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マイ・ロシアンたらこ缶ストーリー・イン・パリ【第2章】〜執念〜

先日投稿した、ロシア食材店のたらこ缶ストーリー。みな魚卵に飢えているのか、在仏の友人からの反響が大きかった。

今週は、このロシアンたらこ缶のことばかり考えていた。手持ち無沙汰なとき、缶をお絵かきしてしまうくらいに。

なんだか蛭子さんっぽい仕上がり。

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ということで今日は、ロシアンたらこ缶ストーリー第2章。3日間にわたるロシアンたらこ缶にまつわる奮闘記を、パリの秋の風景とともにお送りしようと思う。長くなりそうな気しかしないけれど、写真も多いので、お付き合いいただけると幸い。

DAY 1 姉さん、事件です

週末は天気も悪かったのでほぼ引きこもって過ごしたが、いつまでもメソメソしてはいられない。でも、何か目的がないと散歩する気力が湧かない。

そういえば先日、すずきけいさんのおすすめ記事から光速でGoogle map検索をかけたときに、うちの日常散歩圏内に2軒、ロシア食材店があることを知った。


そうだ、先日と違うお店に偵察にいってみよう!

火曜日のお昼前、愛犬とともに出発。15分ほど歩き、商店街から小道に入ったところにそのお店はあった。マトリーショカがいるので、すぐにわかる。

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若干緊張して店内に入ると、おそロシアな雰囲気は一切感じないお姉さん。奥まで一周しても冷蔵コーナーに例の缶詰が見つからなかったので、「この缶詰を探しています」とたらこ缶写真とともにお姉さんに尋ねる。

「あ!これね。同じのはないけれど、これならあるわよ」とお酒が入っている冷蔵庫から取り出したのが、こちら。

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お値段2.4ユーロ。例の青い缶詰より小さめだけど、この価格ならチャレンジしてみてもいいかと購入。帰宅後、さっそくご開帳。

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見た目は青い缶詰のものより若干水分が多めな印象。スプーンでそのまま食べてみる。うーん、ちょっと生臭いかな・・・。

これはそのまま白米ONはちょっと難しいかもと思ったので、パスタに。先週末に仕入れて茹でて冷凍したタコ(これはおそらく明日の記事で詳しく)を、バターで炒める。

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クリーム系にすれば臭みがとれるのではないかと期待し、たまたま開封した生クリームが残っていたので、そちらをどばっと。例の如く昆布茶も投入。その後、茹で上がったパスタを加える。カロリー高そうだなあおい。

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たらこを入れまして、混ぜたら完成。

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ディルが余っていたので、上にのせてみた。

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うん、普通に美味しくはあるんだけれども、クリームが強過ぎて今度はたらこらしさがほぼ消えてしまった。牛乳にしとけばよかったかな・・・。

食べながら、探し求めているあの青いたらこ缶と、今回のたらこ缶を比較。

青いたらこ缶:今回のたらこ缶
3.8ユーロ/130g:2.4ユーロ/100g
約29ユーロ/kg:24ユーロ/kg

なるほどやはり、あの青いたらこ缶のほうがちょっとお高めなのね。ふむふむ。
あとで最初のお店にいこうっと。

そんなことを考えていた夕刻、たまたまご近所朝カフェ友のEちゃんからの通報。

「例のたらこ缶のお店はこの店(今朝行ったマトリーショカのお店の写真)かえ?」

と。ちなみにEちゃんとは、外出禁止中に品切れが相次いでいた小麦粉のありかを日々パトロール&通報しあっていた仲だ。

わあ!なんたる偶然!
そのお店は今朝いったことと、このお店ではなくもう一軒のほうだということをお伝えしたところ、速攻足を運んでくれて、第2報。

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まったくもって、悲報である。

木曜の夜、パリ深酒友Aちゃんの家にもっていく約束をしているのに・・・なんてこった!困った!!


DAY 2 捜索範囲、拡大

昨日の悲報を受け、対策を考えなくては。

歩いていける範囲で、他にもロシア食材店はないものか・・・。タスケテGoogle map。

すると、15区からセーヌ川を渡って対岸にある16区。南北に1軒ずつ、ロシア食材店があるらしい。

シンプルすぎるこの自作マップでいうところの、赤で⭐︎マークをつけたあたり。

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16区なんて、外出禁止になる前、凱旋門(Arc de Triomphe)の先にある日本大使館まで走っていったときに通り過ぎて以来、足を踏み入れていない。

ただ、ちょうどこの日、Bir-Hakeim(ビラケム)橋近くのレストランでパリ大先輩のHとランチの約束をしていたので、北にあるほうのお店まで少し足を伸ばしてみるか。

お昼前、愛犬とともに徒歩にて出発した。

・・・

ここでちょっと嫌なお話をしてしまうのだが、まあこれが現実ということで。

約束のレストランに向かう際、目の前から歩いてくる白髪女性。お互い歩いて通り過ぎる際に、思いっきり私の前に唾をはかれた。その後、「Virus jaune!」と。

・・・・・・ん?「黄色いウイルス」?

