見出し画像

ゼロから始める伊賀の米づくり36:私(たち)の現在地

最後まで天気が気がかりだった今年の稲刈りも、家族3人体制で無事に終えることができました。

今回の稲刈りに際して、いくつも考えが浮かんできたので書き留めておこうと思います。

『家』のこと、『新しい兼業農家像と家族像』のこと、『人と自然の関わり』のこと、『これから』のことなどです。

家(イエ)

田んぼに関わる際、兼業農家という立場上、どうしても『家』というものが気になります。兼業農家とは、必然的に家族も動員される家族経営の一種でもあるためです。

自分が長男として生まれた頃には、4世代8人家族。この10年で3人が家を去ることとなり、残った3人で今年は田んぼに関わることとなりました。

生まれた当時に4世代家族であれば、当然、自分の上には両親、祖父母、曽祖父母がいました。となれば、自分の後の世代…子、孫、ひ孫世代のこともイメージしやすくなります。

最近、何か自分が生きていく上で活動を起こしたり、その活動を遺していきたい、となった時に、このような自分の前後3世代、自分を含めて7世代の時間軸を意識して過ごすことが多くなりました。

おそらくこれからも、自分が関わる諸活動は、この7世代の繋がり…未来を考える時はひ孫世代までの三世代を意識した取り組みになるような気がします。

新しい兼業農家像と家族像

さて、この10年間で主に上世代の3人が家を後にすることとなりました。この3年ほどで世代交代もどうにか果たされ、新しい家族像や兼業農家像も形になってきたように思います。

今回集った家族3人は常に地元で同居しているわけではありません。全国各地を転々としたり、関東を拠点にしていたり…それでも何かあればこうして集まります。

また、地域の繋がりのみで協力関係を閉じるのではなく、それぞれの仕事関係、友人関係の仲間が集い、その時々で田んぼや畑をプロジェクト化し、共同しています。

このように、田んぼや畑や家を『場』として開くことで、難しい局面や課題も乗り越えることができたり、楽しみやイベントに変えることも出来てきたのではないか、そんなふうに感じています。

3年前にはまったく見えていなかった現在地ですが、今のこの家族や兼業農家のあり方を、自分は気に入っているし、大切にしていきたいと感じています。

人と自然の関わり

また、人の世界では様々な変化はありますが、うちの田んぼの前に佇む神社は、何世代も前から地域を見守り続けてきてくれました。

鎮守の杜には、その土地特有の植生が保存されているといいます。その姿が今に受け継がれているのは、何十年、何百年にわたる人々の『維持していこう』という姿勢と、自然そのものの生み出す秩序や調和との、相互の影響や交感があってのことだと想像できます。

自分も含め7世代を意識するとなったとき、神社の杜のようなあり方を意識している自分に気づき、確かな繋がりを感じています。

これから

まず、地元の集落を見回してみても、80代の祖父母世代がいない家は、ほぼありません。30代で田んぼを継いだ人は、皆無。全国各地から田植えや稲刈りに仲間がやってくることも、イギリスから畑をしにやってくる家も、他にはありません。

そのような『一般的な』『普通の』家族像から大きく外れたうちの家族のあり方ですが、『それでいいじゃないか。むしろ、それがいい!』と改めて強く感じます。

何より、既存の価値観や小さな枠組みから離れてみて、それぞれが自分なりの生き方を楽しめるのが良いじゃないか、そう感じています。

もちろん、地域の方々とのお互い様の助け合いも日々ありますし、自分たちだけのやり方だけですべてが成立しているわけではありません。ただ、今ならそれらの価値観や枠組みも超えて含んでいけるのではないか…?そんな前兆を感じ取っています。

今ここにある環境において生きられる最善を生き、精一杯楽しむ。

この3年ほどかけて、そのようなあり方が少しずつ家族に伝わり、そこから仲間たちとの関係へ広がってきつつあるような気がします。

『これから』は、より一層家族それぞれが自分の人生を楽しみつつ、時に集って協力しあい、時に仲間と集ってコミュニティにもなり、柔軟に多様な繋がり方をしていける関係性を広げていきたいですね。

田んぼとお米、畑の開拓、忍者観光、地域の美味しいお店や特産品…様々な関わりの種があると思うのですが、何か琴線に触れたり、今がそのタイミングだ!となった方とまた、共に時間を過ごしていけると嬉しいです。

さて、長々と書き留めてきましたが、直近の『これから』は、お米の収穫量の確認と出荷準備です。


この記事が参加している募集

サポート、コメント、リアクションその他様々な形の応援は、次の世代に豊かな生態系とコミュニティを遺す種々の活動に役立てていきたいと思います🌱