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在学中の起業も積極支援【早稲田大学・慶應義塾大学AtoZ】分割版④早慶に学ぶ起業家教育

SAPIX YOZEMI GROUP で毎年刊行している『医学部AtoZ』『東京大学・京都大学AtoZ』『早稲田大学・慶應義塾大学AtoZ』。

AtoZのネーミングの通り、各大学・学部の基礎知識から最新情報まで盛りだくさんの内容です。

本記事では『早稲田大学・慶應義塾大学AtoZ 2024』の中から、「④早慶 起業家教育」をお届けします。

前半の内容は無料で閲覧でき、後半は有料(300円)。
テーマ①~④まとめ版は700円です。

早慶受験生の皆さま・保護者さま・指導担当の先生方に必要な内容をギュッと詰め込みました!ぜひご活用ください。


※記事購入後、次の行為はご遠慮ください。
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2.他者への譲渡,転売,貸与

※本記事の内容は、2024年4月時点の情報です。最新情報は各自でご確認ください。

◆ 早稲田大学 ①

 アントレプレナーシップ教育というと起業することを目的とした教育というイメージを持っている方も多いかもしれませんが、早稲田大学アントレプレナーシップセンター課長・深見卓司氏は「社会課題を見つけ、どのように解決していくかを考えることもアントレプレナーシップ教育の一環」と語ります。早稲田大学の起業支援に注目してみましょう。

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Q:早稲田大学アントレプレナーシップセンターはどんなところ?

A:早稲田大学では2001 年よりベンチャー企業の創出・支援を行っており、2008 年にアントレプレナーシップセンター(以下センター) の前身となるインキュベーションセンターが誕生しました。現在の形になったのは2021 年です。もともと起業を考えていた大学教員・学生だけでなく、アントレプレナーシップ教育の講義を受講して興味を持った学生も訪れます。
 大学教員や学生のみならずセンターが入会を認めた校友( 卒業生)も含めての起業支援、各種セミナーなどをおこなっており、会員として認められると、起業する際にセンターの住所を登記できるようになります。また、弁護士、会計士、税理士などとコンサルタント契約を結んでおり、専門家と相談しながらスムーズに起業を進めることができます。

Q:どんなアントレプレナーシップ教育を行っているの?

A:そもそも「アントレプレナーシップ」は起業意思の有無に関わらず、困難や変化に対し、与えられた環境のみならず自ら枠を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神のことです。自ら社会課題を見つけ、課題解決に向かってチャレンジしたり、他者との協働により解決策を探究したりすることができる知識・能力・態度を身につけることを目指しています。   
 早稲田大学では、グローバルエデュケーションセンターに「ビジネス・クリエーションコース」を設置しており、文系理系の学部生・大学院生を問わず、起業や企業における新規事業化の知識を実践的に学ぶことができます。
 ビジネス・クリエーションコースは4つのStage に分かれており、Stage1では、起業家教育の導入部分を、Stage2ではアイデアを創り出す方法について学びます。Stage3 になると、アイデアをどうやってビジネスモデルにしていくのかを考えていきます。Stage 4からは実践的な段階となり、1 年間かけて自分のビジネスモデルを立ち上げることを目指します。【図】参照

【図】ビジネス・クリエーションコース プログラムの構成

 例えば、地方自治体の課題を解決するビジネスモデルを考える講義では、実地に赴き、その自治体に所在する企業や行政職員と共に3 泊4 日の研修を行います。このように起業に関わる一連の動きができる仕組みが整っています。
 講義にもよりますが、延べ数でいうと年間2000 人程度の学生がこのような講義を受講しています。理工系の学部や政治経済・商・社会科学部の学生が多いものの、文学部や所沢にキャンパスを構える人間科学部やスポーツ科学部の学生も受講しています。

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◆ 慶應義塾大学 ①

 200社以上ものスタートアップ企業を世に送り出すなど、飛ぶ鳥を落とす勢いで進化する慶應義塾大学の起業支援。創立者の福澤諭吉が掲げた「躬行
(きゅうこう)実践」の精神
が現代へと脈々と受け継がれています。慶應義塾大学イノベーション推進本部特任教授・新堂信昭氏、総合政策学部准教授・琴坂将広氏にその起業支援について聞きました。

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Q:慶應義塾大学イノベーション推進本部スタートアップ部門はどんなところ?

A:イノベーション推進本部の目的は慶應義塾大学の教育や研究成果を社会に届け、実装することです。2023 年4 月からオープンイノベーション部門・知的資産部門・スタートアップ部門・戦略企画室の3 部門1 室が協力する体制となり、中でも起業支援やアントレプレナーシップ教育を担当しているのがスタートアップ部門です。
 慶應義塾大学には6つのキャンパスがありますが、それぞれが独立して研究・教育を行っているため、各キャンパスでの取り組みと外部機関をマッチングするハブのような役割も担っています。【図表①】参照

 起業を考える学生や大学教員に対しては「慶應スタートアップインキュベーションプログラム(KSIP)」などの取り組みによってスムーズな起業を伴走支援します。また、学生による起業が多いのも慶應義塾大学の特長の一つです。学生一人ひとりから起業相談を受け、それぞれの要望に合わせた適切な対応や外部の支援プログラムを紹介することもあります。2024 年5 月には新しいインキュベーション施設「CRIK信濃町」もオープン予定です。盤石な支援体制で皆さんの起業活動をバックアップしていきます。

【図表①】イノベーション推進本部の仕組み

Q:どんなアントレプレナーシップ教育を行っているの?

A:全学部共通の科目や、各キャンパスの学部研究科ごとにアントレプレナーシップ教育に関わる科目が開設されています。受講生は多い科目で200 名程度です。講義の内容は社会や時代のニーズに合わせてアップデートしています。また、座学以外にも慶應義塾大学を卒業した起業家の方を招いてプロジェクトを進めていくといった実践的な内容のものもあります。アントレプレナーシップ教育に関する一貫したコースが設置されているわけではありませんが、それぞれのキャンパスや学部の強みを活かした講義を受講することで起業に必要なマインドを身につけることができます。

 先進的な取り組みをいち早く実践し「慶應義塾大学の実験室」ともいえる湘南藤沢キャンパス(以下SFC)を例に挙げると、バイオサイエンスやAIなどの自然科学・情報科学を専門としている研究室や、経営やスタートアップなどの社会科学を専門としている研究室が同じキャンパスに存在しています。そのため、バイオサイエンスを研究しながら経営を学んでいる学生もいますし、大学の研究成果と社会をつなぐ橋渡しとなる人材も育っています。多様な起業人材が全学から輩出されることを目指しています。【図表②】参照

【図表②】アントレプレナーシップ教育 科目・講座一覧



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