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<ラグビー>ザ・ラグビーチャンピオンシップ(ワラビーズ対スプリングボクス、アルゼンチン対オールブラックス)結果

ワラビーズ30-17スプリングボクス

メンバーを紹介。
ワラビーズ:( )内はキャップ数。
ジェイムズ・スリッパ-(107)、フォラウ・ファインガア(18)、タニエラ・ツポウ(32)、アイザック・ロッダ(27)、マット・フィリップ(16)、ラクラン・スウィントン(5)、マイケル・フーパー(112,キャプテン)、ロブ・ヴァレティニ(11)、ニック・ホワイト(40)、クエード・クーパー(71)、マリカ・コロイベテ(40)、サム・ケレヴィ(35)、レン・イキタウ(6)、アンドリュウ・ケラウェイ(6)、トム・バンクス(18)
(リザーブ)
フェレティ・カイツウ(1)、アンガス・ベル(9)、トム・ロバートソン(24)、ダーシー・スワイン(6)、ピート・サム(12)、テイト・マクダーモット(9)、リース・ホッジ(50)、ジョーダン・ペタイア(11)

スプリングボクス:( )内はキャップ数。
トレヴァー・ニャカネ(48)、ボンギ・ムボナンビ(42)、フランス・マルアーブ(44)、エベン・エツベス(91)、マーヴィン・オリー(6)、シヤ・コリシ(57、キャプテン)、フランコ・モスタート(45)、デュアン・ファルミューレン(55)、ファフ・デクラーク(33)、ハンドレ・ポラード(54)、マカゾレ・マピンピ(19)、ダミアン・デアレンデ(52)、ルッカンヨ・アーム(20)、スブ・ヌコシ(13)、ウィリー・ルルー(67)
(リザーブ)
マルコム・マルクス(40)、スティーヴン・キッショフ(53)、ヴィンセント・コッホ(25)、マルコ・ファンスタッデン(7)、クワッガ・スミス(13)、ジャスパー・ウィーゼ(6)、ハースケル・ヤンチース(15)、ダミアン・ウィルムゼ(13)

ワラビーズのデイヴ・レニー監督は、先週SOにクエード・クーパーを起用した采配で,見事な勝利を飾ったことの再現を狙っている。

右PRアラン・アラアラトアが妻の出産のために欠場し、先発3番PRにタニエラ・ツポウが入る。SHはテイト・マクダーモットとニック・ホワイトでローテ-ションした。SOは、ジェイムズ・オコナーが試合のためのフィットネス不足のため、引き続きクーパーが先発する。7番FLマイケル・フーパーは、SHジョージ・グレーガンを抜く、キャプテンとしての60キャップ及び同じく通算113キャップを達成する。2012年のデビューから9年目での達成だ。

ところで、ワラビーズは、10月23日に大分で日本代表と対戦することが決まった。日本代表には、元ワラビーズのグレッグ・コーネルセンの息子で、パナソニック監督のロビー・ディーンズに鍛えられたジャックがいるほか、オーストラリア人のジェイムズ・ムーアやベン・ガンターがいる。

「2019年WRCで日本はトップチームだと世界に証明した」、「ジェイミー・ジョセフやトニー・ブラウンは、しっかりとしたスコッドを構築し、速いテンポのエキサイティングなラグビーをしている」、「2023年RWCに向けて、この試合は重要になる」とレニー監督は述べている。

このワラビーズ戦は、2019年RWC以降で最初のテストマッチの日本開催試合となる。また、ワラビーズとは2017年から4年ぶりの対戦となり、このときは63-30で大敗したが、今回は違った展開になると期待されている。

スプリングボクスのジャック・ニーナバー監督は、LOルード・デヤーガーの脳震盪のため、5番にマーヴィン・オリーを起用した他、左PRをトレヴァー・ニャカネとスティーヴン・キッショフでローテーションする最小限の交代に止めた。

先週の敗因は、ディシピリンの欠如と得意とするキッキングゲームが想定通りにできなかったことのほか、自チームではオンサイドと認識しているものを4回もオフサイドに取られたためと分析している。そのため、イングランド人レフェリーのマシュウ・カーレイと十分な調整を行う意向だ。

