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FACTFULNESS

ドミニカ共和国の留学中に、僕は中田敦彦さんの解説動画を見ました。リアルに世界の見方が変わりました。動画を見終わった後、僕は外に飛び出し、近くを散策して、ドミニカ共和国は「発展途上国」では無いことに気付くことが出来ました。その瞬間に、FACTFULNESSの重要性に気付きました。

この本の結論は
「データによって世界を正しく見よう」それだけです。
統計学の本のようですが、それほど難しくはありません。冷静に考えればそうだよなって思わせられることばかりです。知らないうちに、メディアに騙されていることに、気付かせてくれる本です。この本がこのことに気付かせてくれるのは、著者が印税目的に書いた本ではないからです。誰も遺書にうそは書かないですよね。
このことについて詳しくは中田敦彦さんのYou Tubeで。

【FACTFULNESS①】データを基に世界を正しく見る 〜ビル・ゲイツやオバマ元大統領が大絶賛した名著
https://www.youtube.com/watch?v=zGKLgcTn7YY

ここでは、絶対にしっておくべきことと子供に教えないといけないといけない事について書きたいと思います。テーマは以下の3つです。

1.人間はチンパンジーよりも世界のことを知らない
2.10の人間の本能
3.子どもに教えるべきこと

1.人間はチンパンジーよりも世界のことを知らない

 本書では、イントロダクションのあとに3択のクイズが13問始まります。このクイズが、この本の全てです。
例えば↓
質問1 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょうか?
A,20% B,40% C,60%
こんな問題が13問続きます。是非挑戦してみてください!
**ギャップマインダーテスト (2018年版) **
gapminder.org

この問題の人間の正解率は20%ほどです。これは、高学歴で、国際問題に興味がある人でも同様でした。チンパンジーが三択の問題を、ランダムに選んだほうが正解率は高いです。こういった皮肉を込めて、人間はチンパンジーよりも、世界のことを知らないと表現されていました。
ちなみに、僕は3割の正解率でした。ほぼチンパンジーです。
これ以下の文章を読んでいただければ、問題の答えも少し分かるようになっています。

なぜ、人間はチンパンジーに負けてしまうのか?

結論から言うと、原因は人間が10年くらい前の知識からアップデートされていないことドラマチックすぎる世界の見方をしてしまうことです。
これにより、世界についての誤解を生んでしまっています。
こうした間違った世界の見方をしないために、著者はFACTFULNESSしかないと述べています。FACTFULNESSとは単語の意味通り、事実にだけ基づいた世界の正しい見方をするということです。世界を正しく見ることができれば、判断力が上がり、何を恐れ、何に希望を持てばいいのかが分かるようになります。
そのためには、次章で書く10の人間の本能を正しく理解する必要があります。

2.10の人間の本能

人間がドラマチックすぎる世界の見方をしてしまうのは、人間に備わっている10の本能があります。それを正しく理解すれば、正しく世界を見極める事ができます。ちなみに、メディアはこの本能を巧みに操作して、洗脳しています。
この本能を正しく理解するために、本書では一つずつ解説してくれています。
10の本能は以下の通りです。
①分断本能    
②ネガティブ本能 
③直線
④恐怖本能     
⑤過大視本能   
⑥パターン化
⑦宿命本能    
⑧単純化本能   
⑨犯人捜し本能  
⑩焦り本能  

この中でも、僕が大切だと思った「①分断本能②ネガティブ本能③直線本能⑤過大視本能⑥パターン化本能⑩焦り本能」の6つについて、まとめたいと思います。

①分断本能

「分断本能」とは、世界には先進国と途上国高所得と低所得といったように極端な2パターンの国しか無いという思い込みです。さらに、その思い込みは1965年時点のデータから止まっていることが指摘されています。
1965年頃までは確かに分断されていました。しかし、現在は世界の85%が以前の「先進国」の枠の中に入っており、6%が以前の「途上国」の枠内にいます。つまり、現在は分断など無く、75%の人は中所得の国に住んでいます。さらに、低所得の国の60%の女子は小学校を卒業することが出来ています。

分断しない世界の見方
世界の国々をレベル1~4に分けて考えることで、分断せずに世界を正しく見ることが出来ます。レベル分けの基準は水の調達方法移動手段調理方法料理1日の収入の5つです。
レベル1の国では、1日2ドルの収入で、水は泥水で、移動も歩行しかありません。
レベル4の国では、1日32ドル以上の収入で、水道からきれいな水が供給され、車で移動できます。
ここで、重要なことは、レベル1とレベル4の間にも、たくさんの国があるということです。自転車やバイクといった移動手段もあります。それがレベル2や3の国になります。このように、基準を決めて世界を見れば、世界を正しく見ることが出来ます。
さらに、統計学的な視点で言えば、平均の比較と極端な数字の比較に注意する必要があります。詳しくは本で。

②ネガティブ本能

「ネガティブ本能」とは、文字通り、世界をネガティブに捉えてしまう本能です。
これに関しては、メディアの責任が大きいと思います。結婚よりも離婚のほうがニュースになりやすいのが典型例です。

ネガティブ本能が働く原因には以下の3つが挙げられています。
・良い出来事はニュースになりにくい
・ゆっくりとした進歩はニュースになりにくい
・「悪い」と「良くなっている」両立することに気づかない。

