栗山英樹 × 原晋
『プロフェッショナルに聞く~成功への道しるべ~』というオンラインイベントが開催されました。そこで4日間に渡り様々な業種のプロフェッショナルの方へのインタビューや対談を無料で見ることができました。
僕はその中で侍ジャパン監督の栗山英樹さんと青山学院大学陸上部監督の原晋さんの対談を見ました。もう本当に面白くて、学ぶところだらけです。今日はその対談で学んだことをまとめていきたいと思います。
この前侍ジャパンの映画を見た時の感想も良ければご覧ください。
聞き上手
まず大前提として、お二方とも物凄く聞き上手でした。対談が始まってすぐに栗山監督が「大会前にお会いして、色々なことをお聞きしたかったですね!」と仰っていて、世界一になった監督なのに腰が低くて驚きました。
その後の対談の中でも、どちらかが話しすぎることはなく、バランスよくお互いが話していたので、とても見やすかったです。こういった空気を読む能力が監督の方たちは優れているのかと思いました。
まず質問する
「監督やリーダーにはどのような能力が必要だと思われますか?」
と栗山監督が聞かれた時に原監督はこのように仰っていました。
「沢山ありますけど、キーワードとして挙げるのなら、コミュニケーション、計画、分析、平等、決断とかですかね。これを気にせずやってたのが上意下達の昭和メソッドだと思います」
原晋監督はスポーツの世界において、この昭和メソッドをぶち壊して、メンバーの主体性を伸ばす方針で進められていたイメージがあったので、この言葉はより重みが感じられました。
ビジネスから学ぶ
原監督は元社会人でベンチャー企業の立ち上げ経験もあります。そのため現在もスポーツ関係の人よりは、起業家の人と会うことの方が多いです。だからこそ、ニュース番組でコメンテーターもできるそうです。
また社会人をしている間は陸上とは離れていましたが、それも無駄な経験ではなくて、名選手が名監督にならない場合があることもビジネスから学んだし、そこで学んだフレームをスポーツ界に置き換えていました。
これには栗山監督も非常に共感していて、普段から選手たちにも野球だけでなく社会のシステムを意識していくべきだと伝えているそうです。
大谷翔平
この考え方は大谷翔平がファイターズに入団するまででも活かされています。栗山監督は大谷翔平にのみ当てはまる”オンリーワンの提案書”を作っていました。
また大谷翔平が賢いことを栗山監督は知っていたので、チーム的にはずっといてくれた方が得ですが「5年でメジャーに送り出す」ということを決めて、大谷翔平も得をするような提案をしました。
この方法に原監督は共感していて、原監督自身も優秀な選手に来て欲しい時は大学や陸上部のパンフレットなどを渡さずに、その人のための提案書を渡していたそうです。このノウハウは社会人の時に学ばれていました。
スポーツ以外で学んだことをスポーツで活かせるという考え方は共通しているんだと感じました。
侍ジャパンのチームマネジメント
プライドを捨てる
栗山監督は「長期間と短期間のマネジメントは成長させる期間などが全く違うため、ファイターズ時代の経歴を消し去った」と仰っていました。日本一になったのに、その経歴を消し去れるのが凄いと感じました。
そして、侍ジャパンの理念は野球を子供たちに伝えることだと仰っていました。また「チームが日本代表なのではなく、あなたが日本代表」なので、あなたの一挙手一投足を子供達や、みんなが真似するとも伝えたそうです。
会社で経費を無駄遣いするのも、この会社が自分の会社だという意識がないからであって、自分の会社だという意識を持たせることが大事だと、会社に置き換えた話もされていました。
選手のモチベーション
栗山監督が最も注意して見ていたのは、侍ジャパンはプロ野球のスター選手を集めているので、スター選手が補欠になった時にモチベーションが下がってしまうかもしれないということです。
また普通なら声掛けなどが大事になってくるのですが、スター選手の場合は声掛け自体がマイナスになってしまう可能性もあります。
このような状況で栗山監督は「いかに選手を野球小僧にするか」を考えました。そのために、ダルビッシュや大谷翔平などのメジャーのスター選手を絶対に招集しようとしていました。