13分,スプリングボクス9番SHファフ・デクラークが,ラックから出たボールを故意にノッコン(これは,スーパーラグビー時代から彼の得意技!)をしてシンビン。
14分,ワラビーズ13番CTBレン・イキタウがディフェンス2人をはね飛ばしてトライ。10番SOクエード・クーパーのコンバージョン失敗で,5-0。
ワラビーズは,先週の勝利で自信を持った印象。BKラインのアタックが効果的。一方のスプリングボクスは,度重なる批判を意識したのか,キックの代わりにBKラインにパスを通すが,ことごとく失敗している。唯一の武器は,あいかわらずラインアウトからのモールだけとなっている。これではWTBチェスリン・コルベが復帰してもチームが上昇することはない。
18分,スプリングボクス10番SOハンドレ・ポラードがPG,5-3。スプリングボクスの得点手段には,モールからのトライの他,このPGもあった!
21分,ワラビーズ13番CTBイキタウが,12番CTBサム・ケレヴィからのパスがスローフォワードに見えたものの,2つ目のトライ。クーパーのコンバージョン成功で,12-3。
27分,ポラードがPG,12-6。
29分,クーパーがPG,15-6。
32分,ポラードがPG,15-9。
33分,ワラビーズ6番FLラクラン・スウィントンが,ハイボールキャッチ争いの際に,スプリングボクス8番NO.8デュアン・ファルミューレンにハイタックルしたとTMOで確認されて,シンビン。
38分,ポラードがPG,15-12。

前半、ワラビーズ15(2T1C1P)-スプリングボクス12(4P)
ワラビーズが必死に2トライを取っても,スプリングボクスが4PGでわずか3点差。ルールがそうなっているから当然なのだが,内容からは,しっくりしない点差。

ワラビーズは,前半途中からFBトム・バンクスが腕を怪我して退場してしまった。交代のリース・ホッジも良い選手だが,特にハイボール処理に関しては,チームへの影響はぬぐえない。スプリングボクスは,2トライを取られたものの,得意のキック&FW戦でPGを得る戦術が,とりあえず成功している。

42分,スプリングボクスが,SHファフ・デクラークのディフェンスライン裏へのグラバーキックから,13番CTBルッカンヨ・アームがトライ。ポラードのコンバージョン失敗で,15-17。なんとワラビーズのシンビン時間を使って逆転してしまった。
51分,クーパーがPG,18-17。
62分,ワラビーズが,21番SHテイト・マクダーモットから3番PRタニエラ・ツポウの突進をつないで,最後に11番WTBマリカ・コロイベテがトライ。クーパーのコンバージョン成功で,25-17。
68分,ワラビーズが,ブレイクダウンのターンオーバーからつないで,11番WTBコロイベテが2つ目のトライ。クーパーのコンバージョン失敗で,30-17。
71分,スプリングボクスが,ゴール前ラインアウトからモールを組んでトライを狙うが,ワラビーズがタッチに押し出す。
73分,ワラビーズ7番FLマイケル・フーパーが,自陣ゴール前のブレイクダウンでPKを勝ち取る。
79分,ワラビーズが,自陣ゴール前のスプリングボクスボールのモールからのブレイクダウンでPKを勝ち取る。
79分,スプリングボクス21番FLジャスパー・ウィーゼが,ワラビーズ12番CTBサム・ケレヴィの頭に肩で当たり,TMOの結果シンビン。ただし,レッド(退場)相当との意見あり。

後半、ワラビーズ15(2T1C1P)-スプリングボクス5(1T)
合計、ワラビーズ30(4T2C2P)-スプリングボクス17(1T4P)

ワラビーズは,PRながらBK並のランニングスキルとパス能力を発揮したタニエラ・ツポウと,キャプテンとしてだけでなく,チームNO.1のタックルを記録した7番FLマイケル・フーパーの活躍で完勝した。

スプリングボクスが,2019年RWCに優勝したことや,2021年のブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズシリーズに勝ち越ししたことは,2003年RWCでイングランドが優勝したことに似ていて,まるで明智光秀の三日天下のようで,世界ランク1位に相応しくないチームが1位になってしまった感がある。

実力から評価すれば,現在の世界1位はオールブラックスで,ワラビーズは2位。スプリングボクスは3位が順当ではないか。また,4位イングランド,5位フランス,6位アイルランド,7位ウェールズ,8位スコットランド,9位アルゼンチン,10位日本,12位フィジー,13位サモア,14位ジョージア,15位トンガになると思う。


アルゼンチン13-36オールブラックス

元イングランド代表監督のサー・クライブ・ウッドワードは、スプリングボクスのラグビーを批判する一方、オールブラックスのラグビーを称賛している。彼は、英国デイリーメールのコラムにおいて、以下のように述べている。

「ラグビーは(スプリングボクスのように)プレーするものではないし、私はワラビーズの勝利を祝いたい」、「(ボクスのようなプレーが主流になったら)ラグビーは最低なものに落ち込み、5年以内に死んだと同然になってしまう」、「オールブラックスに感謝したい。ボールを持ってプレーするラグビーが勝利したのだ」、「ボールはプレヤーの友達であり、時限爆弾ではない。有能な選手を無効化しているのは、常にキックしてボールから遠ざけることだ」、「南アフリカに聞きたい、ラグビーを楽しんでいるか?と」と痛烈に批判している。