事実だけに目を向ければ、過去20年で極度の貧困にある人は半分になり、世界の平均寿命は70歳まで伸びました。それ以外にも、漸進しているデータは世界にたくさんあります。でも、人間はどうしても、こうしたポジティブな変化に気づくことが出来ません。「悪いニュースのほうが広まりやすい」ことに気づき、メディアに踊らされないことが大切です。

③直線本能

「直線本能」とは、グラフを見たときに、そのグラフはそのままの変化を続けるという思い込みです。
現在、世界には約20億人の、15歳以下の子どもがいます。国連は2100年も子どもの人口は20億人のままであると予測しています。人口全体では、2100年までに、40億人増えると予測されています。しかし、理由は大人(15歳から74歳)が増えるからです。この理由について本書では、様々な説明がされていますが、ここではとばします。
グラフはまっすぐになるだろうという思い込みに気づき、様々なグラフの形になる可能性があることを、知ることが重要です。(株やFXのチャートでもそのまま上がり続けるということは、なかなかありません、、)

⑤過大視本能

「過大視本能」とは、数字を一つだけ見て、「なんて大きいのだ」とか「なんて小さいのだ」と勘違いしてしまうことです。
例の一つに、ダボスで行われた世界経済フォーラムでのCO2排出量の議論があります。EU加盟国の環境相は中国はアメリカよりインドはドイツよりもCO2の排出量が多いことを指摘しました。CO2の排出量を削減するためには、こうした新興国の排出量を、削減するべきであるという考えです。しかし、インドや中国は国全体の排出量ではなく、一人あたりの排出量で議論を進めるべきだと反論しました。中国やインドの主張が正しいと思います。国全体の排出量を比べるというのは、人口14億人の中国と3億人のアメリカの国全体の体重を比べて、中国は肥満であると言っていることと変わりません。このように、比べるべき数字を見極めることはとても重要です。

「過大視本能」を抑えるために重要なことは、1つの数字にとらわれずに比較して、その大きさを判断すること割合で比較することの2点です。これに関しては今回のコロナウイルスでも、よく言われることだと思います。(陽性率が大切など)

⑥パターン化本能

「パターン化本能」とは、何も考えずに物事をパターン化し、それをすべてに当てはめてしまうことです。
世界の1才児の中で何らかの病気に対して、予防接種を受けている子どもは80%います。しかし、テレビでは、予防接種が受けられない、アフリカの子どもたちの映像を頻繁に見ます。それによって、アフリカの子供のほとんどが予防接種を受けられないと、思い込んでしまいます。実際、この接種率をグローバル金融の幹部たちの85%は、勘違いしていました。かなりの金融マンが、投資のチャンスを逃しているということです。このように、1つのことを、すべてのことに当てはめてることはとても危険です。
「うつぶせ寝」は世界基準の回復体位として、応急処置の講座では教えられています。(2015年時点)これが発見された1960年代は、赤ちゃんにも同様の回復体位が採用されていました。しかし、赤ちゃんの突然死は増えました。成人に当てはまることは、赤ちゃんにも当てはまると思い込み、この原因が、うつぶせ寝の回復体位にあることには、気付きませんでした。20年間ほどの期間は、この対応が変えられず、多くの赤ちゃんの命が奪われました。このように、1つに当てはまることが、全てに当てはまるという考えは捨てないと、大変なことになります。

パターン化本能を捨てるために重要なことは以下の5つです。
・同じ集団の中にある違いを探す
・違う集団の間の共通項と違いを探す
・「過半数」に気をつける
・強烈なイメージに注意する
・自分以外はアホだと決めつけない

⑩焦り本能

「焦り本能」とは、目の前に危機が迫っていたら、何かしなければと思い、誤った判断をしてしまうことです。
かつてのエボラ出血熱の対応の時に問題となりました。1995年のコンゴ民主共和国では、エボラ出血熱の発生に政府は焦り、道路封鎖を行いました。すると、キャッサバが出回らなくなり、価格が高騰した結果、毒抜きされていないものが出回り、手足の麻痺や失明などが起こりました。このように焦りに任した対応は、予想外の二次災害を生み出す可能性があります。今回のコロナでも、焦りによる二次災害(買い占めなど)は少なからず、発生しました。論理的な思考により、冷静に判断することが求められます。

焦り本能を抑えるために大切なことは以下の3つです。
・データにこだわる
・過激な対策に注意する
・占い師に注意する

3.子どもに教えるべきこと

この本を読んで、僕自身の世界に対する見方・考え方は変わりました。
ドミニカ共和国のこともこれまでは、「発展途上国」と言っていました。しかし、この本を読んでからは、レベル1~4の人がいる「貧富の差が激しい国」と表現することが出来ます。このように、世界を正しく見極める力はとても大切だと思います。なので、子どもたちには世界を正しく見極めるために、「FACTFULNESS」を実践させていく必要があると思います。
そのためには、情報リテラシー(統計リテラシー)が必要だと思います。本書にもあるように、全体で比較せずに割合で比較するといった、正しい比較を出来るようになることが、大切です。そうすることで、世界は少しずつ良くなっていることに気づき、その上で何が必要なのかということにもづく気付くことができます。
僕自身もFACTFULNESSを実践し子どもたちにはFACTFULNESSな授業をしていきたいです。(最後は面接風)

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