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【イタリアの安田侃 vol.4】古代ローマ遺跡で彫刻展「時に触れる」を開催

2007年9月から半年間、ローマで安田侃の個展「時に触れる」が行われました。

会場はローマ皇帝トラヤヌスが約1900年前に完成させた「トラヤヌスの市場」。現在は古代建築博物館としても一般公開されています。

数フロアに渡る立体構造で、食料品店が整然と並び、飲屋通りがあったり、演奏ホールがあったり、イオン顔負けの大ショッピングモールでした。

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そんな巨大な会場に安田侃の彫刻35点が展示されました。

地階の石畳の上にどっしりと、店舗の中にひっそりと、テラスの上から街を見下ろすように、裏庭の松の木の下に、レンガ壁の前に、まるで古代からそこにあったかのような佇まいで、大理石やブロンズの彫刻が並びました。

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古代の人は彫刻や建物に「現在」を閉じ込めて、後世にメッセージを残してくれました。そのことを理解していれば彫刻に触れることで「過去」や「未来」を想像することも可能ではないか。イメージは膨らみます。

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展覧会オープンの日、ローマの町はノッテビアンカ(白夜)というイベントで盛り上がっていました。美術館などの文化施設が夜通しオープンし、広場でライブが行われ、朝までローマ市民が街に繰り出していました。安田侃展にも入り口に行列ができるほど人が殺到、古代の飲屋街を肩を組みながら楽しく歩く人たちはまるでタイムスリップしていたかのようでした。

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展覧会終了後、ホワイトブロンズの《意心帰》が永久設置になりました。GoogleMapで見ることもできますが、自由に旅行ができる日が戻った時に訪れてみてはいかがでしょうか。