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創作の原点、ルバーブの幾何学模様タルト
家族LINEで隅田川花火の映像(もちろんテレ東バージョン)が送られてきて、ああ、今って夏だったっけ、とひとりごちる土曜日の昼下がり。
ここ北フランスの港町、今日はちょっと暖かくて現在20度。うっかり夏を忘れそうになる涼しさである。日本のみなさん、避暑地におすすめ、どうでしょう?
最近ふと、年を重ねると近しい友達って少なく、いや、自然と絞られるものよねえ・・・と、話す相手がいないので横にいる俺🐶につぶやくことが多い。俺はキョトンとしているが。
一般的にもきっとそうなのだろうけど、私の場合はとりわけだ。振り返ってみれば、学生時代の友人たちが結婚出産ラッシュだった4年間は日本にいなくてそのあたりからなんとなく疎遠になってしまったし、パリの4年間でできた友人たちとは北への引っ越しで離れてしまった。あれよあれよと漂流し、今じゃ完全に、大陸の果ての日陰で相棒の犬ともぐら生活を送るただの主婦である。
そもそも家好きだから出不精になりがち。外に出ても、人見知りだし知り合いがひとりもいないところで友達なんてどう作るんだかわからないんだYO。顔見知りになったカルフールのレジのマダムと週に2、3度言葉を交わして、日本土産をすっと手渡すのが精一杯。
そんなネクラなもぐら主婦にも、誕生日のメッセージを送りあったり、たまに最近どうよ?と気にかけてくれたりする友がいる。
そのうちのひとりが、かれこれ友人歴30年くらい?ピアノがつないでくれたソウルメイト、港区男子のMくん。
私のnoteはバスタイムのお供で、ストーカー並みに追ってくれているらしく、直近だと俺のanan登場もソッコーでお祝いしてくれた。お祝いに続いて、「ストウブのパンもジャムもほんと美味しそうだわ。でもやっぱり定期的にルバーブのタルトの写真見ちゃうのよね・・・(中略)・・・寄木細工的なあれほんとすごいわww」と。
作者ですら忘れかけていた我が酔狂的創作物のなかでも、飛び抜けてる感があるもののひとつ。Mくんの言うルバーブのタルトとはこのこと。
ああ、そういえばこの季節、パリの極小キッチンで作っていたなあ。思い出させてくれてありがとうMくん。
酔狂モードが入ってない正常時にみると、これどうやって作ったんだろう私?と自問自答したくなるレベルなのだが、一応自分でイチから作ってるのは確か。酔狂モードのスイッチが入ると集中しすぎるんだなきっと。この過集中こそが我が創作のキモなのだろうけど。
昨年はパリから北への引っ越しなどでひっちゃかめっちゃかな感じだったので、こんな時間も手間もかかりまくるブツを作る余裕なんてなかった。
今年は余裕しかないので、我が創作の原点に立ち返ってみることにしよう。
【1】タルト生地づくり
1日でも作れるけど、当時、義母到来に合わせて同時進行でこっくりプリンも作ったりしていたので、こちらはのんびり2日がかりで作ることにする。
まずはタルト生地をつくる。フランスのママンレシピ本から、パート・サブレのレシピで。
小麦粉:250g(T65とT45混合)
グラニュー糖:125g
バター:125g
卵黄:2個分
塩:ひとつまみ
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ボウルに小麦粉と砂糖と塩を入れて混ぜたところに、やわらかくなったバターを加えて、フォークでつぶしながら粉類となじませる。馴染んできたら手ですり合わせて砂状に。砂漠ができたところで、穴をほって卵黄ポイ。
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すばやく捏ね合わせてひとまとまりにして、生地をラップに包んで冷蔵庫で一晩寝かせる。
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最近PATAさんの神々しいPASTAを拝見していないけどお元気だろうか。
【2】ルバーブのコンフィチュールづくり
勝負はここから始まっている。
ルバーブは真っ赤なものから真緑のものまであるけど、赤と緑のグラデーションになっているものを選ぶ。この選択が幾何学模様をつくる際、とても重要。
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タルトの上にのせる分をシミュレーションしながら必要分カットする。寄木細工感がすでに出てきたかしらね。
![](https://assets.st-note.com/img/1690646180149-lHFAnz1UAw.jpg?width=1200)
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残った分のルバーブは同量の砂糖とレモン汁を加えて弱火でコトコトし、コンフィチュール化する。
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ここまでで1日目は終了。
【3】クレーム・ダマンドづくり
2日目スタート。
この酔狂タルトの構成は、下からパート・サブレ(タルト生地)、クレーム・ダマンド、ルバーブのコンフィチュール、生ルバーブ、砂糖の順。なお、ルバーブのコンフィチュールは圧倒的に量が足りないので、以前ジャムおばさんごっこをして作ったアブリコのコンフィチュールも使う。万能アブリコ万歳。
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タルト本体のアパレイユは、ラムを効かせたクレーム・ダマンド。材料全部ほぼ同量ってのだけは覚えていた。
アーモンドプードル:100g
グラニュー糖:100g
バター:100g
卵:2個
ラム酒:好きなだけ
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【4】組み立て(1)土台
メンバーはそろったので、ここから組み立てに入る。
絵を描くキャンバスは広い方がいい。18cmとか20cmとかちっちゃいこと言ってないで、フランスでメジャーな28cmのタルト皿を使う。これで8人分かな。タルト生地をひたすら伸ばして、型に敷き詰めて、フォークで軽くピケる。
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このなかに、クレーム・ダマンドを敷き詰める。美しく平らにならしたくて、自分でストップかけないと永遠にぺたぺたしてしまう。
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ここに、ルバーブとアブリコのコンフィチュールで彩りを。印象派の描く日の入りか?
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それにしてもやっぱりルバーブのコンフィチュールは圧倒的に足りなかった。マダム・コンフィチュールは数日前からこのことを予見していたのか?
【5】組み立て(2)ルバーブの寄木細工
フィナーレにして最大の見せ場。赤系は真っ赤パートと赤ほんのりパートにさらに分けて、慎重に並べていく。
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多少空間が空いてもよし。遠くからみたらわからないから(自分でも几帳面なのかテキトーなのかがわからない)。
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時間の概念が消えているのでどれくらいかかったかはわからない。並べ切った瞬間は10kmマラソン走り終わったときの感覚かな。
よし、美しい。合格!
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すでにここがクライマックスの感。お疲れさま私。
そうそう、どれくらいかかったかわからないと上で書いたけど、写真の時刻見ればいいじゃんとジャストナウ気づいたのでiphoneから見てみたら、20分くらいで並び終えていた。意外にも私、仕事早かったな。
【6】焼きと試食
本当はこのままずっと愛でていたい。でもそれでは食べられないというジレンマ。焼くと美しさが半減するスイーツNo.1なんだよなこれ。
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ああ、やっぱり地味。でもこの素朴な感じもいいのかも?
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私は8分の1を味見したけど、ルバーブ特有のきーんとした甘酸っぱさが、クレーム・ダマンドの濃厚ぽってりな甘さをいい感じに軽やかにしてくれて、大変美味しい。フランス人母子にもいたく好評で、8分の7は彼らが平らげた。
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将来ボケたりしても、この味はきっと、フランスのこの季節を思い出させてくれるんじゃないかな。寄木細工に夢中だった若かりし頃の自分も。
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