<芸術>世界の美術館巡り(は,ちょっと大げさですが)
長く海外勤務していたおかげで,いろいろな美術館(博物館)を訪問できた。その中で,その幾つかを,思い出の一部として紹介したい。
ところで,時間が経つ毎に,また多くの作品を見る毎に,「受胎告知」,「聖母子像」,「ピエタ」の3種類の作品に大きく感情移入するようになってきた。「聖母子像」と「ピエタ」は,自分が年を取ったことがその最大の理由だと思う。男に取って「母(妻)」と「子(自分)」は,永遠に癒やされる存在だ。しかし,「受胎告知」にはそうした理由はない。ただたんに,天使の大きな羽を付けたガブリエルが,処女マリアに神の子の懐胎を告げるという,その構図がとても好ましく,そしてとても美しい。その理由は,自分でもよくわかっていない。
1.フィレンツェのウフッツィ美術館
芸術作品ではないが,チチェローネ(案内係)の女性が,とても美しかった。イタリアには,こうしたベッラ(美人)が多数いるように思えた。それだけで,もう良い国だ(残念ながら,画像は僕の記憶の中だけに刻まれている。そして,時間の経過とともに,その美しさは増していく。思い出とは,そういうものだ)。
ボッティチェリ「ビーナスの誕生」と「プリマベーラ(春)」
ジョットー「聖母子像」
ダビンチ「受胎告知(大天使ガブリエルがマリアにイエス懐胎を伝える)」
美術館から眺めるモンテヴェッキオ橋。
2.ローマのカピトリーノ美術館,国立博物館マッシモ宮殿,ローマ博物館,チネチッタ。
「カピトリーノのビーナス」
「ニオベ」
「二人の円盤投げ」
「ソクラテス」
「アウグストゥス」
「ロムヌスとレムス」
「ギリシャの壷絵」
「『甘い生活』でアニタ・エグバーグがトレビの泉のシーンで着ていたドレス」
3.ロンドンのナショナルギャラリー
ワトー
ターナー
モロー
フェルメール
ダビンチ
世界最古のチェスセット
ケルトの兜
ギリシャの兜
ギリシャの竪琴
ロゼッタストーン
4.ヨルダン・マダバの古代キリスト教会跡のタイル画
ラクダ
イエス・キリスト
世界最古のエルサレムの地図
5.一番のお気に入り
ミケランジェロ「ピエタ」
20歳の頃,神保町の美術専門の古書店を毎日のように訪れていた。ある日そこで見つけたミケランジェロの大判(B4版?)の写真集を衝動買いした。「ピエタ」については,美術の教科書などで見ていたが,この大判の写真集にある画像を見た瞬間,その素晴らしさに圧倒された。マリアがとても美しい。すべてを救済してくれるような,そんな大きな寛容と慈悲を,イエスを抱く身体から発散しているように感じた。
それから40年経って,バチカンで実物を見ることができた。カソリック信者のように,その前でずっと跪きたい衝動に襲われたが,異教徒としてさすがに我慢した。その後,人の流れが途切れるタイミングを見て,この画像を撮影した。マリア像の中から声にならない声を聞きながら,シャッターを押していた。
考えてみれば,ウフッツィ美術館のチチェローネは,このマリアに似ていたのかも知れない。
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