見出し画像

アメリカ留学小話#1 「ピザ」


ピザは日本でいうおにぎり的存在

Pizzaとはイタリア語でPie、パイを意味します。英語でPieというと、厚みのあるパイ生地の中に何かしら具を入れる、というものになります。一方、英語でPizzaというと、イタリア起源の、平らな生地の上に具を乗せる食べ物をさします。

今回は、ボクがアメリカで暮らしてきて、印象に残っているピザの話をしたいと思います。せっかくなので、高校時代大学時代大学院時代、に体験したピザに関することを、それぞれ1つずつ話したいと思います。

高校時代 「課外授業のピザ」

ボクは、日本の公立中学校卒業後、フロリダ州の私立高校に行きました。そこでボクは、ギターの授業にのめり込んでいました。キューバ出身の先生がジャズや即興演奏を教えてくれました。

そのギターのクラスで毎年恒例の、音楽関係の先生と生徒が開くリサイタルがありました。このリサイタルは決まって夜に開かれるので、参加する人たちのためにディナーが必要になります。なので毎回Domino's Pizzaのデリバリーが活躍するのです。

機材を運び、ステージのセッティングをしたら、いよいよピッツァ・タイムです。ボクは脂っこいものが嫌いでチーズも特に好きではないので、できれば他のものがよかったのですが、贅沢は言えません。なぜならそこには油まみれのチーズのみのピザしか食べるものがないからです。

空腹を味方につけて、ボクはピザを食べました。2ちゃんねる開設者のヒロユキさんもおっしゃっていましたが、空腹の時に人はなんでも美味しく頂けるものです。気づいたらボクは、手に油がつくことも気にせずに、5枚ほどのピッツァ・スライスを平らげていました。

ドミノピザは生地が非常に厚く、2〜3枚も食べれば大体お腹が膨れます。しかも油分が結構お腹にくるので、食べ過ぎると胃のムカつきは必至です。例に漏れず、翌日ボクはお腹の不調に悩まされました。

これを平気で、しかも喜んで、食べるアメリカの人々は、普段一体どんな食生活をしているのか。リサイタルのさなかにボクは小さなカルチャー・ショックに、わずかばかりながら身をよじらせました。

大学時代 「ミーティングの時のピザ」

時は流れ、大学時代。フロリダから遥か北上しボクはインディアナ州にいました。フロリダとは打って変わって、冬には大量の雪が降る地域です。天候は変わってもピザ食は健在でした。

ボクは、音楽学と日本研究のダブル専攻(Double Majorという)だったのですが、ある日、音楽専攻を考えている学生とその専攻を受け持っている教授が対面する、というイベントがお昼の時間にありました。そしてそこにはもちろんピザがありました。

その時あったピザの種類は3つ:チーズのみ、ペペロニつき、ベジタリアンでした。まともな昼食を取れなかったボクは、この3種類のピザをそれぞれ2枚ずつ平らげました。油が多いからなのかわかりませんが、口の中が荒れました。

また別の日、今度は日本研究専攻の学生と教授が集まりました。日本研究科といえども容赦はありません。教室の入り口には、ピザの入ったボール紙の入れ物とスプライトやコーラといったジャンキーな飲み物が並んでいました。確かこの時は、カフェテリアで食事をする時間があったので、教室のピザは食べませんでした。

Domino's Pizzaは油ギトギトで、油の匂いでその存在がすぐにわかります。ピザを片手にミーティングした部屋は、ピザの油の匂いが充満することになります。


大学院時代 「深夜のピザ(それとビール)」

そして、つい去年の話です。ボクはミシガン大学の大学院に身を置いていました。この大学があるアナーバーは、町とキャンパスが融合したような場所で、経済のほとんどが学校関連のもので成り立っているような町です。

ミシガン大学には、北米で一番古い日本研究科があります。町にもジャパニーズ・フード店が5箇所くらいはあります(どの店舗もオーナーは中国人か韓国人らしいですが)。そしてこの大学は私立なのですが州からお金をもらっていて、なかなか潤っている学校なのです。

日本研究関連のイベントには、地元の和食店(それかアジアンフード)のデリバリーが出されます。なので、ピザを食べる機会は以前と比べるとグッと減りました。

そして、アメリカ留学8年目にして遂に、自主的にピザ店(ピッツェリアという)に足を運ぶことになるのです!そのお店がNYPD (New York Pizza Depot)というところです。これはおそらく、New York Police Department (ニューヨーク市警察)をもじった店名です。

ボクはよくこのお店に深夜に行ってました。そしてイタリア語訛りの口の悪い店員(おそらく店主)を見るのが楽しみでした。深夜12時を回ってから食べるピザの味は、そこはかとなくフリーダムでした。

