【Creative Works3】フェス・イベントコンサルタント&オーガナイザー - 日本のフェス・イベントはすでに死んでいる -
※この記事は、2019年12月14日(土)に書いたもの。
今週、僕はタイに滞在している。
というのも、Wonderfruitという海外フェスに行くためだ。
29年生きて、初めての海外フェス。
今まさに、Wonderfruitの会場でこのnoteを書いている。
今週は『カスタマーサクセス』について書く予定だったが、辞めた。ごめんなさい。
どうしても『今、書きたい』『今じゃないと絶対伝わらない文になる』と思ったから。
そしてまたターニングポイントをむかえる事ができた。
今日は、僕が生まれて初めて持った肩書き
『フェス・イベントオーガナイザー&コンサルタント』について書いていく。
【 オーガナイザー・コンサルタントとは 】
● フェス・イベント オーガナイザー
非常にシンプルな肩書きで『フェスやイベントを主催する人』の事を言う。
フェスやイベントのコンセプトを考え、ライブやフードなどのコンテンツを決める。必要な予算を算出して、ブッキングをし、当日、成功するよう準備を整える。もちろん、スタッフの手配やどのように宣伝していくかのマーケティング周りなども関わるし、もしもの時の保険や必要なら行政の対応まで行う。
● フェス・イベント コンサルタント
フェスやイベントをしたいと言っている方々が、なかなか自分達で形にできない部分や悩んでいる事を解決していくことが仕事。
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■ 自己紹介(はじめてのターニングポイント)
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僕が初めてこの肩書きを持ったのは、大学卒業後、1年間フリーターをして立ち上げた高架下音楽祭というフェスからだ。
貯金が20万しかない中、予算200万で組んで、実施した初フェス。
別に学祭の実行委員をやっていたわけでもなく、はたまた、イベントやフェスなんかやった事がない。
この高架下音楽祭が自分にとって初の主催イベントであり、フェスだった。
そんな中で進められた原動力は1つだけ。「フェスが好き」だったからだ。
まさに「フェス好きになった」「フェスの魅力を伝えたい」となったターニングポイントが、大学3年生で初めて行ったオールインキャンプフェス『朝霧JAM』だった。
雷に撃たれたような衝撃。朝霧JAMより前に、ライブ中心のフェス『RUSH BALL・MINAMI WHEEL・MONSTER BASHなど』は行っていたが、別格だった。
それはフェス=ライブの概念を変えたから。
フェス=ライブ+フード+キャンプ+ワークショップ+…etc に変わった。
「フェスって決して音楽だけを楽しむ場ではないんだ。」と感じたこと。
世界的アーティストがライブする横でフットサルや大縄をしてたり、キャンプが楽しすぎて、1組しかライブを見ないという楽しみ方があることを知った。
ただ、見渡すと同世代(大学生)は、朝霧JAMにはいなかった。周りの友達に聞いてまわっても、朝霧JAMを知る人はいなかった。仮に知っていても、金銭面や移動面のハードルの高さから、行きたくても行けない人ばかりだった。
こんな楽しいフェスを知らない人が多くいるなら、もっと身近に感じられるフェスをし、世の中にはもっと面白いフェスが多くある事を広めたい!!
そう思って『フェスの窓口となるフェス』をコンセプトにした高架下音楽祭を立ち上げた。
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■ 2回目のターニングポイント
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そして今、Wonderfruitでも雷に撃たれたような衝撃を受けている。
明確にわかった事があったし、これからどうしたいか明確に見えたから、本当に行って良かった。
まず明確にわかった事から話したい。
それは、今の日本のフェスやイベントは、『死んでいる』という事。
一言で言うと「1.内輪で完結」「2.個性がない」。まさにコミュニティだと『死』の状態を指している。では、具体的にどんな状況なのか。Wonderfruitと比較して話していきたい。
1. 内輪で完結
Wonderfruitでの最大の魅力が、国籍・文化・言葉の壁を超えてくる事。
これが海外フェスと日本フェスの大きな違い。そして日本のフェスが死んでると思う理由の1つだ。
日本のフェスは、個々のグループでフェスに行っても、グループ同士が交わることがない。
そして大多数の日本人+少数の外国人というマインドである。
ただWonderfruitには世界中の国の人達が集まる。
ドイツ・オーストラリア・イギリス・韓国・中国・タイ・日本などなど。英語もタイ語も、ドイツ語も中国語も韓国語も飛び交っているカオスな状況。
そんな中でも、はじめまして同士の人達なのに、もはや名前知らないし、何喋ってるかよくわからんけど、ぐちゃぐちゃに混ざって仲良くなれる。
正直、こんなに人と関わるのに抵抗感がないフェスは初めてだった。
そんな仕掛けが数え切れないほど、散りばめられていた。具体的にみていく。
- a. 圧巻の空間作り -
どんなに良い写真でも、リアルな場で感じられる世界観には霞んでしまう。
日本のフェスとは比べものにならないスケール感と完成度だった。
装飾で手を抜いているところは一切ない。もうアートの領域だった。
しかも多くのステージが、お客さんも自由に入りこめてアスレチックになっている。
日本だと安全面などを理由に作らせてくれない。
そしてこの完成度の高さや、お客さんも参加できる空間作りがあるからこそ、お客さんの心を揺さぶり、「すげぇ、、」「むっちゃ良いやん、、」などの共通感情が生まれるのである。
- b. 思わず笑みが溢れるほど美味いフードの数々 -
多国籍料理がならび、どれも美味い。しかも安い。ミシュラン星付きのお店が料理を出していたりもある。
またお店の店舗デザインの洗練さも群を抜いている。この辺は、日本での森、道、市場が好例としてあがるが、その出店者レベル以上のお店も多く見つけた。
