アップルサイダーを温めちゃダメって誰が言ったの?
ニューヨークひとり旅のお話の続きです🎄
(前回のお話はこちら)
無事に旅の一番の目的を果たすことができた喜びを噛み締めながら、残りの旅程はのんびり散歩をしまくろう!と決めた。海外旅行時の観光らしい観光も最高に楽しいが、とりとめない街歩きをすることは本当に楽しい贅沢だと思う。人が訪れ、暮らす場所であることを実感するから大好きだ。
ホリデーシーズンに行ったからどこの景色も本当にワクワクした。エンパイアステートビルはクリスマスカラーだったしロックフェラーセンターにはアイススケートが賑やかで大きなクリスマスツリーがそびえ立っていたし5番街はお買い物せずにはいられないような装飾で溢れていた。
どこの街もそれなりにキラキラしていたのを良いことに、今日は観光地、の1〜2駅前で降りて歩いてみようと思った。きっと楽しいことがあるはずだ。
そして…早速あったのだ!
開けた広場みたいなところで、キラッキラのクリスマスマーケットが開催されていた。赤い屋根が軒を連ねて、昼間なのに電飾がピカピカしていた。お店の人もお客さんもみんなにこにこしていて、想像上のクリスマスよりもずっと大きかったりキラキラだったりするオーナメントが売られていて、とにかくきれい!と思ったことを覚えている。こういうことがあるから人生やめらんない。
お店には色々なものが売られていた。リース、オーナメント、電飾、サンタのぬいぐるみ(?)、そして甘く煮詰めたナッツや焼き菓子やコーヒーなどの食べ物たち。これらがまた、素晴らしく良い香りを立てていて気分を盛り上げてくれた。何かどれか、食べたいな〜と思いながらうろうろしていると…
足を止めたのは、元気の良いメガネのお姉さんのお店だった。
「ホットアップルサイダーはいかが?」
と声をかけられ、アップルサイダーなのにホット?という好奇心と冷えた体の「ホット最高!!」という渇望により一杯分購入したのだった。
これまで飲んでたアップルサイダーやリンゴの炭酸ジュース、なんなら全ての炭酸飲料は冷たいやつを飲んでいた。冷たい炭酸!大好物だ。刺激も相まって、冷たさだけでは表現できない爽やかさを教えてくれるみたいだからだ。注がれて立ち上る泡を見つめていると、深くて透明な海に飛び込んだ時の視界を思い出す。
が、お姉さんの勧めてくれたアップルサイダーはホットとのことだった。あったかい炭酸、飲んだことなかったなと思って受け取り、一口飲んでみたら…
りんごとシナモンの温泉を飲んでるみたいな気持ちでめちゃくちゃ面白かった!お伽話に出てきそうというか、妖精しか知らないひっそりとしたクリスマスの森に溢れる魔法みたいだなと思わされる体験だった。
そして体の冷えを否が応でも自覚した。あったかい飲み物が嬉しい!温かい炭酸飲料は初めて飲んだけど、冷たいものしか知らなかったしそういうもんだとばかり思っていたなと痛感した。誰も温めちゃダメなんて言われてこなかったのに、そう言えばどうしてそう思っていたのかも不思議だ。
滅多にない感覚ではあったものの、アップルサイダーは温めても美味しいのだと知った。
落ち着いて周りを見回す。クリスマスから年末にかけての忙しくも暖かくて幸せな雰囲気が昔から大好きなのだが、遠く離れたニューヨークでもこんな気持ちになれるなんてありがたかった。ホットアップルサイダーのお店には行列ができていて、お伽話の温泉水を楽しむ人たちはどなたも楽しそうだった。
アップルサイダー、大好き。