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ブランケットの話②

去年の秋に、はじめて個人で作った本をイベントで頒布しました。作品の名前は「ブランケット」。わたしが大学を卒業してから、はじめて書いた小説です。
その当時のことについては、こちらの記事をご覧いただけると嬉しいです。

みなさんこんにちは。村谷由香里です。
noteをご覧いただきありがとうございます。

秋に作ったブランケットはあっという間に完売して、しばらく在庫のない状態が続いていたのですが、ようやく増刷分が届きました。
そんなわけで今日はもう少し、あの作品について踏み込んだ話をしようと思います。

ブランケットを作ったあとにこの日記をつけはじめたのですが、わたしは日記の中でたびたび、学生時代の話をしていますよね。特に多いのが哲学ゼミの話なのですが、この日記で取り上げるエピソードと、「ブランケット」の作中に出てくるエピソードは大幅に被っています。

例えば、この日記でよく話に出てくる「札幌の後輩」である齋藤寛貴。彼がブランケットの主人公「青木」にあたります。

大学のゼミを溜まり場にしていたという話。

物語の中盤にちらっと出てくるクッキーモンスターみたいに食い意地の張った(ただしすぐにお腹が痛くなる)主人公の先輩がわたしだったりとか。

実際の記憶を虚構の世界に落とし込んで、思い出に役割を与えて、物語にするのが好きでした。記憶を半永久的に残すものとして、小説を使っていた。
その代償として、わたしの思い出は現実と虚構のあいだで不自然に歪むわけですが、まあ、それはそれで良いでしょう。
いつか見る走馬灯に、物語の景色が映るなら素晴らしい人生だろうと思います。

「小説を書く」ということは、当時のわたしにとって目的ではなく手段だったと思います。ブランケットを書き終えたとき「もう書くものは何もないかもな」と思いました。そこで筆を折っても良かった。村谷由香里を殺してしまっても良かった。

でも、作家になると決めてしまったわたしは、小説を書くということを目的に変えて、物語を書き続けてきました。
だから同じテーマを用いたとしても、ブランケットみたいな作品は二度と書けないだろうと思います。

在庫切れで完売になっていた通販も、本日から再開致しました。興味を持ってくださった方は何卒よろしくお願い致します。


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