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付け焼刃はNG!「特別選抜・年内入試」の実例から受験対策を考える/合格体験記あり【入試制度改革ヒストリー(後編)】

こんにちは!代ゼミ教育総研note、編集チームです。

「今日から使える!2025年度入試まるっとポイント解説」略して「まるポ」、早くも第3回。過去記事も多くの方にご覧いただき、一同喜んでおります!

第3回は2024年流行語大賞にノミネートされるかもしれない「特別選抜・年内入試」について前後編で取り上げます。

大学入試の多様化の背景と歴史を知ることで、「現在の大学入試で求められる力を具体的に考えてみる」のが本記事の狙いです。

前編はこちら☟

前編では、時代によって移り変わる入試方式を「特別選抜・年内入試」を軸に見ていきました。

では実際に「特別選抜・年内入試」ではどのような試験が行われているのか、その対策には何をするとよいのか、実例をふんだんに交えながら見ていきましょう。



○実際にどんな選抜が行われているのか

様々な課題を抱えつつも、各大学は試行錯誤を重ね意欲的な取り組みをしています。

文科省が毎年公表している大学入学者選抜好事例集の最新版をみると、一般選抜は6件、特別選抜は12件となっており7割弱が特別選抜の事例になっています。

好事例集に取り上げられているものではありませんが、実際の選抜方法を一部ご紹介します。

〈お茶の水女子大学〉総合型選抜「新フンボルト入試」

✏第1次選考
文系学科:セミナーの受講・レポート作成、出願書類
理系学科:書類選考
一般的な書類選考ですが、特徴的なのは第2次選考です。

✏第2次選考
文系学科:「図書館入試」。 1日目は、お茶の水女子大学附属図書館の図書などを自由に参照しつつ課題についてのレポートを作成し、2日目にグループ討論と面接
理系学科:「実験室入試」理学部化学科の場合は実際に実験を行いその結果をまとめ考察する課題

2次選考については文系・理系ともにさながら大学の学びの1コマを再現しているかのような内容となっています。

〈電気通信大学〉総合型選抜・学校推薦型選抜での「CBT」活用(2025年度入試から)

「CBT」とはComputer Based Testingの略でコンピューターを用いて行う試験のことを指します。
情報理工学域Ⅰ類(情報系)の総合型選抜(昼)および学校推薦型選抜においてCBTが活用されます。

大学入学者選抜で「情報Ⅰ」がCBTで出題されることは日本で初めて!
紙によらない大学入試が行われるなんて数年前には想像もできないことでした。先進的な取り組みといえるでしょう。

サンプル問題の閲覧はこちら。YouTubeの解説動画も必見です。

〈共立女子大学〉総合型選抜「学力方式」(2025年度入試から)

調査書・事前課題および基礎学力試験で合否が決定します。
特別選抜では面接が行われるケースが多いなか、珍しいタイプの選抜方法です。

しかも配点にも特徴があります。
調査書・事前課題各10点
基礎学力試験100~200点(学科により異なる)
であり基礎学力を重視した総合型選抜となっています。

参考:2025年度 共立入試NAVI


○付け焼き刃の対策では合格できない

実際の例をいくつかあげてみましたが、いかがでしょうか。

多くの人が大学で身につけるようなアカデミックなスキルが必要になるようなお茶の水女子大学のような例もあります。
また、共立女子大学では基礎学力が重視されるため、一般選抜のような対策が必要となります。

単純にやる気さえあれば合格できるという時代ではなくなっています。

そのうえ年内入試での募集人員は徐々に増えているとはいえ、難関私大や国公立大学では一般選抜の募集人員が圧倒的に多い状況もあります。

そのため志願者が多く集まるような大学では書類選考の段階で高倍率となることがありますし、学校推薦型選抜では高校内選考がある場合もあります。そもそも出願にこぎ着けないケースすらあるのです。

「買わなければ当たらないし宝くじ買っとくか!」
という軽い気持ちで年内入試に出願しても、涙をのむ場合が多々あることを改めて認識しておいていただきたいと思います。

「早く受験生を終わりたいから」という妥協の年内入試ではなく、この大学で学びたいから受験をするという前向きな受験にしていただきたいと思います。

そして、大学側としても早期に入学者を確保したいからという妥協の入試ではなく、その大学の教育や研究の質を向上していく旗振り役としてふさわしい学生を選抜する入試として誠意をもって実施していただきたいと願います。


○志望校合格を手にするために

年内入試の受験には多くの準備時間がかかります。
出願書類の作成や面接等の対策のみならず、これまでの人生の中での経験そのものが間接的に評価の対象になりうるからです。

また、面接練習や小論文対策は1人でできるものではありません。学校の先生や同級生の力を借りることもあるでしょう。
そのため、一般選抜以上に「団体戦・長期戦」であると認識したうえで対策をすすめていただきたいと思います。

■はじめの一歩は「出願書類」

出願書類には自己推薦書や志望理由書などがあります。
試験官は受験生の第一印象をこれらの書類から読み取ります。書類の良し悪しによって第1次選考が行われる大学も多くありますから侮れません。

では、評価される出願書類とはなんなのか。

それは「あなたらしさ」がにじみ出ているかどうかです。
試験官は毎年何百枚もの出願書類に目を通しています。何かを真似て書いた志望理由なのか、悩みぬいて自分らしさや大学に入学したいという意志を書いたものなのかは一目瞭然です。

