Taku Yasuda

父である彫刻家安田侃のマネジメントをしています。 認定NPO法人アルテピアッツァびばい…

Taku Yasuda

父である彫刻家安田侃のマネジメントをしています。 認定NPO法人アルテピアッツァびばい理事。

最近の記事

【イタリアの安田侃 vol.8】 2016年の「時に触れる」展

塔が傾いていることにより世界中から観光客が多く訪れる町、ピサ。そんなピサで2016年6月から10月にかけて安田侃の野外彫刻展が行われました。 ピサ市主催、日伊修好通商条約締結百五十周年の一環として開催されました。 ピサ市には思惑がありました。斜塔だけではない、多くの魅力的な場所が市内にあることを知ってもらいたい。そのために安田侃の彫刻が選ばれました。 ミラノ、ローマ、トリノ、タオルミーナでの展覧会を成功させてきたことが参考になったでしょうが、特にフィレンツェ市への特別な

    • ドイツの炭鉱産業遺産群ツォルフェラインへ

      安田侃彫刻美術館アルテピアッツァ美唄があるのは北海道の旧産炭地空知地方、炭鉱遺産と切っても切れない関係です。以前から炭鉱遺産再生の先進地として有名なドイツ北西部にあるルール地方を視察したいと思っていたので、2017年6月、ヴェネツィア・ビエンナーレのあとにドイツへ向かいました。目的地は世界遺産「ツォルフェライン炭鉱産業遺産群」です。 宿泊したデュッセルドルフから電車で一時間ちょっと、最寄駅からのアクセスもちょっとした散歩で気持ち良かったです。 1847年から炭鉱業が稼働、

      • 【イタリアの安田侃 vol.7】 2017年、ヴェネツィアの宮殿で展覧会

        1895 年から始まった世界最大の国際美術展、ヴェネツィア・ビエンナーレも新型コロナウイルスの影響を受け、2021年開催予定だった第59 回が今年2022年に延期されました。メインの展示は国別のパビリオンで行われますが、世界各国から集まる美術愛好家や関係者に向け、市内の美術館や各所で様々な企画が開かれます。 2017 年に行われた第 57 回では、クリスティーズ主催の特別展として安田侃の「Between Sky and Water」展が、16世紀に建てられたパパドーポリ宮殿

        • 2017年のヴェネツィア アート巡り その三

          2年に一度の国際美術展「ヴェネツィア・ビエンナーレ」。2017年のテーマはVIVA ARTE、アート万歳でした。 1956年完成の日本館建設には石橋財団が関わっていました。特徴的な建物です。 広い会場、途中運河を渡ったり。全てを見るには1日2日では足りません。 アメリカ館の入り口は見覚えがあります。イサム・ノグチがスライドマントラを設置したところですね。 安田侃も設置時に関わっていました。同じ工房で仕事をしていた縁で手伝ったのですが、いい経験をしたと語っています。

        【イタリアの安田侃 vol.8】 2016年の「時に触れる」展

          【イタリアの安田侃 vol.6】 シチリアのタオルミーナで「現代の神話」展を開催

          2011年12月から2012年2月にかけて、イタリア・シチリア島のタオルミーナで安田侃の野外彫刻展が開かれました。 シチリア島内4ヶ所で4人のアーティストが各自展示を行う国際芸術祭「現代の神話」展の一環として、安田侃がタオルミーナの町を任されたのでした。あまり知られていないが魅力ある場所の認知度を上げるとともに、オフシーズンの観光客の誘致を狙った、州を挙げての文化事業です。ギリシャ、ローマ、イスラムと支配者が変わってきた中で、異文化の出会いが化学変化をもたらすことをよく知っ

          【イタリアの安田侃 vol.6】 シチリアのタオルミーナで「現代の神話」展を開催

          【Kan Yasuda in Italy vol.3】 Solo Exhibition in Basilica di San Francesco, Assisi

          Kan Yasuda’s solo exhibition was held in Assisi, a medieval city in central Italy, for four months from June to October 2005. The venue was Basilica di San Francesco, a World Heritage Site. Saint Francis of Assisi (1182-1226) was a Catholi

          【Kan Yasuda in Italy vol.3】 Solo Exhibition in Basilica di San Francesco, Assisi

          2017年のヴェネツィア アート巡り その二

          ヴェネツィアで楽しみにしていた美術館の一つにプンタ・デッラ・ドガーナがありました。15世紀に建てられた税関の建物を安藤忠雄が改修設計し2009年にお披露目されたものです。プンタ=先端、ドガーナ=税関の名の通り島の先端の地形を利用して建てられた鋭角な三角形の建物です。 海上から見る景色に比べると入り口は地味ですね。 変な彫刻に出迎えられてしまいました。 古いレンガ壁と堅牢な木造のトラスの見せ方がカッコいいですね。 窓から見える景色の切り取り方がニクいです。 外からは想

          2017年のヴェネツィア アート巡り その二

          【イタリアの安田侃 vol.5】 彫刻家のメッカ・ピエトラサンタで個展

          安田侃がアトリエを構えている町ピエトラサンタ。フィレンツェやピサと同じトスカーナ州にある、海と山に挟まれた小さな町ですが、聖なる石(ピエトラ=石・聖なる=サンタ)の名の通り、カッラーラとともに古代ローマ時代から石を切り出す大理石の産地として世界に知られています。 ピエトラサンタの中心、ドゥオーモ広場にあるバール・ミケランジェロ。ミケランジェロがフィレンツェのサン・ロレンツォ教会を作るために大理石を求め数ヶ月滞在、1518年にここで契約書を交わしたことが壁の石板に記されている

