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「ITコンサル」の多様化。 どんな職種があるか整理してみた (アクセンチュアなど総合ファーム転職検討してる人向け)

対象読者

・コンサルティング業界について幅広く知りたい方

・「ITコンサル」 を現在検討している方

・ITコンサル に もうなっている方
(最後のITコン以降のキャリアパスの箇所が該当)

書いてる人

 アクセンチュアで8年働いた人です。ITコンサルからキャリアをはじめ、最後はファイナンス系の仕事をしながらUSCPAを取得しました。USCPAを取得したあと、事業会社~コンサル~FASなどの転職活動を経験しました。
ほぼ全ての会社で内定を取れた経験を基に(内定なしは辞退のみ)色々Noteに書いています。

(最近特に読まれている記事は: アクセンチュアで入社半年で昇格した事例を整理してみた

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活況のコンサル業界 - アクセンチュアの成長率を例に

ITコンサルという、コンサルの中の1カテゴリを語る前に、コンサル業界の景気動向を見ておきます。(読んでくれてる方は、ITコンだけではなく、転職先として、コンサル業界全体をなんとなく考え始めたという方もいると思うので)


 で、結論ですが、 

コンサルティング業界はこの10年間は、常に成長し続けています


ちなみに、「日本経済全体は 「失われた30年」 を迎え、この30年ずっと実質GDPは1~2%程度と、先進国の中でも最低レベルが続いています。このような状況の中でこれは驚異的な数値です。


試しにアクセンチュアの数字を見ていきましょう。

出所: Web上の公開情報を基に作成

 上記は、アクセンチュアの従業員数と成長率をグラフ化したものです。


 コンサルティング業界は、「一人あたり請求金額(売上)× 従業員数」※という単純なビジネスモデルですので、従業員数の伸び イコール 売上の伸びとほぼほぼ一致します。ですので、上記のグラフから見るトレンドと売上トレンドもニアリーイコールとなります。要は、さきほど書いたとおり、アクセンチュアはこの10年間ほぼずっと 「2桁」成長してきています。

※間接人員は当然 除きますが議論を単純化してます


何度もいいますが、「日本経済全体は 「失われた30年」 を迎え、この30年ずっと実質GDPは1~2%程度と、先進国の中でも最低レベルが続いています。このような状況の中でこれは驚異的な数値です。
(重要なことなのでニ回言いました笑 )


活況のコンサル業界を支える 「DX市場」と「ITコンサル」


この驚異的な成長を支える背景はなんでしょうか?


それは各企業のIT投資です。


以下は、国内のIT投資の推移ですが、2011年のリーマンショック以降は常に伸び続けています。

国内IT投資の推移

出所:総務省、「情報通信白書」(令和2年)


国内IT投資の推移

出所:富士経済グループ

 少なくとも2030年まで続くと予想されています(他にも各社でそれ以降もIT投資は増えるという予想はあります)。

 こうした堅調なIT投資 がITコンサルティングの受注につながり、アクセンチュアを始めとする総合コンサルティングファームや大手SIerなどの成長を支えてきました。

(もちろん戦略コンサルティングも伸びてますが、1案件の案件の金額で見ても、コンサルタントの数で見ても規模が違います。ITコンサルティングでは1案件 数十億円規模のものも珍しくないですし、ITコンサルタントの数もアクセンチュアだけでも数千人いますが、戦略コンサルティングの場合は大きくても1億弱 程度、戦略コンサルタントの数もアクセンチュア内で数百人です)

ITコンサルのいま – 様々な職種がある

 長々書きましたが、それでは、こうして堅調に伸びているコンサルティングファームのITコンサルタントたちはどんな人達がいて、何をやっているのでしょうか


 ITコンサルタント というと、一昔前はSAPやORACLEに代表されるERPパッケージ導入支援コンサルタントや、金融機関などで必要な堅牢なシステムが必要なクライアントを相手にフルスクラッチでカスタム開発を100人規模で行うといったイメージが主流でした。


 そして、大体は最初はこのような大規模なプロジェクトに配属され、最初はテスターとしてプログラムの挙動を自分で動作確認して、テスト結果を丁寧にドキュメントにまとめる作業からはいり、要件定義や設計やPMなどができるようになっていくといったキャリアパスが一般的でした。


しかしいまは、ITコンサルタント と一口で言っても様々な職種が存在します。


一例ですが、以下のような 業務/職種があります:

・アプリケーション開発者(フロントエンド、サーバーサイド)

・UIUXデザイナー、

・データサイエンティスト、

・BIコンサルタント

・機械学習エンジニア、

・クラウドエンジニア(AWS / GCP / AZUREなど)

