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スパイダー討論で問いを立てる。高2総合学習:プロジェクトイスラム(2)

問いを立てる時ってどうしますか?押し付けられるより、生徒の中から出てきたものの方がやる気が出ますよね!このプロジェクトではスパイダー討論で問いを立てることにしました。

さて、昨日の記事の続きです。この授業は高校2年生の総合学習で行ったもので、二学期間をかけたものです。

このプロジェクトについて

この授業は国際関係ゼミの一環として行っています。週に2時間ある探究学習の授業です。生徒は1学期には学ぶということをテーマに探究し、7月には学びのフェスを行いました。その中で出てきた一つの課題が「イスラムというと原理主義者やポコハラムのことが出てくるが、実際のところほとんど知らない」ということでした。

実は、「学ぶとは何か」ということを一学期中考えていたのですが、最後のテーマ「教育を脅威と感じる勢力は何か」を問うたところ、6つ中2つがイスラム過激派だったとのです。そこで授業の中心にイスラムを持ってくることにしました。

目的

・前半:日本であまり馴染みのないイスラムの宗教観や文化・政治を知る。
・後半:本校生徒としてできることをムスリムとの交流を通して具体的に提案する。

ゴール

・イスラムについて学ぶことを通して世界観を広く豊かにすること。
・交流を通して、自分たちにできることを考え、行動に結びつけること。

問い立てはスパイダー討論から

スパイダー討論とは、全員が輪になって討論する形なのですが、特徴としては先生がファシリテートしないというのがあります。あくまで輪の外側で誰から誰へと議論が渡っていったかを筆記していきます。それはまるで蜘蛛の巣のよう。さらに、全員が満遍なく参加できるよう生徒自身が気づき、議論を回していくことが良いとされています。このブログ方のが分かりやすいです↓

方法

まず、椅子を持って生徒が円を作り、座ります。私のクラスは17人しかいないので、ちょうどいい感じ。紙に円を描き、生徒の名前を座っている順に書いきます。ディスカッションが始まったら生徒が話た順にプロットしていきます。同時に彼らが口にしたギモンをどんどん書き出していきました。

反省点としては、活発な意見交換が行われたのは2/3ほどの生徒で、全員が関わることがなかったこと。しかし、たくさんの疑問が出てきました。

討論から出てきた16のギモン

1)テロリストに女性はいないのか
2)どこからが過激派なのか
3)政教分離って本当にできないのか
4)普通の人でも「信用していたのに…?」万人がいい人なのはきれいごと?
5)攻撃的なこともコーランには書いてあるのでは?書いてあればOKなのか?
6)コーランの行動規制に不満を抱いている人もいるのでは?
7)コーランの解釈は人レベルなのか、国家レベルなのか
8)最初から人を殺すのが目的ではないはず
9)豚肉を食べられないのはマクドに行けないのと同じ?
10)イスラム教にはなぜ過激派がいるのか
11)宗教が救いを求める存在なのであれば、なくても生きていける時代はあるのか
12)豊かではない土地に多い宗教だから誰を信用していいか分からず、争うのではないか
13)仏教は森林の多い地帯から生まれている位の高い人の信仰なのか?
14)地下鉄サリン事件で、信者はまきたくてサリンを撒いたのか
15)イスラム教徒とキリスト教徒が同じ事件を起こしたら対応に差は出るのか
16)宗教ではお金をたくさん出した人が偉くなるのか

しばらく寝かせて次へ

さて、ここで手分けして調べはじめてもいいのですが、あえてここで一旦ストップ。最終的に気付くと全てが腹落ちしている状態になるのが理想です。しかし、その次の授業で悲劇が起こったのでした。続きはまた明日!

さいごに

江藤の授業はスタートと骨子とゴールは明確なのですが、間のところは様子をみながら投入していくスタイル。だからこそ、スライドで目的をしっかりと共有します。コラボする方々、生徒そして関係する先生方も。ちなみに全てCanvaで作っています。

オーガニックラーニングでは年間を通して様々な講座やワークショップをしています。いつかお会いできるのを楽しみにしています。


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