          【イタリアの安田侃 vol.5】 彫刻家のメッカ・ピエトラサンタで個展

          2017年のヴェネツィア アート巡り その一

          「コロナ」の影響でヴェネツィアの水がきれいになったとニュースでやっていましたが、2021年6月観光客が戻り始めている今、いつまでその透明度は保たれるのでしょうか。あるいは観光にも「ニューノーマル」が取り入れられ、適度な訪問客数を目指すのでしょうか。 2017年6月、アートの国際展ヴェネツィア・ビエンナーレを見にヴェネツィアを旅していました。 水の都は、どこを切り取っても絵になりますね。 ビエンナーレに並行していろんな企画が期間中(6月〜11月)に行われます。 目立って

          2017年のヴェネツィア アート巡り その一

          【Kan Yasuda in Italy vol.2】 Solo Exhibition in Florence in 2000

          Kan Yasuda’s solo exhibition “Sculpture in the City” was held in Florence, the city of flowers, in 2000. Twelve sculptures of marble and bronze were on view in a total of eight places, such as Piazza della Signoria, the cloister of Uffizi,

          【Kan Yasuda in Italy vol.2】 Solo Exhibition in Florence in 2000

          NYマンハッタンのビルに安田侃の彫刻がお目見え

          2019年3月、ニューヨークにいました。 新しく安田侃彫刻を設置するための打ち合わせのためでした。場所はロックフェラーセンターやラジオシティ・ミュージックホールのすぐ近く、6番街(アベニュー・オブ・ザ・アメリカス)の1251ビル内です。ロビーがリニューアルされるのに合わせ安田侃の大理石彫刻が置かれることなり、下見をしました。 そして打ち合わせから2年後の2021年、イタリアで制作された4点組み作品《天秘》が船便でニューヨークに届けられ、3月に無事設置、4月にロビーが一部オ

          NYマンハッタンのビルに安田侃の彫刻がお目見え

          【イタリアの安田侃 vol.4】古代ローマ遺跡で彫刻展「時に触れる」を開催

          2007年9月から半年間、ローマで安田侃の個展「時に触れる」が行われました。 会場はローマ皇帝トラヤヌスが約1900年前に完成させた「トラヤヌスの市場」。現在は古代建築博物館としても一般公開されています。 数フロアに渡る立体構造で、食料品店が整然と並び、飲屋通りがあったり、演奏ホールがあったり、イオン顔負けの大ショッピングモールでした。 そんな巨大な会場に安田侃の彫刻35点が展示されました。 地階の石畳の上にどっしりと、店舗の中にひっそりと、テラスの上から街を見下ろす

          【イタリアの安田侃 vol.4】古代ローマ遺跡で彫刻展「時に触れる」を開催

          坂道の町ジェノバ

          旅先での徒歩移動は楽しいですよね。 2019年秋、初めて訪れたジェノバでもいっぱい歩きました。海洋都市国家として繁栄、港を中心に三方を山に囲まれ、すり鉢の中に建物が入り組んで並ぶ美しい町です。 高低差にひるみますが、歩いて展望台を目指します。 頂上の広場で子供たちがストリートサッカーに興じていました。 上の写真の左を向けば下のこの景色、ボールが落っこちないか心配ですが、へっちゃらなんですね。 キヨッソーネ東洋美術館も坂の上にありました。 エドアルド・キヨッソーネ(

          坂道の町ジェノバ

          【イタリアの安田侃 vol.3】 アッシジのサン・フランチェスコ聖堂で個展

          2005年の6月から10月の四ヶ月間、イタリア中部に位置する中世都市アッシジで安田侃の個展が開かれました。会場は世界遺産にも登録されているサン・フランチェスコ聖堂です。 アッシジのフランチェスコ(1182〜1226)はフランシスコ会を創設、〈清貧と平和〉〈自然との共生〉を説いたキリスト教の修道士です。現ローマ教皇フランシスコが教皇名にしたことでも知られています。 その死後、聖人に列せられたフランチェスコのために立派な聖堂が建立されました。丘の傾斜地を利用して二層に、入り口

          【イタリアの安田侃 vol.3】 アッシジのサン・フランチェスコ聖堂で個展

          【Kan Yasuda in Italy vol.1】 Sculpture Exhibition on Milan’s Main Street

          In the spring of 1991, the solo outdoor sculpture exhibition of a Japanese sculptor launched on the main street in Milan. Twelve marble and bronze sculptures by Kan Yasuda were exhibited on the Corso Vittorio Emanuele II, alongside the Duo

          【Kan Yasuda in Italy vol.1】 Sculpture Exhibition on Milan’s Main Street

          南仏のアートなワイナリー、シャトー・ラ・コスト

          旅で初めての土地に夜遅く着いた場合、町の雰囲気がわからず、少し不安になりますよね。その分、翌朝太陽に照らされた町並みが一気に目に飛び込んでくるので、より印象に残る気がします。 2019年秋、南仏のエクサンプロヴァンス(通称エクス)へ初めて行きました。前日滞在していたニースからバスで移動し、ホテルに到着した時は夜でした。 目が覚めて早速外出すると、町の中心地で朝市が開かれていました。骨董品、古本、洋服、雑貨の露店が並ぶ、イメージ通りのフランスのマルシェです。もうこの時点で「

          南仏のアートなワイナリー、シャトー・ラ・コスト