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2017年のヴェネツィア アート巡り その二
ヴェネツィアで楽しみにしていた美術館の一つにプンタ・デッラ・ドガーナがありました。15世紀に建てられた税関の建物を安藤忠雄が改修設計し2009年にお披露目されたものです。プンタ=先端、ドガーナ=税関の名の通り島の先端の地形を利用して建てられた鋭角な三角形の建物です。
海上から見る景色に比べると入り口は地味ですね。
変な彫刻に出迎えられてしまいました。
古いレンガ壁と堅牢な木造のトラスの見せ方がカッコいいですね。
窓から見える景色の切り取り方がニクいです。
外からは想像できないボリュームの広さを安藤さん得意のコンクリート壁で区切り、見やすい展示空間にしています。立体構造も鑑賞者をワクワクさせます。
展示されている彫刻はなんでしょうか。イギリスを代表する作家ダミアン・ハーストの「Treasures from the WRECK of the Unbelievable(ありえない難破船から引き揚げられた財宝)」という展覧会の作品でした。
ハーストの作品は「暴走した大人の遊び心」だと思いますが、その遊び方が「ありえない」ので、見た人の多くは苦笑いでしょう。入り口の彫刻からして白大理石、室内のわざとサンゴやフジツボがついたような作品もブロンズに着色したものです。
ハースト展の会場はここだけではなくパラッツォ・グラッシでもやっていました。こちらの建物も18世紀の宮殿を安藤忠雄が改装し2006年に美術館にしたもの。
三階分の吹き抜けに18メートル高の巨像が立っています。
建物の内装の立派さからだけでもヴェネツィアがどれだけ栄えていたか想像できます。
窓の取っ手にここまで力をいれますかー。
ハーストの悪ふざけは念が入っていて、嘘の映像を作り、海底から引き上げたかのように見せています。世界一有名なネズミが古代からいたという皮肉は、色々考えさせられますが、笑うしかない。
使っている素材がいいんですよね。この作品の青い石、安田侃も時々使用するブラジルのアズールバイーア御影石でしょうか。
両会場の持ち主はフランスの実業家でアートコレクターのフランソワ・ピノー。ピノーコレクションの展示場として今年パリにオープンしたブルス・ドゥ・コメルスも、2019年に見そびれたのでいつか見たいものです。
ヴェネツィアのアート巡り、その三に続きます。