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レンズ豆煮て、スクワットして

アンチエイジング事情にとんと疎いまま30代を迎え、多分のこの感じだと気づいたら80代になってるんだろうなという自覚がある。かといって興味やモチベーションをそんなに持てず、さりとていざ気づいた時にガックリするのもちょっとなという思いもあり、たいへんワガママな感じで日々を重ねている。

しかしある日気がついた。アンチエイジング=年齢に逆らっていくというよりウェルエイジング=良い歳の取り方をする、という方法に舵を切る方が性に合うかもしれないが、そこにもアンチエイジング的発想は実は必要なのだと。イキイキするには私の場合心身の健康が不可欠であり、健康である状態というのは何らかの形で何らかが美しい。それを年相応に目指すなら、すでに落ち始めた代謝を鑑みるにある程度頑張りも必要になってくる。世間ではそれをアンチエイジングと呼称する場合もあるのでは?と。

それならば、やっていきましょウェルビーイングのためのアンチエイジング。しかし私は元来めちゃくちゃに怠け者なので、できれば一石二鳥系で、できれば覚えて従うべきルールや難しい言葉が少なく、できればお手頃、そんなやつがないカナ♪と都合の良いインターネットサーフィンを行っていたところ、「下半身の筋肉を鍛えると肌の老化が遅れるらしい」という知見を得た。

風吹いて桶屋系かと思ったが、実際にエビデンスがある報告が出ていることに加え、何より下半身の筋肉というものはいついかなる時も丈夫であるに越したことはないという謎の持論が私の目を止めた。仕事柄座り時間がめ〜ちゃくちゃ長く、下半身の筋肉たちには申し訳ない暮らしを送っている後ろめたさからかもしれない。

しかしこの出会いを無碍にするのは惜しい、ということで、今年の初めからスクワットを毎日毎日やっている。最初は髪を乾かしながらやっていて、次第に慣れてきたので現在はタイミングを分けながら1日に50〜100回くらいスクワットするような生活をしている。一気には無理でも分ければなんとかやっていける。こんなにちんたらやってたら意味なんかないかもしれないな〜と思いつつ続けていたが、駅の階段が以前よりもぐっと楽になっていることを思うとあながち馬鹿にできないなと思う。

そんな生活を続けている中で、少しずつ他のところにも欲が出てきた。昼に食べている野菜煮ただけスープ、通称魔汁にタンパク質が欲しくなってきたのだ。

今までは美味しさのために油を切った合挽肉を入れていたが、そこに何らかタンパク質を入れることにした。鶏胸肉も美味しいが、なんかもうちょっと健康っぽいやつないかしらと思いながら食通の友人にその旨を話しかけたところ、

豆です

と返ってきた。
豆は良い、安くて栄養満点。とのことだったが、確かに豆類は納豆とお豆腐以外私の暮らしにあまり馴染みがなかったのでかなり未知だった。しかし確かに豆類は良い。何よりも美味しいし。

豆有識者の友人と選んだのは比較的粒が小さくて扱いやすく、乾燥状態で保存が効く、ということでレンズ豆だった。知らなかったのだがレンズ豆は爆安なのだった。Amazonで購入したのだが、1キロ、実に1,080円。

これは…と思わず固唾を飲んだ。翌日届いたレンズ豆はずっしりとしていたが、袋の中でザラザラと音を立てていてキュートだ。乾燥してると本当にレンズの形をしているんだね、とマジマジ見つめてしまった。レンズの語源がむしろこの豆なのだそうだ。世の中、知らないことがたくさんある。

しばらく浸水して戻し、スープに入れて煮込むと…本当に美味しい!気になる臭みなどは全くないのだが、あ、豆だと気がつく程度の柔らかな風味と歯応えが心地よい。ジャガイモみたいな歯触りと例えるのが一番近いかもしれない。すっかり気に入ったので、レンズ豆が主役の副菜を作ってみようとマリネにしたらこれもまた美味しいのだ。サーモンに添えたらなんかオシャレで笑っちゃった。いいぞいいぞ、いい暮らししてる。

こんな風に面白おかしく試行錯誤して、それが結局体に良かったね、みたいなのがもしかしたら一番嬉しいかもしれない。何年生きても知らないことがたくさんあるし、できるだけあちこち歩き回りたい。

オーディオ業界でエイジング、という言葉は、使い込んだり鳴らし込んだりすることで音が良くなることを指す。実際本当かどうかについては賛否両論あるが、私自身は好きな言葉だ。この心身を大切に使い込んで、良い音の鳴る大人になってやろうじゃないの。これからもレンズ豆煮て、スクワットして、元気いっぱいエイジングしていこう。

レンズ豆、大好き。


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