすべてのひとに
ビジョン:未来を自分で選択できる社会をつくる
②YADOKARI株式会社:チーフコミュニティビルダー(業務委託)
<仕事紹介>
・まちづくりや場づくりの課題をコミュニティづくりの面から提案、実施、サポートして解決に導く
・ビルダーの育成(教育の設計から育成プログラムの実施・フォローなど)


一方、自分自身でコミュニティを立ち上げて運用もしている。
「HITOKOMA(好きをシェアするコミュニティ)」


なのでコミュニティにはどっぷり浸かっているというわけだ。



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② ビルダー・コミュマネ・コミュデザの違い
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では本題に入る。
この三職種、似ているようで全く違う。


端的に言うと、

■ ビルダー
コミュニティ (人の集合体) を、ビルドする(作り出す)人

■ コミュマネ
コミュニティ(人の集合体)を、マネージする(管理する) 人

■ コミュデザ
コミュニティ (人の集合体) を、デザインする(描いて導く)人

より解りやすく言うと、

■ビルダー
コミュニティを生み出す人(0→1)

■コミュマネ
既存のコミュニティを育てる人(1→100)

■コミュデザ
機能していなかった既存コミュニティを自走するよう設計する人(1→∞)

画像1


一方3職種で共通するのは、「ハードを作らないこと
何か建物や空間を作ったりすることは、この3職種がやる仕事ではない。

より具体的に見ていこう。
どういう依頼内容に対して、どういった価値をだすかで考えると理解しやすい。

■ ビルダーの概要
<依頼内容>
●●というスペースはあるものの、廃れていて盛り上がっていない。
いつも人が居て、盛り上がっている場所にできないか?

<提供する価値>
このスペースに根付くコミュニティを作り出し、定期的に人が集まる仕組みを作り出す。そして新しい価値や考えが生まれる場へと展望させる。
■ コミュマネの概要
<依頼内容>
◆◆というコンセプトや目標を持った●●というコミュニティがあるんだけど、なかなかメンバー内での交流が生まれていないし、コンセプト実現に至っていない。繋がりを作って、コンセプトや目標を実現することはできないか?

<提供する価値>
コンセプトや目標を実現するためにどういった取り組みが必要か洗い出し、施策を行う。そしてメンバー感のつながりを作る仕掛けを用意して、メンバーがコンセプトやゴールを一丸となって目指すよう仕向ける。
■ コミュデザの概要
<依頼内容>
●●という地域があるが、何か実現したい目標やビジョンがあるわけではない。そして地域の課題についてもどこか他人事で関わろうとしない。住民が地域の課題をジブンゴト化して取り組むようにできないか?

<提供する価値>
地域に住む人たち同士がつながって、自分たちで課題を解決しようと行動を起こすサポートを行い自立した地域コミュニティを作り出す。


また区分で分けるとこんな感じ。

画像4



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③ 「コミュニティ」とは
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そしてコミュニティビルダーを語る上で絶対的に抑えないといけないのが「コミュニティ」の定義だ。

なんせ、ビルダー = コミュニティを生み出す人なんだから。

コミュニティを家族まで含める概念だと、結婚した人全員がビルダーと名乗れるので堪ったもんじゃない。笑


ではコミュニティの定義とは何か。

コミュニティとは?

この3つの条件を全て満たすものがビルダーが考える「コミュニティ」だ。

これでいくと「家族」は①の概念がないのと③も怪しい。なので、ビルダーが作る「コミュニティ」とは言えない。

一方、一般的な社会人サークルや同好会の場合、②を満たしていないことが多く、これもコミュニティとは言えない。

上記3つの条件を満たすコミュニティを作り出すことができて、はじめてビルダーと言える。



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④ 具体的な仕事
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では、一体ビルダーは、どこにニーズがあって、どんな策を打つのか?