子供の頃から見ていた選手と一緒にプレーできることという夢のような状況を作り、モチベーションが下がらないようにしたそうです。「野球小僧にする」なんて発想にもなかったので凄いなと思いました。
栗山ジャパンという表現がなかった
またお二方とも納得されていたのは、監督の言うことを聞くYesマンを採用するだけでは化学反応が起きないことです。
栗山監督は「侍ジャパンはダルや翔平が尖っているように見えるが、全員が尖っている。だからこそ凄い化学反応が起きた」と仰っていました。
思い返せば今回の侍ジャパンを栗山ジャパンと呼ぶことはありませんでした。そういったところに、今回の侍ジャパンのチームマネジメントの技術をみることが出来ると思います。
企業の社長も自分の言うことに酔いしれて、褒めてくれる人だけを周りに集める人もいます。しかし、その人は大したことありません。
尖っている人の方が勝負に強い
また尖っている人の方が勝負には強いです。だから「自分の言うことをどれだけ聞くのか」ではなくて「絶対値=本気を出せばどれだけの結果がでるか」で判断した方が良いと仰られていました。
どれだけ真面目にやっていても、絶対値が低ければ意味はありません。この絶対値を知るために、監督は観察を続ける必要があります。
村上選手の場合も絶対値が高いから、交代をさせませんでした。ただ能力を引き出すために、打順は変えたりしたそうです。それが情に引っ張られず、勝つ決断をした結果でした。
しかし、どれだけ言っても正解は結果なので、とにかく勝つしかありません。そういった気持ちを持っていれば、外野の意見を気にすることなく、突き進むことができます。
絶対に輝く場所はある
原点
原監督と栗山監督の原点を話す場面がありました。
まずお二人の原点はこちらです。
栗山監督はテスト生としてプロ野球の世界に入ったので、2軍時代は練習時間も短く、不遇の時代を過ごしていたそうです。しかし、そんな中あるコーチは自分とひたすら向き合って、練習に付き合ってくれたそうです。
そのコーチから「人は変われるし、人は絶対に輝く場所がある」ことを学び、選手たちが絶対に結果を出せるようにしています。そのために、まず平等にチャンスを与えることを大事にしているそうです。
活力
続いて原監督と栗山監督の活力について話されていました。
お二人の活力はこちらです。
まず原監督は「夢を持っている人と語りたい」と仰っていました。チームは足し算ではなく掛け算になってくると強いので、自分から練習の意味を見出すような視座が高く前向きな考え方を持つ選手を増やしたいそうです。
この考え方に栗山監督もとても共感されていて、大谷翔平も監督の同じ視座の高さを持ち、空気感を呼んで、自分が輝ける場所=自分が試合に出る場面を知っていたと仰っていました。
そして栗山監督は先人の言葉が活力になっています。というのも野球の監督は相談できる人が少ないので、今までに自分と同じ事例があったかを探して、そのプロセスの共通項を見つけていました。
成功への道しるべ
最後に原監督と栗山監督の成功への道しるべについて話されていました。
お二人が考える成功への道しるべはこちらです。
原監督は「会社も勝敗が存在する。さらにルールの中で勝っていく必要がある。楽しく、真剣に。それを箱根駅伝に置き換えた」と話されていました。徹底的なビジネス目線を持たれています。
また栗山監督は自身がとにかく野球が好きで、テスト生の頃からがむしゃらに最後まで諦めない姿勢を持ってプレーされていました。それに加えて、大谷翔平の驚くべきエピソードを話してくださいました。
大谷翔平に紅白への出演依頼が来たことを伝えると「出演するので年末年始の練習場所見つけて貰えますか?」と返したそうです。「誰よりも野球を上手くなりたい」という強い思いが伝わってきました。
そういった想いを価値観としてチーム内に共有できれば、本当に強くなるんだと思います。
おわりに
「名将の原点とは?」みたいな質問に対しても「いやいや名将なんかじゃないですよ笑」と前置きをしてから話されたり、謙虚な姿勢が随所に見られて、本当に素晴らしかったです。
物事をフレームとして捉えて他に活かすという考え方は、本当に大切だと感じたので、それを実践していきたいと思っています。
本日も読んでくださりありがとうございました!
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