セールスフォース日本法人、障害ハラスメント認めず和解は困難か 9月1日第7回期日
発達障害の元契約社員がセールスフォース日本法人を障害者差別・ハラスメントと退職強要で東京地裁に提訴した裁判ですが、裁判所からの和解提案に、同社は今なお障害ハラスメントを認めておらず謝罪や和解金の支払いをも拒否しており、和解は困難とみられています。9月1日(木)11時に東京地裁527法廷で第7回期日。
企業側弁護士としてハラスメント相談に乗ることが多い弁護士による解説サイトによると、今日のハラスメント訴訟実務では、訴えの内容が事実無根だったというのでない限り、早期解決を目指し企業側が再発防止策に取り組む姿勢を示すなどで譲歩・和解せざるを得なくなっていくといいます。
訴訟になったところで何してでも勝てばいい、「障害者差別(ハラスメント)企業認定」という不名誉から逃れるために敵意で臨むというのではいけません。訴えを起こされた時点で信用低下は避けられないと思うべきです。そしてその前に障害者を傷つけないことが肝心です。
同社では訴え以外にも、障害者雇用に関して、2009~2021年において大半の年で雇用率未達や2020年の東京労働局への報告が適切に行われていなかった問題(罰則規定あり)が見つかっています。「私も合理的配慮が守られておらず、1日待機状態だった」「途中で交代した上司には精神障害への理解は全くなかった」という声も上がっています。
安心して応募できるのか
一般に外資系企業ではハラスメントやコンプライアンスに厳しく、違反者への解雇処分も踏み込んで行われているといわれますが。
「働きがい」「心理的安全性」「定着重視」を発信してきたセールスフォース日本法人は、安心して応募できる職場環境なのでしょうか。同社は係争中を理由にコメントせず、世界で最も素晴らしい職場環境であるように発信し続けています。
同社では過去2年間で短期契約満了となった障害者が少なくとも3人判明しています。提訴したのはそのうちの1人でした。ここまでの問題が発覚してもなお、セールスフォースに応募せざるを得ない障害者もいます。特に発達・精神障害者や地方の障害者の働く場所は限られています。
障害の有無問わず、「激務できつい」「ワークライフバランスはない」と苦しみながら短期離職という人も何人も出ている、という声も上がっています。
「外資系企業では極端な成果主義でクビ切りが横行している」というイメージが日本で根強くあります。
日本の障害者雇用制度を守る意識が希薄と言わざるを得ない巨大米国系企業に、日本の司法はどう答えを出すか。
リンクトインで閲覧2700回超え
リンクトインでは一連の調査報道について、発信を重ねるうちにリアクションやコメントが増え、閲覧回数2700回を超えるようになっています。(対してnoteは最高で1500ビュー程度)
リンクトインは世界とつながるビジネスSNSであり、誹謗中傷が少なく立場の弱い人も声を伝えられるプラットフォームです。米国ではいまや、社員の人種差別のリンクトイン告発があれば、ESGアクティビスト投資家からの厳しい視線にさらされるようになる。
一連の調査報道にコメントやいいね!などのリアクションをするユーザーを、リンクトインを活用する企業はどうみるか。そこも、ダイバーシティ&インクルージョンにどれだけ本腰を入れられるか、試金石となるといえそうです。
もちろん、「見る専」であっても十分であると考えます。見る専になる人が多数派とみられます。
国際世論が喚起され、裁判の流れが変わり、業界全体への影響や、日本の障害者雇用制度見直しに向けた議論が始まることを信じています。
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