深い自己分析と大学の理解が必要になるため、「あなたらしさ」の表現というのは非常に難しいものです。
また、伝わる文章を書くことは想像以上に難しいもの。第三者に添削をしてもらい、誰が読んでも正しく理解できる文章になっているか確認しましょう。

■いよいよ選考試験。「小論文」「面接」

書類選考を通過すれば、その後に待っているのは各大学が行う選考試験です。その方法は多岐にわたりますが、多いのは小論文と面接です。

これらに関しても対策が必要です。文章を書くこと・話すことが得意であっても一度は練習しておくことをお勧めします。

保護者の皆様も、頭ではわかっていても実際に書いたり話したりすることは難しいと感じる場面はないでしょうか。
仕事やご近所付き合いにおいて、書面や会話でやり取りをする機会があると思いますが、自分の意図しなかった方向に話が伝わってしまう経験は少なからずあるかと思います。
年齢を重ねれば経験値も積まれ、予想外の展開となっても応用できる引き出しが増えていきますが、17から18歳の高校生が対応できる事例は限られています。

だからこそ経験の少なさを練習でカバーしていただきたいと思います。
おすすめの学習法をご紹介しますのでぜひ参考にしてください。
とにかく練習です!たくさん書いて・話して自信を持って試験に臨んでください。

■小論文おすすめ学習法

・「人から見られる」ことを意識する
・よくある自分では気づかないウィークポイントを意識する

★代ゼミの小論文対策講座は幅広いレベルと目的に対応。添削付きで文章力を鍛えます。


■面接おすすめ学習法

・よくある自分では気づかないウィークポイントとは⁈

■合格体験記(総合型選抜)

実際に総合型選抜で合格した生徒さんの声を一部掲載します。
これまで学んできた「特別選抜で求められる力」を念頭にぜひ読んでみてください。
詳しくは代ゼミ公式Webサイトにて。

順天堂大学 医療科学部 臨床検査学科(総合型選抜)☟

日本大学 理工学部 物質応用化学科(総合型選抜)☟

國學院大學 経済学部 経営学科(総合型選抜)☟

■代ゼミの映像講座でも対策できる!特別選抜 対策講座

まずはこの講座から!
(講座詳細⇓)
特別選抜対策準備講座 キミが推薦されるために必要な12のこと
早めの準備と対策が必要な特別選抜。何から、どのように準備をしたらよいのかわからない方のために、特別選抜受験に役立つポイントをまとめて解説した講座です。

もう一歩ライバルと差をつけたいならこの講座!
(講座詳細⇓)
特別選抜対策講座
総合型選抜、学校推薦型選抜で課されるものの中でも独学で対策の難しい「志望理由書・自己推薦書」「面接」の対策を学べる講座です。



○最後にもう一言。特別選抜で合格したら…

まずは合格おめでとうございます!
大変な準備と狭き門をくぐり抜けた受験生の努力や保護者の方、先生方のサポートに敬意を表したいと思います。

そして、大学での深い学びの世界へようこそ。
この合格は終わりではなく始まりです。
特別選抜・年内入試で合格したことを最大限に活かし、書店や図書館に足を運んで、これまで足を踏み入れたことのなかった専門書のコーナーをのぞいてみたり、大学がおこなう入学前教育プログラムで在学生と交流してみるのもよいでしょう。

★関連記事★☟

一般選抜の受験生よりも少しだけ早く受験を終えた分、緊張から解放されて遊びたくなる気持ちも十分理解できますが…

合格から大学入学までの期間を空白期間とせずに、大学での学びの準備期間ととらえ、高校での学習に真剣に取り組んでいただきたいと思います。

高校での学び以上に広範な知識を体系的に学ぶ機会は実は多くありませんが、専門分野にとらわれない広範な知識は大学での研究に深みを与えます。そして、社会人となっても業務改善や事業創出のためのとっかかりとなります。

とはいえ、遠い未来のことを見据えて勉強することは高校生の皆さんには想像しにくいでしょう。保護者の皆様も普段お子さんと接する中で高校での学習の大切さを伝えることに苦慮しているのではないかと思います。

今、理解してもらえなくても伝え続けることはお子さんよりも長く生きてきた私達に課されている使命と責任だと感じます。大学入試、ひいては社会で求められている力を今一度お子さんと確認・共有してみてはいかがでしょうか。

大学を卒業する時に、「学校行事も部活も勉強も頑張っておいてよかった!」と胸を張って言えるお子さんと出会うためにも、周りにいる大人が一丸となって支えていきましょう。

【参考資料】もっと詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
◆尾室拓史「AO入試に対する社会的評価の変遷 新聞紙上における語られ方の分析」(慶應義塾大学湘南藤沢学会、2012年)
◆次橋秀樹「大学推薦入試の展開と現状-現代における推薦入試の類型化試案-」(『京都大学大学院教育学研究科紀要第65号』、2019年)
◆令和5年度文部科学省の先導的大学改革推進委託事業「大学入学者選抜における総合型選抜の導入効果に関する調査研究」(文部科学省、2024年)
資料1-3 大学入学者選抜の変遷について (mext.go.jp)


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