ここからも「美味い!!」「来て良かった!」などの共通感情を生み出し、一体化するきっかけを提供している。
- c.クスッと笑ってしまうユーモアさ -
謎のモニュメントがいたるところで見られたし、何よりそこにこれつくる?っていうユーモアさがすごく良かった。畑も作っていた。笑
salonを作って、ブレイズ、ヘナタトゥー、フェイスペイントなど、フェススタイルに変えてくれる空間を用意していたり、バスの中にbarを作ってるのは笑ってしまった。笑
- d.万国共通の誰もが1度はやったことがある遊び -
巨大ジェンガが置いてたり、カラオケがあったり、アクセサリー作りができる場があったりなどなど。
初めましての人同士でも一緒になって打ち解ける空間がwonderfruitにはあった。
巨大ジェンガでは、欧米人・アジア人がはじめまして同士なのに、わちゃわちゃ盛り上がってやっていた。
そしてカラオケは、世界の名曲をいろんな国の人達が次々いれていき、皆で大合唱。
エアロスミスをいろんな国の人と大声で歌うのは、もう感無量だった。笑
- e.知らなくても踊りたくなる音楽 -
いろんなステージから、ひっきりなしに良い曲がかかる。ジャンルはバラバラ。流行りの曲が流れているところから、世界的なアーティストの生ライブ。あるいはタイの曲がひたすら流れるブースなどなど。
今、まさに右のステージからは、go go penguinが聴こえている。また、タイの曲が中毒性ありすぎて、帰りに口ずさんでしまった。笑
- f.ストレスを感じさせない運営システム -
ここの徹底さは、日本のフェスも見習った方が良いところだった。まずキャッシュレス。
リストバンドにチャージが出来て、お金のやりとりは全てリストバンドで行う。金銭のやり取りは、お店では一切発生しない。
次にアプリ。GPS機能がついていて、自分がどこにいるかすぐにわかる形になっている。
後は配車会社(grab)との提携。grab専用のラウンジがあり、事前にアプリで車を手配したら、ここのラウンジで落ちあえて、すぐに乗車ができる。
会場から出るのに大行列となることはなかった。
最後にトイレ。基本、日本みたいに混んでいない。洋式も充実している。日本のフェスよりも快適だった。
昨年の記事だが、この記事が一番wonderfruitの魅力がまとまっているので、知りたい人は是非。
2. 個性がない
国籍・文化・言葉の壁を超えてくる事の根幹を支えているのが、フェスに参加するお客さんの個性を尊重し、多様性が生まれていること。
wonderfruitに参加するお客さん、全員が実現したいと思っている事は、非常にシンプルで1つだけ。
それが『Wonderfruitを全力で楽しむこと』
もちろん日本のフェスでも言える話だが、こだわりレベルが全くもって違う。
- a.ファッション -
自分らしさを存分に出したファッションから、誰かに注目されたいファッション、はたまた、友達と何ヶ月もかけて準備した手作りの衣装まで、本当に他種多様だった。
そして素晴らしかったのは、どんなに変わったファッションであっても、相手を尊重し、『良いね!』と認め合う風土だった。
声をかけて、記念写真を一緒に撮る後景は至るところで見られた。
- b.ありのまま曝け出すこと -
『○○したい!』という気持ちがオープンで全面に出し合っている環境だった。
いちゃつく人の中にも、レズ同士、ゲイ同士でオープンにキスをし合うカップルを何組もいた。
雰囲気に身をまかせてお互いの意思に従って行動する場面が幾度もみられ、受け入れられている。社会もこうなれば、もっと平和になるのにと思った。
- c.サスティナビリティー -
これは、wonderfruitの大切にしている考えで、徹底されている。
日本でも食器であったりと、この考えを大切にしているフェスはあるが、装飾にまで徹底されているのはないし、素晴らしかった。
wonderfruitのステージ装飾の大半は、再利用できる素材を使用しており、自然との共生を図っている。
そしてお客さんには、ルールとして従わせる一方で選択の余地も作っている。
フェスの主催者が、サスティナビリティーなど徹底して向き合う姿勢を示し、あらゆる考えを許容して引き出す風土感を作り出していることで、個々人の個性がうまれ、多様性が生まれている。
まさにオリンピックの雰囲気に近い。
同じ目的やビジョンをもち、世界中の人達がごちゃごちゃに混ざって、一緒になって取り組む世界観を作れるのは、本当に魅力的だった。
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■これから実現したいこと
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僕が今までも、そしてこれからもイベントやフェスの作り手に立つ際に大切にしている考えがある。
それが『関わる全ての人の価値観が変わる場にすること』
お客さんはもちろんのこと、出店したり出演してくれる方、ボランティアスタッフ、主催者、あるいは応援してくれる方含め、1人でも多くの方のターニングポイントとなる場を作りたい。
だからこそ、絶対手は抜きたくないし、価値を見い出し、限界までやり切る。
また、コンセプトはあって当然だし、体現するまでとことん向き合って積み上げていく。
そして、ここからはwonderfruitに行った事で明確になった事であるが、
僕はこの考えを実現するために、
① その人の心を揺さぶるきっかけ
② その人、個人の魅力を引き出せる場
③ 多様性を認め合い繋がって、相乗効果が生まれる場
を作る事がやりたいし、使命だと思った。
改めて、『関わる全ての人の価値観が変わる場にすること』を意識して仕事をしていきたいと思う。
今日はここまで。
ここ1〜2年、頭の中で、もやもやしていた事が、Wonderfruitに行った事で自分のやるべき事や目指す先がより鮮明になって確信が持てた。
来週こそカスタマーサクセスについて書いていけたらと思うので、よろしくです。
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