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2022年振り返り

大変ご無沙汰をしております、英国のロンドンに本拠地がある、外交・安全保障系シンクタンク、国際問題戦略研究所(International Institute for Strategic Studies: IISS)で技術・安全保障担当リサーチ・フェローとして外交・安全保障政策研究を行なっている越野です。

2020年1月に、米国ワシントンDCの米戦略国際問題研究所(CSIS)から、英国ロンドンの国際問題戦略研究所(International Institute for Strategic Studies: IISS)に移ってから早くも三年が経ってしまいました。

今年は、パンデミックが少しずつ収束して渡航制限が緩和され始めた一方、2月24日には国連常任理事国のロシアがウクライナを侵略したり、安倍晋三元総理が暗殺をされたり、英国のエリザベス女王が亡くなられたりする等、国内外の情勢が激動した一年だったのではないでしょうか。

また、夏には中国による大規模軍事演習でな台湾海峡の緊張が一層高まったり、日本では戦略三文書が改訂される等、シンクタンク研究員としては、目まぐるしく変化する日々のでき事に追いつくのに必死の一年でした。

私個人としては、今年三年前に入所してから蒔いていた種が少しずつ花を咲かし始め、少しずつ研究やアウトプットの成果を出すことができた一年となりました。

以下、私にとってのハイライトを三つまとめてみることにしました。

①初めての本の出版


一つ目のハイライトは、初めての本の出版でした。

今年、3月に、共著で日本の地経学アクターとしての役割に注目をした共著、Japan’s Effectiveness as a Geo-Economic Actor: Navigating Great Power Competitionを出し、初めての本を出版させていただきました。

地経学的アクターとは、経済をツールに外交上の戦略的目的を達成することを目指す主体と定義していますが、本の中では、日本の地経学的戦略の目標や政策ツールの歴史的変遷を辿り、今後も地経学的アクターとして有効的であるために検討すべき四つの要素について議論しています。

本書は、IISSアデルフィー・シリーズの一環ですが、同シリーズはチップマンIISS所長によると、「ポリシーメイカーが長距離のフライトに乗っている間に読み切れ、ある国外交・安全保障政策について何か新しい視点得る」ことを目的とした出版物です。

1950年代に設立されて以来、IISSが出してきたフラッグシップの論考集で、日本では戦後の論壇を率いていた高坂正堯氏や、「吉田ドクトリン」を名付けられた元防衛大学校長の西田正氏等が執筆をされたりもしました。また、IISSは1970年台から1990年代までは日本の外交官を受け入れてきた歴史もあり、佐藤行雄元国連大使や、佐々江賢一郎元駐米大使等も執筆をされた歴史のある刊行物を出版できてとても光栄でした。

地経学分野の第一人者である、船橋洋一先生(アジア・パシフィック・イニシアチブ理事長)、兼原信克先生(元内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長)、寺澤達也氏(元経済産業審議官)、ビル・エモットIISS会長(元エコノミスト誌編集長)等には取材をさせていただいたり、様々なご指導いただいたり、本執筆の過程で甚大なご協力いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。

さて、約四万ワードという短い本ですが、初めての本の出版、ローンチ・イベントからプロモーション活動まで多くのプロセスがあり、学ぶことがとにかく多かったです。

IISSでは、以下のような短い宣伝動画を撮影したり、

7月には、対面でロンドンでローンチ・イベントを開催しました。

当日の様子はYouTubeにも上がりました。

慶應義塾大学法学部政治学科時代の恩師の細谷雄一先生もケンブリッジ大学にフェローとして滞在しており、駆けつけてくださいました。

IISSのエントランス前で撮影した記念写真

その他、米国ではワシントンDCとニューヨークの二箇所でプロモーションイベントを実施し、DCでは秋元諭宏笹川平和財団米国会長兼理事長のご協力をいただき、アーミー・ネイビークラブで米国のアジア政策関係者とラウンドテーブルを開催しました。

ディスカッションの様子

ニューヨークでは、ジョシュア・ウォーカー(ジャパン・ソサエティー会長)のご厚意で、財界関係者向けに発表をさせていただきました。

当日の様子

夏には、東京でもプロモーションで、IISSに会員として所属してくださっている佐橋亮東京大学准教授のご厚意で、ハイブリッド形式のローンチ・イベントを開催していただきました。

当日のディスカッションの要旨と動画は以下からご覧ください。

このように僭越ながら様々な形でプロモーション活動をさせていただけたのは、日々お世話になり尊敬している国内外の先生方やIISSのリサーチ以外のメディア・イベント・出版部門等のスタッフさんのおかげですので、改めまして、心より感謝を申し上げます。

