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大学入試の主流となりつつある特別選抜。秋から始まる選抜に伴い入試のスケジュール感は大きく変化

“未来からの留学生”を求めてはじまった、AO入試。
そして、その後継である総合型選抜。
さらに、学校推薦型選抜。

これらの特別選抜が普及することによって、かつて常識とされていた大学入試の風景が、いつのまにか、大きく変化していることに気付きます。

では、特別選抜は、現在どのような状況になっているのか、詳しく見てまいりましょう。

私立大は入学者の約6割が特別選抜経由

文部科学省が発表したデータによると、現在、大学全体の募集人員における特別選抜の占める割合は年々上昇していることがわかります。

2021年度についてみると、私立大学全入学者483,105人中、総合型選抜と学校推薦型選抜両方を合わせると、58.4%の281,989人にまで達しています。

つまり、私立大学では約6割が一般選抜ではないルートで入学していることになります! 
ですので、少なくとも、私立大学については、「大学生」 イコール 「学科試験による大学入試をパスした受験生」、という定義は、すでにあてはらなくなっています。

国公立大学も、私立大学ほどではありませんが、130,925人中20.8%の27,228人が、一般選抜ではないルートの入学者です。22年度入試では、特別選抜の募集人員をさらに増やしたりしている国公立大が多くありますので、この比率はさらに上昇することになります。


春には次々に情報が公開に

もう一つ、
特別選抜がこれだけメジャーになってくると、
“大学入試は寒い冬に行われる”
というイメージも、修正した方がよさそうです。

前年の一般選抜が終わったばかりの4月になると、早くも各大学は総合型選抜や学校推薦型選抜の募集要項や情報を続々公開しはじめます。
そして、夏までには、東京大の推薦入試や京都大の特色入試などの国公立大も含めて、募集要項が出揃うことになります。
慶大SFCの夏秋AOの募集要項がすでに公開されたことは、前回お伝えしたとおりです。

ちなみに、文部科学省が通達により、現在、特別選抜の出願・選抜のスタートは、総合型選抜は9月1日から、学校推薦型選抜は11月1日から、とされています。

募集要項発表がスタートの号砲

では、特別選抜を目指す受験生たちは、準備をいつからはじめなければいけないのか?

総合選抜の面接などの選考は9月に入ってから行われます。しかし、だからと言って、“秋から始めればよい”と、のんびりと構えていたら、間に合わなくなる可能性があります。むしろ、募集要項や情報の公開が実質的なスタート、と思っていただいた方がよいのでしょう。

というのも、ここで開示されるその年度の選考方法や応募要件の詳細、そして、志望理由書や活動報告書のフォーマットが、受験生にとってとても重要だからです。
つまり、選抜に関する詳細は、このタイミングではじめて発表となるわけで、これを確認しないと、取り掛かることができないのです。

特別選抜では、これらの書類に、

いかに説得力をもたせて、自分のアピール・ポイントを書ける
いかに効果的に、自分が取り組んできた活動実績を記載できるか

が、その後の成否の分かれ目となるのです。
その内容や完成度が合否に直結する、言っていいでしょう。

そして、忘れてはいけないのは、その後の個別面接ではこれらの書類を基におこなわれるということです。当然、面接やプレゼンテーションの予行演習にも対策が必要になってきます。


夏には本番モードへ

総合型選抜や学校推薦型選抜を志望する受験生たちは、夏までに開示された募集要項や情報をもとに、秋からの応募・選考に間に合わせるべく、夏には本番モードに突入せざるを得ないわけです。
 
かつて、“夏は入試の天王山”というフレーズをよく耳にされた方も多いでしょう。
冬の入試本番を前提に、夏にはそろそろ受験勉強に専念した方が良い、と受験生にはっぱをかける意味合いで使われてきましたが、昨今は、むしろ総合型選抜などの特別選抜を目指す受験生のみなさんに、あてはまる激励のフレーズになっていると言ってもよいでしょう。


高校2年末までに志望校・学部選択を

では、志望校・学部選定はいつまでにしておくべきか?
春には志望する大学・学部の募集要項を入手する作業に入りますので、
逆算すれば、高校2年生の末、あるいは、遅くとも高校3年生を迎える春までには、可能な限り、志望校や学部を絞り込んでおいたほうが良い、ということになります。
 
この点でも、高3の夏から秋にかけて受験校を選定するケースがメインの一般選抜とは大きく異なります。少なくとも、半年は前倒しになると考えた方が良いでしょう。 
 
受験モードに突入していくかつてのスケジュール感は、高校3年生の夏までに部活を引退し、それから本格的な受験勉強に専念していく、というイメージをお持ちの方も多いかと思います。

しかし、特別選抜が主流になってくると、そうしたスケジュール感では、合わなくなってきますね。
 
特別選抜を前提とすれば、高校生たちにとって、早めの心がけと準備が求められることになるのです。


次回は、総合型選抜についてさらに掘り下げていきたいと思います。

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