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140字小説集

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140字小説を新旧問わず置いておきます
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#スキしてみて

朝帰り(140字小説)

朝帰り(140字小説)

ヤカンがぽーっとなった。

もう終わりなのか。

美しいおなごだった。もっと骨の髄まで味わいたかった。

「またきてくださる?」
と猫撫で声。 

俺はああ、と。
 
でも次、金を工面できた頃には気にいったおなごは蜃気楼のように消えている。

ため息を出して朝に変わる空の色を見上げて急いで家路に帰った。‬

悪いこと、それはわかってる① 140字小説

悪いこと、それはわかってる① 140字小説

清廉とした身のこなし、社内で一番人気者の彼が海外転勤わする。
海外出張も多かった彼だからもう慣れっこだろう。私は花束を渡した。

「頑張ってください」
「ありがとう」

クールに微笑む彼の秘密を私だけが知っている。
飛行機が苦手な彼は飛行機に乗るたびに遺書を書き胸ポケットに入れていることを。‬

ママの推しは戦隊ピンク

ママの推しは戦隊ピンク

僕のママはミーハーだ。
「また色が変わったね」
ピンク色の物が増えた。
こないだまで緑だったのに。
「戦隊にはまったって。ピンクの」
「へぇー、ピンク嫌いって言ってたのに」
どちらかといえばピンクの戦隊よりもそれを演じる男の俳優が好きらしい。
僕を見て。
これみようがしに僕もピンクを身につけた。

選挙

選挙

何十年前に、とあるアイドルが大人数で踊って歌って「選挙行って外食するんだ」と。

外食も好きなように楽しんでできる生活を送れるようになれるのか、この一票は。

とか思いながらも先に外食を済ませて買い物をしてある程度経済回してから選挙に行った。

人それぞれ。

みんな今後も幸せでありますように。

錠剤 140字小説

錠剤 140字小説

鬱で人に悪意を向けそうになったら赤の錠剤を、鬱で自分を傷つけそうになったら白の錠剤をと薦められた。

それを見て早速近くの薬局に買いに行ったのだが白の錠剤がごっそり売り切れていた。赤よりもやや二倍以上の値段なのに。でも私はホッとした。

街は平和である。

私は微笑んで赤の錠剤を手に入れた。

アームカバー

アームカバー

六月というのに肌に照りつく日差し。

そろそろあいつの出番か、アームカバー。

こないだネットで見たなんらかの鉱石が練り込まれていて日除け以外にも腕、二の腕が引き締まるというものがあった。

値段は……そんなの百均でいい。

どこかしらに失くすただの布にそんなお金をかけてられないが何枚無くした?

本物の罪滅ぼし 140字小説

本物の罪滅ぼし 140字小説

夫が日曜日はゴルフ次の会社の仲間たちと週末は飲み会。

その罪滅ぼしと家族を回転寿司に連れて行くって。

それらを罪と思うなら行かなきゃいいのに。
私にとって罪滅ぼしは離婚届に記入して捺印押して荷物持って出ていってくれることが1番。それがわからないのなら「罪滅ぼし」だなんて言わないで欲しい

ビールのある風景 100字小説

ビールのある風景 100字小説

仕事帰りに行きつけのバーでビールを飲む。

「そろそろ奥さんのところに戻らないと」
「そうだね。まぁまたビール飲むけどな」
「本当好きね」
「好きだよ、ビールは」

バーテンは首を横に振って笑う。

「奥さんのことよ」

みたされない 140字小説

みたされない 140字小説

ごゆっくりどうぞ、1人で食べる量ではない。

わかってるのに。とにかくいつもとは違うところで食べたかった。

許して胃袋。

この後絶対胃もたれ。

今も少し胃が受け付けていない。でも気持ちはハッピー。なんでハッピーかわからない。
この後絶対散財するだろうな。

なんで買い物したいかわからないけどさ。