・プロダクトマネージャー(PdM)

・プロジェクトマネージャー(PjM)

・CRMコンサルタント

・人事SWコンサルタント

・ SAPなどERPや基盤システムコンサルタント


 もちろん、まだまだ主流の稼ぎ頭はERPコンサルタントや基盤システムの開発ですが、上記の職種は総合コンサルティングファーム内で確実に増えており、今後も増加傾向にあります。


(ちなみに、未だにSAP / ORACLE などの基幹システムコンサルタントも悪い選択肢ではないと思います。大企業のシステム刷新需要は尽きることはないでしょうし、今後の市場予測を踏まえれば給与・待遇面や将来予測も良いからです)


ITコンサルの給与と昇給ペース

 給与はファームによって様々ですが、概ね アナリストやアソシエイトと呼ばれる下位のランクが400~500万程度、コンサルタントやシニアアソシエイトと呼ばれるランクが600~800万円程度、マネージャーが900~1100万円程度でしょう。(※個人の見解および残業込みのイメージ)


 上がりやすさに関しても、次の職位に上がるまでだいたいが2~3年程度で上がれるという意味では、行っている業務が多角化しているといえどこうした昇給・昇格のルールは共通のようです。


ITコンサルの多角化の背景

 ITコンサルタントの様態が多角化している背景は、一言で言ってしまうと、ありとあらゆるビジネスプロセスでIT活用が進んでいるから、ということに尽きます。

 オンラインでモノやサービスを購入したり情報を入手することが当たり前となったいまでは、データをフル活用し一人ひとりの嗜好を読み解きながら、オンライン~オフライン問わずに適切な販促活動や企画を実施していくことが求められるようになりました。

 そのためには、顧客管理システム(CRM)、Webアナリティクス、ビッグデータ分析などで顧客動向を掴みながらも、適切なリソース配分ができているかをERPで観測し、このような現状分析を踏まえながらWebサイトやモバイル、アプリなど複数のカスタマーとの接点で適切な企画(新商品/キャンペーンなど)を打っていくとということが必要になります。

 またこれにリアルな物品がからんでくると、注文~在庫の引き当て~出荷~配送状況の可視化や効率化するための導線設計や数値の視える化などもはいってきます。ここまで書いてきたとおり、今ではありとあらゆる領域でITの活用が必要なのです。

 こうなると自然と、昔のように基盤システムをつくって経営データ(主に財務データやKPI)を可視化するといったことのみならず、実際に上記したようなデータ活用やWeb企画の実装などが必要になってきますし、コンサルティング業界も、「ただ絵を書くだけではなく実行支援も当たり前にやる」という風潮も相まって、ITに関連するすべての領域でコンサルティング・ファームの人材が活躍しているのが今の実態です。

転職前に知っておくべきこと

 いずれにせよ、ITコンサルタント、と一言で言っても、いまでは様々な職種が存在し、かつ、様々なキャリアパスが存在することを覚えておくと良いでしょう。

 このような業務・業態がコンサルティング・ファームでも存在することをしっかりと認識しておくことで、

「そのような選択肢があることを知らなかった」といった事態を防ぐことができます。


そして、より具体的には、以下の3点をおさえておくとよいかと思います:


・ITコンサルタントと一言で言っても、いまでは様々な業務が存在し、かつ、様々なキャリアパスが存在する

・どの業務を自分が志向するのか調べる / 確認する

・各社のキャリア・パスを調べる


 1点目~2点目に関しては、先程紹介したような職種以外にも、自分でも求人票を見て調べてみたり、コンサルティング業界に詳しい人に話を聞くなどして実態を掴み、自分が志向する職種を掘り下げるのがよいかと思います。


 3点目の 「キャリア・パス」 に関しては、会社によって選考時点から入り口が既に細かく分かれている場合もありますし、「デジタルコンサルタント」といったようなざっくりとし入り方をしてから、具体的な業務が別れていく場合もあります。コンサルティングファームの求人票は、ざっくりとして職務内容やキャリアパスもイメージがつきにくいことも多いので、この点はよくエージェントなどにも確認するべきだと思います。


 また、もし自分が希望する業務はやっぱり違った、と入社後に気づいたとしても希望する案件に手を上げ続けたり、異動制度がある場合もあるのでやはり、キャリアパスをまずは調べること、そしてできるだけ早く動くことです。なぜかというと、案件を重ねるごとに「その業務の色」がついてしまい、キャリアパスが狭まっていくからです。例えばSAPコンサルをやっている佐藤さんという人がいる場合、「佐藤はSAP案件の人員としてカウントできるだろ。あと他に誰かな~」とマネージャークラス以上に見られるようになってしまうからです。

