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<ラグビー>オールブラックス対ワラビーズ第2テスト,南アフリカ対アルゼンチン第1 テスト,結果

オールブラックス57-22ワラビーズ

オールブラックスは,アーロン・スミスがハカ(カマテ)をリード。ワラビーズは,これに対して矢の形で隊列を組んで対抗。2019年RWC準決勝イングランドを参考にした模様。

4分,オールブラックス13番CTBリエコ・イオアネが,オーストラリア10番SOノア・ロレシオのパスを自陣でインターセプトし,80m近く走りきってトライ。10番SOリッチー・モウンガのコンバージョン成功で,7-0。
8分,ワラビーズ14番WTBアンドリュウ・ケラウェイが,ロレシオのキックパスからトライ。ロレシオのコンバージョン失敗で,7-5。
20分,モウンガがPG失敗。
24分,オールブラックス,4番LOブロディー・レタリックが,自陣22mのターンオーバーを起点としたカウンターアタックから,6番FLアキラ・イオアネ-15番FBダミアン・マッケンジーとつないでトライ。モウンガのコンバージョン成功で,14-5。
31分,ロレシオがPG,14-8。
33分,オールブラックス8番NO.8アーディ・サヴェアがトライ。モウンガのコンバージョン成功で,21-8。
40分,ワラビーズ9番SHテイト・マクダーモットがトライ。ロレシオのコンバージョン成功で,21-15。スクラムが曲がった影響もあるが,オールブラックス7番FLダルトン・パパリイのノミネートミスだと思う。

前半,オールブラックス21(3T3C)-ワラビーズ15(2T1C1P)
オールブラックスのラインアウトとスクラムがやや安定していない。反則の多さは少しは改善された模様。また,3トライを取ったものの,2トライを返されて,ベストとは言えない状態。後半のプレー振りが注目される。

42分,オールブラックス8番NO.8アーディ・サヴェアが,チームの反則の繰り返しでシンビン。
47分,オールブラックス2番HOコーディ・テイラーが,SHアーロン・スミスからのパスを受けてトライ。モウンガのコンバージョン成功で,28-15。
53分,オールブラックス15番FBダミアン・マッケンジーが58mのPG成功,31-15。
54分,オールブラックス11番WTBセヴ・リースが,ワラビーズ12番CTBマット・トゥムーアのパスをインターセプトしてトライ。モウンガのコンバージョン成功で,38-15。
57分,オールブラックスが,15番FBダミアン・マッケンジーから23番ジョルディ・バレットに交代。イーデンパークには,激しい雨が降り出す。
60分,オールブラックスHOコーディ・テイラーが2つ目のトライ。モウンガのコンバージョン失敗で,43-15。
64分,オールブラックスが10番SOリッチー・モウンガから22番SOボーデン・バレットに交代。
65分,オールブラックスが自陣ターンオーバーのカウンターアタックから,NO.8アーディ・サヴェアがディフェンスを突破し,14番WTBウィル・ジョーダンにつないでトライ。22番SOボーデン・バレットのコンバージョン成功で,50-15。オールブラックスの対ワラビーズ最高得点記録は,2017年のシドニーでの54点となっており,この記録に迫っている。
68分,オールブラックス9番SHアーロン・スミスから21番TJ・ペレナラに交代。
69分,ワラビーズ14番WTBアンドリュウ・ケラウェイが二つ目のトライ。ロレシオのコンバージョン成功で,50-22。オールブラックス11番WTBセヴ・リースは,ケラウェイの走るコースを狭める意味合いも含め,待ちのディフェンスではなく,ケラウェイに外されても良いから,内から外へ押し出すように早めに上がっていれば,ケラウェイへの多数いたカバーディフェンスがゴールライン前で間に合ったと思う。変に待ってしまったから,ケラウェイに最速で走られ,リースは後追いディフェンスで間に合わず,カバーディフェンスもタッチの差で遅れてしまった。
80分,オールブラックスがワラビーズのパスミスを突いたカウンターアタックから,12番CTBデイヴィット・ハヴィリにつないでトライ。ボーデン・バレットのコンバージョン成功で,57-22。
オールブラックスは,対ワラビーズ最高得点記録を更新した。

後半,オールブラックス36(5T4C1P)-ワラビーズ7(1T1C)
合計,オールブラックス57(8T7C1P)-ワラビーズ22(3T2C1P)

オールブラックスが,後半早々にNO.8アーディ・サヴェアがシンビンになったものの,実力を発揮してトライを重ね,連勝及びブレディスローカッップの19年連続保持を確定した。また,ホームでは1986年以来,対ワラビーズ27試合不敗となった。反則数は,10対11でイーブンとなったものの,確実に減ったとは言えず,引き続きチームの課題となった。

前半は競ったものの後半に引き離して,第1テストマッチの鬱憤を晴らす結果となった。ただし,マクダーモットとケラウェイの2つ目のトライは,ディフェンスが十分とは言えない面があった一方,シンビンになるなど反則数の多さは十分改善されたとは言えない。28日にオーストラリアのパースで予定されている第3テストマッチでは,こうした点を改善したい。そして,ザ・ラグビーチャンピンシップでは,おそらくブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズ戦と同じ戦術(FW戦+パントキック+PGで得点)を屈指すると思われるスプリングボクスに対して,ラグビーの面白さを大きくアピールするようなゲームを世界に知らしめたい。

