越野結花|外交・安全保障政策研究者

米国ロサンゼルス生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒、ジョージタウン大学外交政策学院修…

越野結花|外交・安全保障政策研究者

米国ロサンゼルス生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒、ジョージタウン大学外交政策学院修了。米戦略国際問題研究所(CSIS、米国・ワシントンDC)、国際問題戦略研究所(IISS、英国・ロンドン)等、7年半の海外での活動を経て、2024年より東京を拠点に外交・安全保障政策を研究。

最近の記事

#2024活動記録(1)IISSシャングリラ・ダイアローグのシェルパ会議に参加

今年の海外出張第一弾は、国際問題戦略研究所(IISS)が開催したシャングリラ・ダイアローグのシェルパ会議でした。 シェルパ会議は、その年に開催されるIISSシャングリラ・ダイアローグ(アジアの閣僚級安全保障会議)のアジェンダについて、ワーキングレベルで議論をするもので、毎年1月に開催され、各国の政府高官(局長級)や研究者(アカデミアやシンクタンク等)が参加をするものです。この場で「シャングリラ・プロセス」が正式にスタートするということです。 1月21日から23日に開催され

    • 日本に拠点を移しました/Relocated from London to Tokyo

      7年半ぶりに東京に拠点を移すことにいたしました。(English will follow) 2016-19年は、米国のワシントンで(ジョージタウン大学外交政策学院アジア研究科の修了、米戦略国際問題研究所(CSIS)での勤務)、2020-223は、英国のロンドンで、同市に本拠地がある外交・安全保障系シンクタンク国際問題戦略研究所(IISS)で4年間リサーチ・フェローとして活動しましたが、特に最後の4年間はジェットコースターのような期間でした。 具体的には、最初の2年間は、2

      • 編著『IISS and Japan』のローンチ

        12月12日にIISSから二冊目のアデルフィーブックを出しました! 戦後日本の戦略的思考がどのように発展してきたか。 中でも、ロンドン本拠地があり、冷戦時代からキッシンジャー元大統領補佐官をはじめ、世界中の政府高官や戦略家の拠点となってきた国際問題戦略研究所(IISS)は、日本やアジア、欧米の政策関係者や戦略家の交流を活発化さるため、どのような役割を果たしてきたか。 そして、高坂正堯氏や中曽根康弘元総理をはじめIISSと深く関わってきた日本の外交安全保障分野の専門家や政

        • オーストラリア国防軍士官学校での研究発表🇦🇺

          今週、初めてキャンベラ🇦🇺を訪問し、オーストラリア国防軍士官学校が主催した、安全保障とロボット技術(robotics)、自律化システム(autonomous systems)と人工知能(RAS-AI)を中心的なテーマにした政策会議に2.5日参加してきました。 会議詳細や登壇者はこちらからご覧ください。 人間と機械のチーミング技術(human-machine teaming)の専門家から日本の同技術分野の防衛分野の利用について話して欲しいとお声がけいただきましたが、この一年

        #2024活動記録(1)IISSシャングリラ・ダイアローグのシェルパ会議に参加

          編著本『The Importance of Shinzo Abe: India, Japan and the Indo-Pacific』リリースのお知らせ

          先週末、安倍晋三元総理が暗殺されるという、恐ろしい事件から1年が経ちました。 この一年間、国内外の研究者や実務家が安倍元総理のレガシーについて様々な視点から振り返り、外交・安全保障分野でも「安倍ドクトリン」等が研究されるようになりましたが、今月、インドのハーパー・コリンズ出版社から、日本とインドの研究者・実務家等16人による編著 The Importance of Shinzo Abe: India, Japan and the Indo-Pacificが出版されました。

          編著本『The Importance of Shinzo Abe: India, Japan and the Indo-Pacific』リリースのお知らせ

          2022年振り返り

          大変ご無沙汰をしております、英国のロンドンに本拠地がある、外交・安全保障系シンクタンク、国際問題戦略研究所(International Institute for Strategic Studies: IISS)で技術・安全保障担当リサーチ・フェローとして外交・安全保障政策研究を行なっている越野です。 2020年1月に、米国ワシントンDCの米戦略国際問題研究所(CSIS)から、英国ロンドンの国際問題戦略研究所(International Institute for Stra

          2022年活動記録(ダンス編)

          三年前にロンドンに住み始めてから、貧血になったり、コロナにかかったり、合計15回の出張をこなす中で体力不足に悩まされたため、今年は昨年に引き続き趣味のK-POPカバーダンスにもロンドンのダンス仲間たちと精力的に活動しました。 2月まではロンドンにいることが多かったので、仕事の後に、週に2回の練習を行い、部活並み踊っていましたが、パンでミックによる渡航規制が緩んだり、ロシアのウクライナへの侵攻後に本業が忙しくなり、最近はなかなかカバー・チームのプロジェクトに参加できなくなって