あれ、今、私差別的発言された?されたよね。と自問自答。こういうことは稀にあるのだが、いつも固まってしまって即座に反応できない。

ふつふつぐつぐつと怒りと悔しさが湧いてくる。

心の中で、
「○×△□⭐︎!?*!!」と、リーガル・ハイの古美門弁護士なみに捲し立て、「●×▲■★!?*!!」と、タスクフォースの乃原弁護士なみに悪態をつく。

あーあ。Covidでさらに、ピリピリぎすぎすした世の中になってしまったものだ。強く生きなきゃいけないな。っていうか、私のことはどうでもいいから、おめかしして可愛いうちの子を見てくれよ・・・🐩

・・・

気を取り直して、ランチする予定のレストランへ。

ここは駐在していたとき、ランチによく来たレストラン。前はザ・フレンチのビストロだったけれど、メニューをリニューアルしたようで、ベジタリアン用やポケボウルなどナウなメニューも並ぶ。

外では極力、うちで作らないものを頼むことにしているが、そうなると大抵いつも、タルタルステーキ(生肉ステーキ)。でも今日は、「イカ」のワードに惹かれて、イカの炒め物をHとともにチョイス。イカ焼きそばのようなものが出てきた。

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パンの匂いを嗅ぎつけて、バッグの中でおとなしくしていたのに、おねだりをするミルゥ。

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喋り倒した後、Bir-Hakeim橋(ビラケム橋)を渡って、16区へ。自由の女神が背を向ける真ん中のGrenelle橋(グルネル橋)よりも、エッフェル塔がぐんと近くに見える。

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ジャンヌダルク像とエッフェル塔と俺ミルゥ。

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橋を渡り終え、半年ぶりに足を踏み入れた、16区。

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16区の特に北側は、パリ随一の高級住宅街。駐在員のファミリーや品のいい老夫婦がたくさん住んでいるイメージ。

階段をみつけると、スタコラサッサとものすごい勢いで昇っていくうちのミルゥ。

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橋を渡り終えてすぐ、メトロ6番線のパッシー駅がある。右上にみゆるが、パッシー駅の改札。

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仲良しのご家族が以前この近辺に住んでいた、パッシープラザ。ユニクロも出来たんですね奥さん。

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ボンマルシェの食料館の支店。ジャングル風。前に入っていたデパート、人がいなくて穴場だったのに潰れてしまった。

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目的のお店を発見。ここにもマトリーショカ。

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お店に入ると、どうやらちょうど配達の時間だったらしく、店員のおねえさんが「今とっても忙しいから20分たったらまた来て」と。

えー、買いたいもの決まってるからすぐなんだけどなと思い、「ちなみにコレありますか?」と青いたらこ缶写真を見せると、「ええ、あるわよ。でも20分後に出直してきて」と。こういうの、あるある。

絶対20分後きっかりに行っても追い返されるだけだろうと、仕方なく、さらに付近を散策し、カフェに入る。ちょうどこのあたりは全仏オープンが開催されている会場が近い。ちょうど席についたころに、錦織圭選手の試合が始まった。がんばれーと祈りながら、シャルドネを一杯。

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約1時間後、お店に舞い戻る。さすがに落ち着いたようで、私がお店に入ると「ああさっきの」と。お姉さんが、売り場から持ってきてくれる。16区価格で、お値段5ユーロ。高いけど、背に腹は変えられない。無事にゲット。

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さらに徒歩にて家まで戻る。今日はトータル約8.5km歩いた。

これで明日の準備は万端だなと、冷蔵庫にたらこ缶を入れようとした、そのとき。

缶詰の面に刻印してある日付が、2020年4月19日と書いてあることに気付く。

ん・・・・・・???
ロシアって賞味期限じゃなくて缶詰にした日を書くものなのかしら???

調べようがないなあと思い、ふと、マイ・ファーストたらこ缶の写真を見直してみた。写真は撮っておくものだ。

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2021年2月11日

やっぱりこれ、賞味期限のようだ。
本日仕入れたセカンドたらこ缶、半年過ぎてる・・・。

海外在住あるある、乾物ならば大体賞味期限切れている我が家だし、食べて変な味がしない限り大丈夫、つまり賞味期限をまったく気にしない私。でも、さすがに今回はAちゃんの家にお持ちするもので、私ひとりがお腹痛くなるのは構わないけど大切な友人たちを巻き込むわけには、いかない・・・!

