誰かと入るサウナが結局のところ一番楽しい説
サウナ室で「会話=悪」となってしまった原因は日本人の気質
サウナ室での会話について考える|「サウナ=静寂」は正義なのか?にて「サウナ室には会話がしやすくなる構造になっている」という事について述べた通り、サウナ室は「何も持ち込めない空間」で「静寂」な環境にして「人と人との距離の近さ」によって「会話しやすい」条件が揃っている場所です。
そのためサウナの本場フィンランドでもサウナ室では会話は頻繁に起こり、サウナと会話は切っても切り離せない関係であることが伺えます。
日本ではサウナ室では会話をしないことがモラルとして認識され、サウナ室で会話をするなど言語道断。サウナー の片隅にも置けない不届きものである!というような扱いを受けることもしばしば。
もちろん、コロナ禍における2021年2月現在においては会話をすることはマナー違反であり、守べき事項ですが、それ以前においてもサウナ室での会話を悪とする風潮はありました。
私はこの「会話=悪」の背景にサウナに「誰かと入る」人の母数が少なく、一人で嗜む人が多いことが「サウナ室では会話をするものでは無い」という風潮を生み出したのでは無いかと推測します。
「日本人は知らない人に話しかけることが苦手」というのはよく聞く言葉だが、まさにこの「知らない人に関わらない」ことがサウナ室での会話を嫌う土台になっており、基本的に一人でサウナ室へ入ることで会話をする人自体が少数派となり、「会話をされると気になって不快に感じる」派が増加していきます。
それが結果的に「サウナ室では会話をしてはいけない」に繋がったのではないでしょうか?
そうした背景を踏まえると、日本では会話よりも静寂を重視すべきで、静寂に価値を置いたサウナ室などが受け入れられやすいのかもしれません。
ただ、全てのサウナ室を「会話禁止」にすると息苦しくなり「サウナ離れ」や「サウナ疲れ」を引き起こし、文化の衰退に繋がるため、あくまで「静寂」に希少性を見出し、サウナ体験として提供するのが吉と思われます。
サウナコミュニケーション
さて、この散々問題視されるサウナコミュニケーション論争ですが、私個人としては「結局、どんな人も気の合う仲間と入るサウナが一番楽しい」という説を有力視しており、条件さえ揃えば誰もがサウナ室の会話は楽しいと感じると思っています。
無い物ねだりではないですが、許されるのであれば会話を楽しみたいのが本音ですよね。
結局のところサウナには誰かと一緒に入ることが一番楽しく感じれるということだと思うわけです。
ロシアの大統領だったエリツィン氏がサウナ外交を行っていたというのはサウナーの中では有名?な話ですし、「サウナ×ビジネス」の視点で書かれた「人生を変えるサウナ術」でもサウナを利用したコミュニケーションについてサウナ室内では誰もが平等で、いきなり親密なコミュニケーションをとることが可能になると述べています。
サウナの本場フィンランドでも盛んな「サウナコミュニケーション」からも考察できるように、サウナ室内における会話はサウナにおいて重要な役割を持ち、サウナ室ではリラックスして時間を過ごすことが何よりも本質的なのかもしれません。
プロサウナーとしてサウナの普及活動に多大な貢献をしている“ととのえ親方”こと松尾大さんとレバレッジコンサルティング代表取締役社長・本田直之さんも著書にて「初めて会う相手とまずサウナで出会う」ということも多いと述べており、たった1回のサウナミーティングで相手の本音の一番近いところにたどり着けることもあり、サウナの持つコミュニケーション性の高さを紹介しています。
ビジネス面だけでなく、交友関係においてもサウナコミュニケーションは大きな影響を与えると語るサウナーは多く、フィンランド在住のサウナ文化研究家こばやしあやなさんもサウナにおける会話について著書「公衆サウナの国フィンランドー 街と人をあたためる、古くて新しいサードプレイス」でも述べています。
フィンランドでは、知人であれ他人であれ、同じサウナ空間に居合わせた者同士はみな「運命共同体」のような存在。やかましく騒ぐのはご法度ですが、とはいえ互いに一言も言葉を交わさないほうが、むしろ異様に感じます。余談ながら、日本のサウナ室にテレビがあって、みんながそれを無言で眺めている光景は、日本を訪れたフィンランド人にとっては相当愉快に映るようで、彼らが土産話をする際の鉄板エピソードです
サウナキタイ「[連載] 公衆サウナの国 フィンランド 前編「日本のサウナとこんなに違う」」より抜粋
時世が落ち着いたらサウナ室で会話を楽しむのも良い
現在では新型コロナウイルスの世界的流行により会話をしないことは感染症対策として重要なことであるためサウナコミュニケーションは難しいかもしれません。
いつの日か会話をすることが日常に戻った時に、気兼ねなくサウナ室でコミュニケーションを取り、しい僕を歩帰ることができる日が来ることを願っております。
その日までは「黙浴」を貫き、サウナ施設を守りながら、来たるべき日に備えましょう。
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