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給食終わりのSeptember

猛暑の週末は引きこもり、HDDの整理にあてた。

テレビっ子のわたしは、専ら、オンタイムで見られないドラマや映画、ドキュメンタリーの録画が多い。
そんな中で異例なのが、地上波の深夜帯の映画。
B級もあれば意外とわたしに刺さるツボ作品もあるので、できるだけ食わず嫌いにならないように自分に課して、録画している。

そしてこの週末に見たのが「最強のふたり」。

冒頭のシーンで、カーステレオからゴキゲンに流れたのが、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」だった。

わたしがこの曲を知ったのは、給食の時間。

給食の時間。放送部主導の校内放送。
小学校でも中学校でもそれはあった気がしていて、記憶はごっちゃかも。
のどかなクラシックか何かの3拍子の曲とともに、
「みなさん、こんにちは。楽しい給食の時間です。今日の献立は・・・」
で始まる。
その後は、先生が普段と違う一面を見せる何かの話やら、クラス紹介やら、校内ニュースやら、何かしらの短めのコンテンツだったか。
リクエストに応えて曲がかかるコーナーもあったような記憶があるけど、それはさすがに中学かな。

わたしが好きだったのは「学級対抗クイズ」だった。
クラスから3名か5名かが、選抜チームとして出演し、早押しクイズをする。
この時間は、耳を集中させてわたしもクイズに答える。
天井スピーカーから聞こえる参加者よりも早く正解を答えるわたし。
同級生からの「ゆかさん、すごーい」が誇らしい時間。
自分のクラスが出演する際は、もちろん、選手だったよね。
少し早めに給食を平らげて放送室へ出向く。
早押しボタンの代わりに、タンバリンとカスタネット。
見事勝利を得て、教室に戻ったときのみんなの歓声の気持ちよさと言ったら!(笑)

そんな校内放送のエンディングに使われていたのが「September」だった。

曲自体フェイドアウトで終わるところをうまく使って、校内放送を終わらせていた。

当時は英語なんてわからない。
自分が見聞きする世界には、アニメやドリフ、大映ドラマ、マッチに明菜の歌謡曲があふれていて、そんな音楽は存在しなかったから、わたしの中では「給食の終わりの曲」という認識だった。

数年して、邦楽のしかも歌謡曲まみれのわたしのカセットテープコレクションに洋楽が混じり始める。
ダビングしたり編集したりしたものを、友達や好きだった先輩と交換しあったりして、音楽の引き出しが増えていく。
そこで、再会した「給食の終わりの曲」。

初めて、曲名を知る。
「9月?」
初めて、アーティストを知る。
アース=地球?ウィンド=風?ファイヤー=火??

以降、自分のライブラリーの中の1曲として、ある時はコマーシャルで、ある時はどこかのBGMで、耳にする度、「給食の終わりの曲」ではあるのだけど、同時にテンションが上がる曲としてわたしに刻まれていく。

最初のちょっとエスニックな感じのシンコペーションから、徐々にアクセル全開となっていく感じ。
最後のホーンセクションのパッカーーーーーーーンと開いた感じと、厚み、
耳なじみのいいリフレインが、空気を、わたしの脳内を、最高にHappy(あえて英語表記)に彩ってしまう。

「キターーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

って、万国共通で叫ぶよね。

いつだったか香港かシンガポールか、はたまたアメリカか。
アルコールを飲む場の先々でこれがかかった時の盛り上がりっぷりをも思い出す。
時間を超えて、国を越えての熱狂に、この曲の凄さを実感して一瞬鳥肌がたった。
音楽ってすごい!!って思った。
この曲、すごい!!って思った。
そして、そんな思考は秒で追いやって、「キャーーーー」って叫んで踊り出す。

そんな名曲・キラーチューンとの出会いが、田舎の小学校の給食の時間だったとは。
当時の先生の趣味だったにしても、そんなセンスを持っていた先生って誰だったんだろう??
どう考えても思いつかない。謎。

明日から9月。

Do you remember ?

(・・・rememberとseptemberとpretenderとで踏む韻もカッコイイなあ。)

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写真は2019年のCartierのイベント。インスタレーションの一部。

ちょっとおいしいおやつが食べたい。楽しい一杯が飲みたい。心が動く景色を見たい。誰かのお話を聞きたい。いつかあなたのお話も聞かせてください。