まず、どこにニーズがあるかについて記載する。

絶対的に言えることは「スペース(場)」を持っているところだ。
例えばの例でもこれくらいある。

・自治体
 ※ 過疎化がすごく進んでいて空き家がいっぱいある。人がいない。自分達の街を盛り上げたい。

・ディベロッパー
 ※ マンションの共有スペースがあるけど、全然利用者がいない。住民の交流がある状況を作って付加価値を上げたい

・商業施設
 ※ ライバル店の出店でお客が離れている。空き店舗も増えた。持続的な賑わいを作って買い物以外で来店するきっかけを作りたい

・シェアオフィス
 ※ シェアオフィスを借りれるだけだと価格競争で負ける。入居者のつながりがあることを見せて付加価値を出したい

これまではハード(建物や空間)を作れば、人口も増えていたし、物珍しさで人は集まっていた。

ただ無意味に作られたハード面が多いからこそ、人が定着しないのである。

だからこそ、ソフト面(人が集まる仕組みや仕掛け)が必要とされているし、このソフト面ができていないスペースは「死」しかない。

なので、ここ数年ですごく案件相談が増えている。

ただ、このソフト面をしっかり設計が出来る人は、世の中でも本当に数えられる程度しかいない。

というのも、課題が何かわからないケースが非常に多いし、これやれば大丈夫という絶対的な解決策はないから。

そして、同じスペースであっても対応する時期によって解決策が変わる。


さて、仕事の内容について具体的に見ていこう。
仕事内容としては、コミュニティを作ることなので

・課題に対して解決策としてどのようなコミュニティを作るかの戦略設計
・「人が集まる」きっかけを作り出すこと


の2つだ。

前者こそが、コミュマネやコミュデザには出来ない仕事で、これこそビルダーの醍醐味である。

ちなみに後者の例は、トークショーやワークショップ、フェス、展示などのイベント企画、あるいはコンテンツ企画などがある。



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⑤ ビルダーの仕事で意識していること
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ということで、僕自身が意識しているビルダーの仕事ポイントを記載する。

1. イベンターになっていないか
2. 解決したい課題は何か
3. コミュニティの主体は誰か


1.イベンターになっていないか
単にイベントをすることで満足していないか?もはや、この状態になっていたら、ビルダーとしては失格である。

何故そう言えるのか。違いをまとめてみた。

画像3

イベンターとは、「イベントを企画開催する人」。

彼らの成果物は、「一回のイベント」なのである。このイベントでどれだけ多くの人に来てもらい、利益を上げるか。満足度を高めるかが勝負である。

一方ビルダーとは、「コミュニティを作り出す人」。

僕らの成果物は、「持続性のあるコミュニティを作ること」だ。どれだけコミュニティになるきっかけを提供し、帰属意識を高めて「同じゴールを目指して一緒に頑張ろう」とさせるかが勝負である。

だからこそ「イベント」は始まりに過ぎないし、イベントしたことで満足していたら、仕事をしていないのと同じである。


2.解決したい課題は何か

依頼者が悩んでいる課題を的確につかめないのも、ビルダーとしてNG

まず、単に「人の集まり」を作るなら、正直誰でもできる仕事だ。

解消したい課題を的確につかみ、課題解決の手段として「コミュニティ」を提案できることがビルダーの役割。課題解決につながらないコミュニティは、コミュニティではない。

そして課題解決につながるコミュニティを作れたとしても、依頼者が認識している課題は、大方検討はずれな課題も多いのである。

だからこそ事実をつかみ、仮説を複数たてて、依頼者がもつ「あるべき姿」の解像度を上げることが重要だ。

ここまでできて、初めて「コミュニティビルダー」と言える。


3.コミュニティの主体は誰か
世の中には2つのコミュニティタイプがある。

・ビルダー主体のタイプ
・コミュニティメンバー主体のタイプ

前者のタイプも1つの正解であるが、僕はイケていないビルダーだと思っている。

というのも、コミュニティを運営するのはビルダーの仕事ではないからだ。

あくまでビルダーは、コミュニティを生み出す人。そのコミュニティの主導権はメンバーにあるべきなので、この主体を意識して設計していかないといけない。

コミュニティメンバーの中で誰が主体となってくるのか。どういったアプローチをすれば、全員の熱量を上げることができるのかまで考えて施策を打つのである。



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⑥ 一流、二流、三流の違い【ビルダー編】
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最後にまとめてみた。

スライド4

スライド5

スライド6

スライド7


今日はここまで。超長い。笑



現在、週1noteに参加中。
土曜日担当として、12/29迄、毎週更新する。

来週は、本業で担当している「カスタマーサクセス」について話す予定。今、世の中で最も必要とされている仕事の1つと言っても過言ではない職種。

ただ、まだまだ認知度が非常に低い仕事であるので、小学生でもわかるレベル感で書いてみたいと思う。

来週もよろしくです。


■ クリエイターズ・ファイル ■

00 【プロローグ】クリエイターズ・ファイル(11/24 土)
01 【Creative Works1】コミュニティマネージャー
- 名ばかりコミュマネとイケてるコミュマネの違い -(11/30 土)

02 【Creative Works2】コミュニティビルダー
- ビルダー・コミュマネ・コミュデザの違い -(12/7 土)

03 【Creative Works3】フェス・イベントコンサルタント&オーガナイザー
- 日本のフェス・イベントはすでに死んでいる -(12/14 土)

04 【Creative Works4】カスタマーサクセス
- もし任天堂SWITCHでカスタマーサクセスをしたらどうなる? -
(12/21 土)

05 【Creative Works5】Self-introduction - 今の自分と2020年やりたい事 -(12/28 土)


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