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アマゾンウェブサービス、障害者のキャリア目的のクラウドトレーニングを予定

アマゾンウェブサービスジャパン(AWS、本社・東京都品川区)は毎年開催しているキャリアイベント「re:Cruit2021」を6月14日からオンラインで実施し、15日の障害者向けのセッションで、同社において障害のある社員がそれぞれ自分の能力や特性を活かし、個性的な社員のひとりとして様々な部門で活躍していることをアピールしたほか、障害者向けにアマゾンウェブサービスクラウドを学習できる6ヶ月間のトレーニングを提供する予定であることを発表した。

主な内容

・AWSでは2019年に、障害者の働く環境の充実を目的とするアフィニティーグループが立ち上げられた

【PWD Japanの中心メンバーの1人、梅澤友美さん(車椅子利用者)がメンバーを代表して挨拶した内容】
「6年前にアマゾンジャパンの最終面接を受けた際、採用担当者に『これまで目黒オフィスで車椅子の利用者を雇用したことがない』と言われ、入社を迷ったものの、私が車椅子で勤務している姿を社内で見せることが、他の社員にとっての新たな気づきにつながり、Amazonに変化を起こすことができるのではと考えて入社を決めました。私たちはPWDでの活動を通して、障がいの有無に関係なくすべての人が快適に暮らせる環境づくりを目指します。社員にとっての環境を整備することはもちろん、さまざまな立場の人たちの意見を商品開発に生かし、お客様に寄り添うAmazonらしい商品を生み出していきたいです。お互いの違いを尊重し合い、PWDのチームメンバーと背伸びすることなく、今の自分たちにできることを考えて実行していきます」

・AWSでは障害者へのサポート体制として、バリアフリーオフィス(車椅子対応のエレベーターやトイレ)、残業制限、時差出勤、時間短縮勤務、悪天候や交通機関の問題が予測される際の在宅勤務、産業医面談、人事担当者によるフォローアップ、契約更新や正社員登用などのキャリアパス用意

・肢体不自由、内部、精神、発達、その他の障害の受入実績あり

・翻訳、通訳、ニュースレター作成、コンサルティングサポート、データマネジメント、オペレーション業務など、多様な職種で障害社員が活躍

・身体障害の社員からのリクエストが、チーム全体に良い影響をもたらしたエピソード

・障害がありながら通訳業務に就く社員が、急な会議通訳の案件にも対応し、会議において単に通訳するだけでなく、発言が少なくなりがちな日本人の出席者が発言できるように促すなどの活躍をしたエピソード

・在宅勤務に切り替わって以来、移動に制約があるがゆえに客先に出向く業務が困難だった身体障害者にとってバリアになる要素が減り、業務の幅が広まる可能性が出てきた

・障害社員の3割以上が「他人に自社を勧めたことがある」と回答

・AWSでは「リーダーシッププリンシプル(Our Leadership Principles)」を社員ひとりひとりが意識し、リーダーとして考え、行動することを大切にしている。OLPは社内によく浸透している。「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」というビジョンを実現するために、常に顧客第一に考え、チームで働くことが出来る人材、オーナーシップを持ち、日々の仕事に情熱を持って取り組める人材を求む

・障害者と一緒に働くというと「サポートが必要ではないか?」と思われがちだが、その人を見て個別で対応していくことが大切。「障害者だから特別に考えなければならない」というバイアスは外せる

・AWSでは障害者向けに、AWSクラウドの学習機会を提供し、将来の雇用やキャリアの可能性作りにつながる6ヶ月間のプログラム「Cloud Career for PwD」を実施する予定。詳細が決まり次第同社のAmazon Educateのサイトで発表する

登壇者

アマゾンウェブサービスジャパン プロフェッショナルサービス本部 シニアマネージャー Tomomi Takada氏(https://www.linkedin.com/in/tomomitakada

アマゾンウェブサービスジャパン 新規事業開発シニアマネージャー Yukako Okano氏(https://www.linkedin.com/in/yukako-okano-13472154/

シニアインクルージョンリーダー Hitomi Fujitani氏

東京労働局によると、令和2年6月1日時点でのアマゾンウェブサービスジャパン株式会社の従業員数1434人のうち、障害者数は30人(重度障害者のダブルカウントが含まれる可能性あり)で、実雇用率は2.09%だった。

情報通信業は他業種に比べ、障害者の雇用率が低い傾向にある。令和2年の厚生労働省の障害者雇用状況集計結果では、雇用率達成企業の割合が27.6%だった(全業種平均は48.6%)。近年は機械による自動化や外注の影響もあり、従来行われてきた障害者への事務作業の切り出しも限界にきている。さらにはコロナ禍で事務補助や軽作業を担っていた障害者が、オフィス閉鎖により自宅待機になるケースも少なくない。

そうしたなか、AWSが障害者へのクラウドトレーニングに乗り出すことは、インパクトがありそうだ。

高度なスキルのあるAI人材は不足しており、多様な層から人材を育成する必要性はますます高まっている。このこともクラウドトレーニングを通じてキャリア形成を目指す障害者に追い風となりそうだ。

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