個々の選手では,SOリッチー・モウンガ,FBダミアン・マッケンジーは安定しているので,ボーデン・バレットとジョルディ・バレットが先発に入るチャンスは少なそうだ。ただし,ローテーションが行われれば,アルゼンチン戦では先発に復帰できそうだ。13番CTBのリエコ・イオアネは,アントン・リエナートブラウン(ALB)の怪我という幸運があった一方,結果的に大勝した試合となったため,ディフェンスを中心にしたアラが見えずに済んだ。また,インターセプトからのトライなど,アタックでは貢献した。今後スプリングボクス相手でも,ワラビーズ同様のプレーができれば,2023年RWCに向けて,ALBと先発争いをすることになるだろう。なお,WTBの一枠は,やはりウィル・ジョーダンで決まりだと思われる。残る一枠をセヴ・リース,ジョージ・ブリッジ,ジョルディ・バレット,ブライドン・エンノー,(ALBが13番の場合は,リエコ・イオアネ)らで争うことになりそうだ。

FW3列は,今のアキラ・イオアネ,ダルトン・パパリイ,アーディ・サヴェア,ルーク・ジェイコブソンで機能しているが,サム・ケーンが復帰してくれば,おそらくパパリイが外れることになるだろう。また,ホスキンス・ソツツ,イーサン・ブラカッダー,(今回のスコッドから外れているが)カレン・グレイスらの巻き返しが予想される。NO.8はしばらくサヴェアとなるだろうが,将来的には次期キャプテン候補のジェイコブソンとソツツで分け合うのではないか。もしソツツがNO.8になった場合は,ジェイコブソンは6番に入るだろう。

ところで,オールブラックスのHOダン・コールズは,以前怪我したところとは別のふくらはぎを怪我しており,回復までに4~6週間かかるとみられている。そのため,オールブラックスのHOはコーディ・テイラー,2番手としてアサフォ・アウムアとなっているが,このワラビーズとの2戦ではサミソニ・タウケイアホが良いプレーを見せたので,しばらく2番手(リザーブ)はタウケイアホが担当しそうだ。

コールズは,怪我に加えて高い年齢を考慮すれば,2023年RWCでプレーすることが微妙になる。一方,アウムアとタウケイアホはまだ若いので,2023年のみならず2027年もプレーすることが期待される。なお,テイラーは2023年がピークになるだろうが,今後さらに若いHOが出てくることが期待できるため,オールブラックスのHOについては,今後10年近くは人材が揃っているようだ。


南アフリカ32-12アルゼンチン

南アフリカのジャック・ニナーバー監督は,ブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズ戦第3テストマッチから,SOのハンドレ・ポラードを休養させ,エルトン・ヤンチース(バイスキャプテン)を先発させるなど,先発10人を交代させた。この交代はSHコブス・ライナッハ以外のBK全員に集中する一方,FWの両LOなど4人は交代せずに継続して先発する。なお,HOジョセフ・デュウェバは,このアルゼンチン戦で初キャップ・初先発となる。また,リザーブをFW6人+BK2人にした。

アルゼンチンのマリオ・レデスマ監督は,SHトマス・クベーリの怪我によりフェリペ・エズクーラを先発させ,リザーブの21番にはゴンザロ・ベルトラノウを入れた。HOにはフリアン・モントーヤがキャプテンとして先発する。リザーブの17番PRカルロス・モッツィは,初キャップとなる。

南アフリカのメンバーからは,アルゼンチンを軽視しているように見られるBチーム中心となっている。アルゼンチンとしては,アウェイでの戦いとなるものの,世界中から「面白くない」,「ラグビーというスポーツの退化」と批判されている南アフリカの10人ラグビーに対して,オールブラックスに代表される15人一体となったエンターテイメント名ラグビーで勝利したい。

試合当日に,南アフリカのリザーブSH21番ハースケル・ヤンチースが怪我のため,ジェイデン・ヘンドリクスに交代。ジュニアスプリングボクス代表のヘンドリクスは,これがテストマッチのデビューとなる。

3分,南アフリカ10番SOエルトン・ヤンチースがPG,3-0。
14分,南アフリカ9番SHコブス・ライナッハが,アルゼンチンのパスミスを取り,約60mを走りきってトライ。ヤンチースのコンバージョン成功で,10-0。
17分,アルゼンチン10番SOニコラス・サンチェスがPG,10-3。
19分,南アフリカ11番WTBアフェレレ・ファッシが,SOヤンチースのキックパスを取ってトライ。ヤンチースのコンバージョン失敗で,15-3。
24分,ヤンチースがPG,18-3。
36分,サンチェスがPG,18-6。
38分,ヤンチースがPG,21-6。
40分,サンチェスがPG,21-9。

前半,南アフリカ21(2T1C3P)-アルゼンチン9(3P)

44分,サンチェスがPG,21-12.
48分,ヤンチースがPG,24-12。
59分,ヤンチースがPG,27-12。
80分,南アフリカが,20番FWマルコ・ファンスタッデンの力任せの突破からつないで,21番SHジェイデン・ヘンドリクスがトライ。23番SOモルネ・ステインのコンバージョン失敗で,32-12。

後半,南アフリカ11(1T2P)-アルゼンチン3(1P)
合計,南アフリカ32(3T1C5P)-アルゼンチン12(4P)

スコアが示すとおり,南アフリカ特有の面白くないラグビーを展開し,アルゼンチンがそれにつきあった結果,完敗したというゲーム。南アフリカは3トライをしているものの,オールブラックスのようなエンターテイメントなラグビーではなく,最初のトライは,相手のミスを利用したもの,次はキックパスで少しはアタックの志向性があったが,最後のものは個人が力ずくで取ったようなトライで,ラグビーの創造的なアタック,エンターテイメントなトライからはほど遠い。

一方のアルゼンチンは,ゲーム間隔が空いたことが影響しているのだろうが,Bチームの南アフリカにノートライで負けたことは,来週の第2テストマッチまで尾を引きそうだ。しかし,ここは世界のラグビー界のためにも,南アフリカ相手にエンターテイメントなトライを一つでも多く取って欲しい。

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