たかが5ユーロ、されど5ユーロ。ダメ元で購入元のホームページに行き、お店のアドレスから缶詰の写真とともに、メールしてみる。

「今日買ったたらこ缶、見たところ賞味期限が切れてるように思うのですが、交換もしくは返金していただけませんか?」

泣き寝入りになるかなあと思ったのもつかのま、お店から1時間くらいで返信。

「本当にごめんなさい。返金も交換も承ります」と。

言ってみるものだ。近日中に伺いますと、メールを返した。


DAY 3 執念の再捜査

おでかけする夜までに、なんとしてもあの青いたらこ缶を再度入手したい。

昨日のお店(16区北)に行って、万が一交換商品がなかった場合に備え、もうひとつの可能性もつぶしておこう。ということで、作戦はこうだ。

①16区南のお店を偵察
②昨日行った16区北のお店で交換or返金
③もし両方ダメなら、Aちゃん宅に向かう途中にある最初のお店に立ち寄って、最後の望みをかける

左岸15区から右岸16区につながる橋は、3つ。先ほどの自作マップに示したように、北がビラケム橋、真ん中がグルネル橋、そして今日は南のミラボー橋だ。アポリネールの詩で有名な、このミラボー橋。

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この橋からは、15区の高層ビル群がよく見える。

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お天気は相変わらず不安定だけど、私のたらこ捜査を応援してくれるかのような青空。

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30分くらい歩いて、ようやくお店のあるAvenue Mozart、モーツァルト大通りに到着。上の写真の通りはジョルジュ・サンド通りだし、北側にはベートーベン通りもあったりして、16区は作曲家関連の通りが多いのかな。

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お花屋さんはそろそろハロウィン仕様に。私のトップページも、10月はカボチャ祭りに仕様変更Done。

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お目当てのお店に到着。こちらももれなくマトリーショカ。

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緊張して入るも、店員のマダムは作業中であまり気にかけてこない。ゆっくり店内を物色。

冷蔵コーナーで、どうみてもイワシと書いてある魚を発見。気になるけど、これはあまりに巨大すぎやしないか。

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これはなんとなく、めかぶっぽく見えるのだけど。。

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冷蔵コーナーで見当たらなかったので、作業を終えたマダムに、例のごとく「この青いたらこ缶ありませんか?」と尋ねてみる。

とってもサンパなマダム。ああこれならここにあったような・・・とごそごそ探してくださるも、今は売り切れねと。来週の○○には入荷すると思うわよ、と教えてくださる。

実物は手に入れられなかったが、存在自体の有無が確認できたので、収穫あり。モーツァルト大通りをさらに北上して、昨日のお店にむかう。

街を歩いていると数多くのアートに遭遇できるのも、この街の魅力。

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昨日のお店に到着。昨日のお姉さんと、赤いメガネをかけた割腹のいいムッシューがなんやら話している。

あのー、昨日ここでコレを買ってメールした者ですが・・・と言うと、お姉ちゃんのほうは相変わらず「はぁ?」って感じを崩さない。でもムッシューの方が、

「ああ本当にごめんよ!申し訳ない!!今日は残念ながら交換は対応できないけれど、君のために発注しておいたから、来週入荷すると思う。」

といって、快く返金対応してくれた。

こんなに非を潔く認めて、平身低頭な姿勢で対応してくれるのは、なかなかに珍しい。誰にでも間違いはあるのだから、リカバリーが大事よね。うん、また来よう。

いつものグルネル橋を通り、うちに帰った。この時点で6.3km。

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それからバタバタと家のことを済ませ、Otto氏にお好み焼きを作ったりなんだりして、おでかけ準備完了。

最後の望み、③だ。Aちゃん宅にむかう途中に、最初に青いたらこ缶をゲットしたこのお店に立ち寄って、確認。

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在庫状態はEちゃんが送ってくれたものと何ら変わらず。青だけ、ない(涙)

先日のオーナーっぽい大統領系ではなく、今日はロシア系マダムがせわしなくレジ作業を行っている。「これはいつ入荷しますか?」とレジ作業がひと段落したマダムに尋ねると、ここではよくある氷のようなクールさで「たぶん来週か再来週のいつかよ」と。

あああああ。これで約束を果たせないことが明らかに。悔やみながら、Aちゃん宅までの道を急ぐ。

飼い主のがっかりと相反して、草むらで犬のお友達に会えてうれしさのあまり興奮するミルゥ。

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10数分後、Aちゃんの家に到着。約束したのに入手できませんでしたごめんなさい土下座で詫びますと、謝罪。

その後、胃と心の友Aちゃんも合流し、飲みながらこの一連の詳細を話すと、

「え?そんなの切れてても全然いいよ。食べてみてやばかったらたらこスープにすればいいじゃん」

・・・ですってよ。

ああ神様・・・私は友人の器の大きさをどうやら見誤っていたらしい。
絶対近日中に手に入れて、この美味しさを共有すると、誓った。

🐟🐟🐟

それにしてもこの3日間でロシアンたらこ缶にかけた歩行距離、トータル約20km。実によく歩いた。

おかげで、最近の運動不足も解消されたし、街歩きでパリの街のあらたな発見もできた。本当にありがとう、ロシアンたらこ。

もしかしたらロシア食材屋コミュニティで、ここ数日青いたらこ缶をたずねる小さなアジア人がいると噂になっているのではないかなアハハ・・・

こんな風に笑いながら、次回のたらこ祭りについて楽しく語り合い、中秋の名月の夜は更けていくのであった。


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今回の持参品。粕漬けオールスターに加え、
うずらの卵のお月見バージョン。


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