日本語訳も出版予定ですので、また別途ご案内させていただきます。

そのほかのパブリケーションについては以下にまとめましたので、ご関心のある方はご覧ください。


②第10回IISSシャングリラ対話

二つ目のハイライトは初めて参加したIISSシャングリラ対話(アジアの閣僚級安全保障会議)

シャングリラ対話は、2002年に設立されて依頼毎年開催されている防衛大臣会合で、地域の安全保障課題等についてインフォーマルに議論をするオープンな場として広く知られています。毎年各国の閣僚らの出席に合わせて、政府高官も多く参加し、本会議の横で2国間会合や日米豪及び日米韓の3カ国防衛大臣会合なども開催され、防衛外交の現場となっています。

朝日新聞が、丁寧に解説をしています。

初日夜には毎年アジアの首脳が基調スピーチを行なっていますが、今年は日本の岸田文雄総理大臣が基調スピーチをしてくださいました。

スピーチ基調講演本文はこちらからご覧いただけます。

光栄にも、Q&Aセッションでご本人に、対中政策について直接質問をさせていただくことができました(上の動画の43分30秒ぐらいに登場します)。

日本の首相が基調スピーチを行うのは2014年の安倍総理以来でしたが「今日のウクライナは明日の東アジア」になるかもしれないと、中露のルールに基づく国際秩序への挑戦について触れられ、欧州とアジアにおける安全保障上の課題をリンクさせたインパクトの大きい演説となりました(国内よりも海外で広く引用されている文言のような気がしています)。

さて、このような大規模なフォーラムでは、研究員の仕事は積極的な質問をしたり、その場で閣僚陣のスピーチを客観的に分析をして解説をすること。IISSのメディア部門が作成した動画として以下のようなものに出ました。

シンガポールのCNAでも簡単な解説を行いました(初テレビ出演)。

2日目には、当時の岸信夫防衛大臣もご登壇されました。

今年のシャングリラ対話はメディアでは米中の大国間競争が繰り広げられた場として日本のメディアにも広く取り上げられました。

本会議前は、ヤング・リーダーズ・プログラム(40歳以下)のパネル(安全保障と新興技術分野について)のモデレーターを務めました。

その他、今年はパンデミックが落ち着き渡航制限が緩和されたこともあり、仕事を通じて、プラハ、シンガポール、リヤド、DC、ニューヨーク、ハワイ、デリー、パリ、東京出張で7ヶ国9都市を訪問し15回の海外出張をして研究活動の幅を広げられたこともハイライトでした。(それぞれについては別の記事にまとめています。)


③KPOPフルカバー

三つ目のハイライトは、趣味で続けているダンスの活動です。

慶應義塾大学時代はストリートダンスサークルREVOLVEに所属していたりもしましたが、3歳の時から続けていたダンスはやはり自分にとっては大事なアイデンティティーです。

三年前にロンドンに住み始めてから、貧血になったり、コロナにかかったり、合計15回の出張をこなす中で体力不足に悩まされたこともあり、最近は体調管理やロンドンのローカルな友達作りという点でも、流行りのK–POPカバーダンスを完コピし、ダンス仲間たちと撮影したりしていました。

ロンドンのKPOPカバーグループVenturesの仲間と

本業がどんどん忙しくなり、今後、このようにフル・カバープロジェクトに本格的に取り組むことが難しそうなので、記録として今年撮影した推しのヒップホップ系NCTの二曲を掲載しておきます。

‘Universe - Let’s Play Ball’ by NCT U

 ジェノを担当しました。推しのショータローは、ロンドンで教えているプロのダンサーが担当。

‘Sticker’ by NCT 127

原曲から人数を変えたので、推しのマークとへチャン等を兼任しました。

来年以降も細々と続けていきたいと思います!それ以外のダンスの活動については、以下に別の記事としてまとめました。


来年はいよいよ30代のスタート、大きな節目になりそうです。

私自身はまだまだ政策研究者の駆け出しに過ぎず、日々国内外の先輩研究者の方々にお世話になってばかりですが、今後、より地に足のついた分析ができるように研究活動に専念しながら、引き続き健康的に自分らしく過ごしたいと思います。

2023年もどうぞよろしくお願いいたします😊

以下、いくつかのシリーズに分けて、今年の活動をまとめてみましたので、ご関心のある方は以下をご覧ください。

以上。

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