フリーダムの味↓

画像2

それ合わせてIPA(Indian Pale Ale)を飲むのが至福の時でした。アメリカではビールの泡の部分を嫌う人が多いので、基本的に泡なしです(ちなみにボクもビールの泡はいらない派)。

ピザとビール↓

画像4

この究極にアメリカンな組み合わせの食事を楽しんでいる時に「あ、オレ、アメリカに染まってきたかも」と思いました。ひと昔のボクなら、カロリーやコレステロールなどに関する煩悩が食事を楽しむのを邪魔していたことでしょう。でもそんなこと気にしていたら、このピッツァのグリースとIPAの豊かなホップの香りをエンジョイすることは不可能です。

Ann ArborにあるNYPD↓

画像2

「ピザの種類」

ちなみにピザにも色々種類があります。

生地の薄いニューヨーク・スタイル・ピッツァ。

パイのようなシカゴ・スタイル・ピッツァ。

などなど。。。

ちなみにボクがNYPDで食べたシカゴ・スタイル・ピッツァはこんな感じです↓ 分厚いです。

画像3


「ピザの源流」~移民の国、U.S.A.~

たまに、日本の友達に「アメリカ料理って何がある?」ということを訊かれます。そもそもアメリカは移民国家なので、世界中から色々な料理が持ち込まれ、ごちゃ混ぜになっています。

ネイティブ・インディアンの食文化も考慮すると、一番アメリカっぽいものは「とうもろこしを使ったもの」と言えるかもしれません。なので、ポップコーン、シリアル、あとはバーボンなどが「アメリカ料理」かもしれません。「とうもろこし加工技術によって栄えた国」としてアメリカを見てみると、面白いですね。

ちなみにボクのいたインディアナ州やミシガン州のある中西部は、地平線の向こうまでトウモロコシ畑が伸びているような場所です。更に、中西部はBible Beltと行って、協会があちらこちらに大量に建っている地域でもあります。特にインディアナ州は保守的な地域で、しばらく前まではミサのある日曜日には酒類の購入ができませんでした。最近州の法律が変わり、日曜日でも20時までは買えるようになりました。(ウォルマートでお酒をレジに持って行って店員に「It's Sunday」と言われた時には落胆しました。)


話がそれました。。。アメリカの食文化の話に戻りましょう。

アメリカンなイメージが強いハンバーガーは、実はドイツに源流があります。そしてフライドポテトは英語ではFrench Friesというので、フランスが元です。そしてピザはイタリア発祥のものです。このように、日常的な食べ物目線で見ると、やはりアメリカは移民によって出来上がった国(特にヨーロッパからの)だということがわかります。

ちなみにアメリカにある中華料理は、「オレンジチキン」とか「General Tso's Chicken」とか、本場の中国では絶対にないものばかりです。

和食は、一応スシがありますが、アメリカでスシというと握り寿司ではなく巻き寿司が一般的になります。あとチーズと変な揚げ物が入ってるのがデフォなので、それを知らずにアメリカでスシを買うと肩透かしを食らうことになります。アメリカのスーパーなどで普通に売っているスシですが、ガリが梅干しと同じくらい赤く染まってます。あとわさびはミドリの絵の具ぐらい色が濃いことが多いです。味はまあ普通です。

まとめ

チーズとペペロニのみの、アブラギッシュピザを好きになれれば、あなたもアメリカン認定。ちなみに食事がピザのみということも多々あります。

ボクがアメリカで「ピザあんまり好きじゃない」ということをいうと、よく驚かれます。多分日本でいうところの、お米に相当するのがピザなのではないでしょうか。

逆にアメリカではパンは別にそんなに食べません。というか、食べ物に時間をかける人が少ないので、簡単に作れるものならなんでもいいのだと思います。例えば、食パンを食べる時も、適当にトーストしてピーナッツバターとジェリービーンズを挟んで食す、といった感じです。ちょっとこれはボクにはまだ理解できない領域です。


最後に、ピザに関する面白いYoutubeの動画があるので貼っておきます。

・ピザの歴史

・イタリア人のおばあちゃんが冷凍ピザ初試食


日本でも、「江戸前寿司職人がアメリカの寿司を食べてみた」みたいな企画ありますよね。やっぱり食は文化を反映する鏡のひとつ、と言えそうです。ある文化の食べるものや食べ方を理解することは、その文化そのものの理解への手がかりでもあるのではないでしょうか。



今回はこの辺で、失礼します。では、ショオヘエでした...



ボクの記事が面白い、あるいは有益だと思ってくださったら、ぜひサポートお願いいたします。これからもみなさんへお役立ち情報を届けていく励みになります。これからの新しい生き方に向かって切磋琢磨していきましょう!                       -ショオヘエ