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直面する3つの出来事をどう受け止めて資産形成を進めていくか

皆さま、自分らしい資産形成、進んでいますか?

さて、経験則もあって、9月、10月の株式相場は振れやすいと言われていますが、それを後押しするかのように、ここ数日の間に様々な出来事が発生したり、その先に重要イベントが待ち構えていたりします。

今回は、
1)9月27日の自民党総裁選で石破氏が勝利したことで起こった「石破ショック」
2)10月1日のイランの弾道ミサイルによるイスラエル攻撃
3)11月5日に控える米大統領選挙
の3つについて、状況の整理と今後の見通しを考えてみたいと思います。

1)石破ショック

自民党総裁選で石破氏が勝利すると、為替市場ではドル円が146円台から142円台までドル安円高が進み、日経平均先物は40,000円水準から37,000円台後半まで急落しました。

ショック発生の原因は、
①高市氏有利との見方の中、アベノミクス継承、日銀の利上げ牽制、という思惑から円安、株高となっていたところでの石破氏勝利だったため、巻き戻しが起こった
②石破氏が金融所得課税の強化や法人税の引き上げなどを匂わせていたため株式市場に嫌気された
と考えられます。

①については思惑の剥落による巻き戻しですので、上がった分下がったということです。問題は②の方ですが、現時点で石破氏に②を実行する力はありません。基本は岸田路線の継承となります。

石破氏が総裁選で勝ったのは、
− 総選挙に勝つため(高市氏だと右過ぎて勝てない)
− 岸田首相が麻生氏潰しに動いたため(麻生氏は高市氏推し)
− 石破氏が岸田首相や菅元首相の意向を了承したため
− 選挙で大敗したらクビという役割を担うため
といった要素が存在しているからです。

総裁就任後に、急に10月27日に衆院解散総選挙を決めたのも、石破氏自身の意向よりも党内の意向が優先されていることの証左と言えます。

基本政策は岸田路線の継承になるので、相場の振れは大きくなるものの、金融市場へのネガティブなインパクトは長くは続かないとみます。

2)イランの弾道ミサイルによるイスラエル攻撃

これは展開次第ではかなりヤバイことになる恐れがあります。

イランがイスラエルを弾道ミサイルで直接攻撃をしたことを受けて、イスラエルが本格的な報復に出ると、(i)今までのイスラエルvsヒズボラという代理戦争から直接戦争になる、(ii)米国がイランを攻撃する、という可能性が高まります。

4月には、イスラエルがシリアのイラン大使館を攻撃した報復で、イランがドローンでイスラエルを攻撃し、イスラエルがさらにその報復に出ましたが、エスカレートはしませんでした。

今回はイスラエルがヒズボラの指導者を殺害したことに対するイランの報復攻撃という位置付けですが、イランは弾道ミサイルを用い、米国が発射前の状況をキャッチして攻撃計画が明るみに出ました。イランは、イスラエルが報復すれば、イランはさらに攻撃を行うと言っていますが、イスラエルは報復姿勢を鮮明にしています。

どこまでエスカレートするかが分からないので、状況を注視するしかありませんが、本格的な戦争となり、米国がイスラエル支援のために関与を強めるようだと、マーケットでは、原油高、株安、の動きが強まるでしょう。特に米国株は割高圏にあるため、イベント発生に対する脆弱性が存在します。米国が関与するとなると、為替と債券は幾分動きが難しくなりますが、おそらくリスク回避から、ドル高、債券高の公算が大きそうです。

本格的な戦争や米国の関与が回避されれば、株価は再上昇するでしょう。

3)米大統領選挙

基本的には、大統領選挙自体が不透明要因であるため、毎回、選挙前の相場は様子見姿勢が強くなりがちです。特に今回はハリス候補、トランプ候補が接戦となっておりますので、不透明性が強い状況です。

逆に言うと、大統領選の結果が判明したら、どちらが勝利したかによってセクター間の反応の強弱はあるでしょうが、株式市場全体としては不透明性の払拭から株価が上昇しやすくなるとみます。

とは言え、まれにみる接戦状態なのと、経済活動に変調の兆しが出ていることや、中東情勢が危険な状況となっていることから、選挙直前直後の相場はいつも以上に神経質なものとなるかもしれません。さらに、選挙の2日後の11月7日にはFOMC(連邦公開市場委員会)での金融政策発表があります。市場参加者は0.5%利下げを見にいっていますが、9月の政策金利見通しをベースに考えると、利下げは0.25%にとどまる可能性があり、大統領選直後のFOMCにも注目が必要です。

米国は、波乱要因や予期せぬ出来事が発生しなければ、割高圏のまま株価が上昇を続けそうな雰囲気があり、メインシナリオとしては上下に大きく振れるが方向は上と見ています。ただし、裏を返すと、予期せぬ出来事が発生した場合は大幅下落となる恐れもあり、政治経済関連のイベントを注視し続ける必要があります。

日本株も、米国で株高が続けば、それに連れる形で上昇が続くとみます。米株のペースを上回るかどうかは、経済成長はもちろんのこと、為替と地政学リスクがポイントとなってきそうです。ドル円が140円前後程度であれば大きな影響はないでしょうが、130円台後半を下回ってくるようだと日経平均への下押し圧力となりそうです。また、地政学リスクの高まりは、リスク回避と原油高の両方の要因から日本の株価にマイナスの影響を与えるでしょう。逆にドル円が150円方向に向かったり、地政学リスクが減退すれば、株価は押し上げられそうです。

金融市場を取り巻く環境は複雑で、新しい材料が出ればそれに見通しを合わせていく必要が出てきますが、現時点では上記のような整理で相場を見ていくのか良いと思います。

ただし、いつも申し上げていることですが、資産形成は長期目線です。短期の変動に左右されないようにして、引き続き楽しく増やす資産形成をしていきましょう。

私が代表を務める「ワイズ・アセット・デザイン」のウェブサイト

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日経ビジネスに私の記事が掲載されておりますのでご覧ください
役職定年を割り切れず、学び直してメガバンクの肩書を捨てた:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)


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