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1回目は役者の力、2回目は作品の力

はっきり言ってアホなんですけど『劇場版 文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』を観に行きました、今更ですが3回も。(初日+4DX+もう一度通常盤)自分でも自分にびっくりだよ、しかももう5月半ばだし。(出先の近くの劇場が後発だったから特典を配布していると聞いてね・・・)

私の観劇記録を見ていただければわかるのですが、取材も含め複数回足を運んだのは昨年度においてなんと1作品のみです。しかもそれ、チケット購入直後に取材の案内連絡が届くと云うタイミング悪すぎる感じだったの。せっかくなので3面舞台だったし別のところから見たよ・・・。一応複数回行かない理由には理由があって、やっぱり多くの作品に触れたいというのがあるのと、だいたい1回で満足するのと、2回目見に行こうとしても終わってたりするからというのがまあ行かない理由のこじつけですね。本当に見たいなら多分当日券取りに並んでるね。(『ザ・キャラクター』とシビウの『ファウスト』は並んだ)

こう云う商売をしているし、エンターテイメントに従事する人間だからこそまず自分が観客として楽しむべきだし、お金の巡りが悪いご時世だからこそ「この課金が次回作への布石となりますように・・・みなさんのギャラなんかには全然足りないけど・・・」とお布施の気持ちで足を運ぶようにはしているけれど、やっぱり色々手を出してしまう派、2回目はなかなか行かない勢でした。

お客様とかだと、遠征されてる方だったら「1日こっちにいるしマチネだけじゃなくてマチソワ見るわ」とか「東京全通しますよ!!地方も行きます!」とか受付やっててプレゼントとか預かってたらなんとなく連帯感みたいなの出てくるんですけど、いやほんま凄いありがたいなあ、1回きてもらえるだけでも本当にありがたいのに連日来てくれて「ありがたいけど健康第一と稼ぎに影響が出ない範囲で趣味は楽しんでくれ」と思うんですが、その「複数回行こうとするモチベーション」はどこから来るのかなあと思ってたわけですよ。ヅカオタとかミュージカル好きな人って4〜5回ぐらい平均で行ってる印象あります。まあもちろんそのぐらい行ける全体の公演回数があるという前提はあると思いますけどね。

でもなんか突然ハッと気がついたんですわ。

いやすごいシンプルです。 「推せるかどうか」

お前本当に演劇制作経験者かよ中の人かよ何を今更云うとんねん感じですが、本当、運営側がやれリピーター特典やらアフターイベントやら先行予約でグッズがこれ、この日は握手会あるよ挨拶あるよアフタートークあるよって言われても結局のところ「推せるかどうか」これに尽きる。
しかも1回目(しか見ない人ももちろん多い。ホットペッパーだって同じ美容院に繰り返し行ってる人少ないだろうしね!!!)はまず何事も「出演者など人きっかけ」でしか来てもらえない(本当そう云う意味では原作あり作品強いよ・・・賛否両論好みも別れるだろうけど一定数の固定客への情報拡散は可能なんだから)ってところを、2回目に足を運んでもいいって思わせる対象にするには「足を運んでくれた人に対して作品のクオリティで勝負するしかない」ということ。

複数回見ていると、やっぱり初見とは違って別のところ、特に細部などに劇中注視して見ることができたり、というか、「初見時じゃ見れなかったところをもっと見たい、気になる」というのを補填するべく複数回見に行くとか、ダブルキャストだと別の組み合わせも比較して見たいなどもあると思う。でもそう思わせる理由って、何より「この作品だからこそ、もう一度見たい」と作品そのものが思わせないと全く意味をなさないんだろうな。それがないただ単に動員目標を目指すためだけの上っ面なリピーター特典や「あ、売れてないんですねw」な追加イベント開催は本当恥ずべきだし可能な限り販売条件は一般販売前に全部出せやと思う。そして何より本当に好きな作品に対してのリピートは気持ちがいい、だって好きだもの。

そして思った。

「私たちは、本当に見てくださるお客様が作品を愛してくださるために、全身全霊で作品づくりに取り組んでいるのか」

ということ。
おそらく、作品として、興行としての準備不足や「これは易きに流れたのでは?」という甘え(納期に対しての決着点としての落とし所とはまた別なもの)については、おそらく私たちが思っている以上にお客様はシビアに見ていると思う。脚本間に合ってないからか甘くない?小道具間に合ってないじゃん、音楽、フリー素材かよ・・・っていうかこれ既存曲だけど許諾取ってないんじゃ・・・みたいなのはおそらく多くあると思う。
クオリティが高いと開演前に期待させられる作品だったら、事前の複数回予約も伸びるだろうに。

作品に対して不誠実に製作しているのは、何よりお客様に対して不誠実であること。

観客がいないと成り立たない芸術である以上、観客目線は大事だけれど(迎合しろ、とは言ってないよ)作品を介した信用商売なんだから、作品はまず何よりちゃんと作らないとね。




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