          2022年IISS活動記録(ポッドキャスト編)

          2022年の活動記録シリーズ第三弾は、IISSジャパン・チェアプログラムで始めた「ジャパン・メモ」ポッドキャスト・シリーズのご紹介。 毎月日本の外交安全保障分野に関する旬なトピックを元に、1−2人の国内外のゲストを招いてディスカッションをする形式を取り、主に海外の政府関係者、有識者、ビジネスに携わり、日本に関心のある方々を対象にしていますが、実は学生から社会人まで日本でも多くの方にご視聴いただいていることがデータで分かりました。 今年は2月から12月まで11のエピソードを

          2022年IISS活動記録(ポッドキャスト編)

          2022年IISS活動記録(海外出張・登壇編)

          パンデミック後の規制が緩み始め、溜まりに溜まっていた出張を重なり、全部で15回の海外出張を行いました。以下、今年本業内外で行った出張を時系列に簡単にまとめてみました。 第一四半期(1−3月) (1) シンガポール🇸🇬 IISSシャングリラ対話シェルパ会合 国際問題戦略研究所(IISS)が毎年6月に開催しているシャングリラ対話(閣僚級アジア安全保障対話)の準備の一環として、毎年1月にシャングリラ対話のシェルパ会議を開催し、政府高官や有識者をお招きして地域の安全保障情勢や防衛

          2022年IISS活動記録(海外出張・登壇編)

          2022年IISS活動記録(パブリケーション編)

          英国のロンドンに本拠地がある、外交・安全保障系シンクタンク、国際問題戦略研究所(International Institute for Strategic Studies: IISS)で技術・安全保障担当リサーチ・フェローとして外交・安全保障政策研究を行なっている越野です。 最初の二年間は、船橋洋一氏が立ち上げたアジア・パシフィック・イニシアチブ(現:国際文化会館の事業)の初代松本・佐俣フェローとして、派遣という形でIISSで勤務をしておりましたが、幸い今年からは正規のフェ

          2022年IISS活動記録(パブリケーション編)

          2021年、対面の国際会議は復活できるか。IISSマナーマ対話を終えて#IISSMD20

          新型コロナウィルスのワクチンの開発や承認、摂取が進む中、変異種の拡大により、2021年もその先も引き続き新型コロナウィルスとの闘いが長く続きそうだ。 世界で多くの仕事がリモート化可能となった現在においても、外交分野は対面が非常に重要であると考えられてきた。その象徴として、世界の首脳や閣僚もパンデミックの中においても、様子を見ながら対面外交が展開されてきた。日本の菅総理や茂木外務大臣も、夏以降、東南アジアや、中東、アフリカを直接訪問をした。 そのような中、シンクタンク業界に

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          楽天はファーウェイの代替を提供できるのか?―世界がその挑戦を注目する理由 #世界経営者会議

          日本で楽天のモバイル事業と言えば、今年新規参入を果たしたチャレンジャーであり、中小携帯事業者というイメージが大きいかもしれない。 しかし、楽天が、革新的な技術を開発して従来のネットワーク構造を根本的に変革することに成功し、通信業界はもちろん、米欧諸国の政府の間でも「ゲーム・チェンジャー」として認識されていることをご存じでしょうか。 今週第22回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催され、私も日経COMEMOのキーオピニオンリーダーとして、ロックダウン中のロンドンからオンラ

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          パンデミック中の訪問の意味―菅政権に求められる東南アジア外交(下)

          昨日投稿したなぜ日本に厚い「信頼」を寄せ、パートナーとして「期待」するのか ー菅政権に求められる東南アジア外交(上)では、日本が東南アジア地域からの高い「信頼」があり、地域の国々から、中国でも米国でもない第三の戦略的なパートナーとして期待を高めていると述べた。 (下)を執筆している間に、菅総理のアジア訪問が発表され、タイミングがぴったりだったようだ。総理訪問の重要性については、後程述べる。 さて、日本は米中と異なり、軍事的・経済的リソースにも限界がある。 増え続ける社会

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          なぜ日本に厚い「信頼」を寄せ、パートナーとして「期待」するのか ー菅政権に求められる東南アジア外交(上)

          初めまして。 国際問題戦略研究所(IISS)で日本の外交、防衛、安全保障政策について研究・発信をしています、越野結花です(英語・日本語プロフィールはこちらから)。今月よりCOMEMOのキーオピニオンリーダー(KOL)として選んでいただきました。 IISSは、ロンドンに拠点を持つ防衛・安全保障に焦点を当てたシンクタンクです。日本では、世界171か国の軍事力を分析した「ミリタリー・バランス」や、毎年シンガポールで開催されるシャングリラ会合(アジアの防衛大臣会合)やバーレーンで

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