ITコンサルのその後のキャリア


ITコンサルのその後のキャリアも書いておきます。

概ね以下の4タイプに別れます


① 内部昇進 / コンサル会社横断コース

② 事業会社 CxO / ICT企画室 / DX推進本部 / 経営企画 など

③ 職種別のキャリアパス(●●エンジニア、PdMなど)

④ 独立 / 起業


① 内部昇進 / コンサル会社横断コース

内部昇進は社内で順調に昇格するケースです。上記で書いたとおり、問題なければマネージャーくらいまでは新卒入社でも20代で昇格できるはずです。


 コンサル会社横断コースは、同じ職種・業務内容で他のコンサルティングファームに転職するパスです。

「コンサルティングファームは転職すれば数百万の昇給が可能」 と言われるとおり、どのファームも人手不足なので、即戦力の人材はオファーを積んだり、下の職位だった人を次の職位で入社してもらうなどもすることがあります。(もちろん能力は見られますが)場合によってはこのほうが早く年収を上げたりキャリアアップできる場合があります。


② 事業会社 CxO / ICT企画室 / DX推進本部 / 経営企画 / 事業企画 など

 最近、よく聞くICT企画室、DX推進本部、複雑なシステムPM / ERP PMやチームリードなどを経験している場合は行けるようになります。経営企画 / 事業企画は、業務KPIの設計や業務フローの作成、数値の視える化などをしていれば可能性はあります。(僕の場合はどちらも事業会社からどちらも内定をもらいました)

 CxOは、スタートアップの場合で、言語での開発経験や開発リード経験、システムアーキテクトなども横断しての経験値があれば行ける可能性はあると思いますが、ITコンサルタントでそのような経験値までいく場合はストレートにそうした業務を行いつづけて35歳前くらいになると思うので、そこまで早いキャリアかというとそうでもないと思います。もしくは、ICT企画などに転職して、その次の転職で室長、その次の転職でCTOなどになる人もいます。


③ 職種別のキャリアパス(●●エンジニア、PdMなど)

 機械学習エンジニア、Reactエンジニア、Rubyエンジニア、PdM、UXデザイナーなどはもはや独立した業務 / 職種なので、その後も社外でコンサルタントとしてではなく、このような職種でのキャリアパスを描くことができます。もちろん、デジタルコンサルタントやITコンサルタントとして、他のファームに転職したりするのも可能です。


④ 独立 / 起業

 すべての業務で、独立や起業が可能だと思います。というのは、そもそもコンサルティング会社の業務そのものが、クライアントが難易度が高いと感じ、外部に高い単価を支払ってでも行ってもらたいと考える業務なので、それをコンサルティング会社にいながらやるのか、独立してフリーランスで受けるかだけの違いです。

 ちなみに僕が知ってる人で、SAPコンサルタントで英語を使える人で、月額単価250万円の人を知っています。PdMでも170万程度の月収の人もいます。その意味では、ショットでの実入りはよくなることはできるでしょうが、会社内の均一化された給与制度ではなく、職種別の労働市場単価の影響や景気動向をダイレクトに受けることになることには注意が必要です。要するに、自分がいくらで売れるのかを常にウォッチする必要があるということです。

ただの「●●をする人」 にはならないように気をつける


 色々書いてきました、ここまで読んでくださった方であれば、ITコンサルタントは、最新のIT技術を駆使しながら問題解決にあたるという意味では共通ですが、様々な職種があることをおわかりになられたかと思います。


 取り扱うツールや技術が具体的である分、クライアントから価値を認められやすいことも多いです。「コンサルタント」には少なからず胡散臭いイメージをもつ人もいるかと思いますが、「ITコンサルタント」 や例えば 「CRM導入コンサルタント」 にそのようなイメージを持つ人は少ないでしょう。


ただし、逆に言えば取り扱うソリューションや技術が具体的である分、


「何のために自分はこの導入支援をしているのか」


を考えることは重要です。


 事業会社への転職後やフリーランスとして独立した後に上手くいかない方は、ただの「●●をする人」になっている人が多いように思います。

 究極的には、財務KGIやKPI(例えば売上や購買点数、リードタイムなど)を伸ばすためにツールを使ったり、、技術支援をしているわけですから、そのような観点でのコミュニケーションや課題の発見なりができないと独立後はクライアントとあまり上手くコミュニケーションできずに困ることになるでしょう。また、独立しなくても職位が上がれば同様の姿勢は、クライアントと話すことがメインになるため当たり前に求められます。

 扱うツールや技術が具体的である分、ただの「●●をする人」にはならないように気をつけましょう。(自戒の意味も込めて)


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