一方、前オールブラックス監督のスティーヴ・ハンセンも、スプリングボクスのラグビーは誰も見たくないと、先月NZのメディアで批判している。

「当然、フィジカルの激しい戦いを見たいが、それはフィジカル、スピード、ボールを使うスキルといったゲームを構成する要素の一部だ。こうしたことを(ブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズとスプリングボクスのゲームで)見られただろうか?もちろんなかった」、「オールブラックスのことが話題になっている。オールブラックスにラグビーを救って欲しいという希望だ。しかし、これはオールブラックスだけの課題ではない。ラグビーに関わる全員が何かすべきことなのだ」。

ということで、オールブラックスのラグビーは、ラグビー界全体をリードする重要な役割があるようです。また、実際にNZの優れたコーチ陣によって、オールブラックスは常に世界最先端のラグビーを志向しています。つまり、オールブラックスの成功が、そのままラグビー界全体の発展に直結するのではないでしょうか。

6分,オールブラックスが,8番NO.8ホスキンス・ソツツ→14番WTBウィル・ジョーダンのラインブレイクからつないだゴール前のラックから,7番FLアーディ・サヴェアがSH役をして4番LOパトリック・ツイプロツがトライ。15番FBジョルディ・バレットのコンバージョン成功で,0-7。
8分,アルゼンチン11番WTBエミリアーノ・ボッフェリがPG,3-7。
13分,ジョルディ・バレットがPG,3-10。
22分,オールブラックスの14番WTBウィル・ジョーダンがインゴールに入るが,TMOの結果スローフォワードと判定されて,ノートライ。
26分,オールブラックスが,右中間ゴール前のスクラムから右へ8番NO.8ホスキンス・ソツツがブレイクして,9番SHのTJ・ペレナラにつないでトライ。ジョルディ・バレットのコンバージョン成功で,3-17。
42分,オールブラックスが,右中間ゴール前ラックから右へSHペレナラが持ち出し,NO.8ソツツのクイックパスでつないで5番LOツポウ・ヴァアイがトライ。ジョルディ・バレットのコンバージョン成功で,3-24。


前半、アルゼンチン3(1P)-オールブラックス24(3T3C1P)
Bチームながら,オールブラックスが順調に得点を重ねて,ほぼ勝利を確定。このまま後半も良いムードで行きたい。NO.8ホスキンス・ソツツが活躍している。

44分,ボッフェリがPG,6-24。
46分,オールブラックスが,NO.8ホスキンス・ソツツの突破でできた中央ゴール前10mラックから右へ,SH役の6番FLイーサン・ブラカッダー→10番SOダミアン・マッケンジー→13番CTBリエコ・イオアネ→14番WTBウィル・ジョーダンのクイックパス→7番FLアーディ・サヴェアとつないで,最後は2番HOサミソニ・タウケイアホがトライ。ジョルディ・バレットのコンバージョン失敗で,6-29。
52分,アルゼンチンが,10番SOサンチャゴ・カレーラスのインゴール左スミへのキックパスを追走した11番WTBエミリアーノ・ボッフェリがトライ&コンバージョン成功で,13-29。
78分,オールブラックスが,19番LOスコット・バレットからのバックフリップパスを受けたノーマークの5番LOツポウ・ヴァアイが,2つ目のトライ。ジョルディ・バレットのコンバージョン成功で,13-36。

後半、アルゼンチン10(1T1C1P)-オールブラックス12(2T1C)
合計、アルゼンチン13(1T1C2P)-オールブラックス36(5T4C1P)

Bチーム中心メンバーながら,オールブラックスは良いゲームをして,アルゼンチンを一蹴した。MOMは,6番FLイーサン・ブラカッダー。また,2番HOサミソニ・タウケイアホ,5番LOツポウ・ヴァアイ,7番FLアーディ・サヴェア,NO.8ホスキンス・ソツツ,SOダミアン・マッケンジー,13番CTBリエコ・イオアネ,FBジョルディ・バレットも,それぞれ活躍した。

ジョルディ・バレットは,2試合続けて安定したゴールキックをしているので,SOリッチー・モウンガ不在中(兄ボーデン・バレットがSOで先発するとき)はゴールキッカーの役割を担いそうだ。また,これに伴い先発FBの地位を確保できた可能性がある。この場合,リザーブ22番はボーデン・バレット,23番はダミアン・マッケンジーになるのではないか。

アルゼンチンは,第1テストマッチに引き続きブレイクダウンを筆頭に精彩がなく,後半に1トライを返すのが精一杯だった。最後のワラビーズとの2連戦で,2021年ザ・ラグビーチャンピオンシップの初勝利を目指すこととなった。

そして,オールブラックスはスプリングボクスを抜いて,世界ランク1位に返り咲き,来週からのスプリングボクスとの2連戦で,名実ともに世界NO.1のチームであることを証明する。

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