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『ズバッと解説!共通テスト2023』ダイジェスト版

代々木ゼミナール教育総合研究所が、1月19日にインスタライブで実施した『ズバッと解説!共通テスト2023』の放映内容について、主な内容をダイジェスト版にしてご紹介いたします。

★なお、実際のライブをご覧になりたい方は、インスタグラムにてアーカイブをご用意しておりますので、ぜひご覧ください。
詳細は本文最後にご案内しております。


ズバッと解説!共通テスト2023 ダイジェスト

【解説】
代々木ゼミナール教育総合研究所 主幹研究員 坂口幸世
代々木ゼミナール教育総合研究所 主幹研究員 奥村直生(MC)

1月18日中間発表の内容、平均点・受験率分析

3回目となる大学入学共通テストは、いろいろなトラブルに見舞われた昨年度と違い、様々な対策が講じられ概ね平穏無事に実施されたと言える。
新型コロナウイルス感染症対策についても、過去の試行錯誤の経験が生かされた。

試験内容で最大の注目点は、各科目の平均点や難易度の動向であった。
このスライドでは、前日の18日(水)に発表されたばかりの平均点中間発表に基づき、以下の通り状況分析をした。

◆ⅠA,ⅡBの平均点、今年は大幅にアップ。
 昨年実施後、今年度に向けただちに難易度の調整が行われたものと
 推測される。

◆全体としては平均点がアップしており、理系の方が数学易化の影響があり
 若干アップするもの考えられる。

◆理科②は生物が大幅に難化し、その結果、物理と生物の平均点の差が20点
 以上開いているので、得点調整がなされると予想。
 (→実際には2年ぶりに実施された)

◆英語はリーディング(R)の難化&リスニング(L)の易化で平均点の逆転現象が
 起きた。これから出願する際は改めてR:Lの比率を確認するようアドバイ
 ス。(スライド№14~18) 

得点調整については、大学入試センターが2025年を目途に実施のやり方を変更したいとして、パブリックコメントを募集。(2/7〆切)
新方式案では、今まで以上に対象科目間の差が縮まることになるとのこと。
なお、新学習指導要領下での初の入試となる2025(令和7)年度入試は、情報Ⅰなど新しい入試科目が多数あり、高卒生対象の移行措置等も実施されるなど、混乱も予想される。大学入試センターとしては、できるだけ公平感を与えられるようにとの配慮から、今回の新しい得点調整案が提案したものと考えられる。


このスライドでは、メディア向けに発表された試験当日の外国語受験者数から、今年度の受験率を推定した。
新型コロナウイルに感染した等の追試験許可数は昨年を大きく上回り過去最高に。追試験にどれくらいの出願者が受験するかはわからないが、受験率は昨年と同じ程度か、それより下がる可能性もあることを推測。

★その後、大学入試センターが発表した最終結果では受験率は92.48%、昨年度を0.4㌽上回わった。


主要科目分析

 各科目の出題内容についての分析では、全体として、形式・傾向は概ね昨年を踏襲していることがわかる。
上で触れた数学などでは難易度調整がなされたと推測。
思考力・判断力、あるいは読解力を試す傾向が全科目で顕著。また、複数の課題文や資料、さらには会話文・対話文が至る所に盛り込まれ、それにより手間と時間がとられるケースが多々みられた。

こうした出題の方向性については果たしてこのままでよいのか、疑問も感じられる。 

共通テスト導入後、国語に実用文が出される可能性が言われ続けているが、今年も出題されなかった。
おそらく、2025年度に試験時間が10分伸びて90分になり、問題量を増やすとのアナウンスがあるので、実用文はそこで満を持して導入されるのではないか。
ただし、大学入試センターの出題方針では出題の可能性を示唆しているので、来年度も念のため注意しておきたい。 


志願者数分析

ここからは、共通テストの志願者数を分析。
志願者減少は、浪人生(既卒生)の減少による部分が大きい。それにより、志願者における現役生占有率は85%を超え、現役生同士の戦いの様相に。高校3年生における出願率を意味する現役志願率は昨年度とほぼ変わらず45.1%。 

ここ5年ほどの現役生と浪人生の推移の違いは、このグラフからわかる通り、顕著である。

 

 これらのグラフからも現役生が圧倒的に多くなっている状況がわかるが、現役志願率を細かく見ると、わずかだが、昨年より若干下がっていることがわかる。 


ほぼ受験料収入だけで運営する大学入試センターにとっては、志願者が増えないことは死活問題。

なぜ共通テストの志願者数が増えないのか、の原因を挙げてみたが、18歳人口の減少があるのは、もちろんのこと、中高生の大学進学への意欲が萎えていないか、危惧される。 

ここ4年程の大学進学率と共通テストの現役志願率を比較すると、2022年度は大学進学率は上昇。もしかすると、大学離れというよりも、正確には共通テスト離れが起きている可能性もある。

つまり、いわゆる年内入試=特別選抜(総合型選抜、学校推薦型選抜)へのシフトが起きているのではないか。 


文科省が昨年秋に発表した大学入学者選抜における好事例集では、特別選抜が多く選ばれている。
これだけみると、あたかも特別選抜が良い入試である、との印象を与えかねない。一般選抜であって、目立たないが、毎年苦労して良い入試を行っているところはあるはずだが…。


 そうしたなか、女子の既卒生の比率が高まっている。女子の浪人生がもっと増えれば状況に変化も。 


都道府県別の現役志願率をみると、上位と下位の格差は非常に大きい。低い地域の進学率を上げる努力をすれば、改善への光明が見えるはず。


都内私立大学の共通テスト利用入試例

 

1月19日時点において、私大志望の受験生は、私立大学の共通テスト利用枠で出願が間に合う大学はまだたくさんあったので、要チェック。

 

大学入試トピック①注目したい大学の動向

今年注目の新設学部では、何といっても一橋大学のソーシャル・データサイエンス学部だろう。新たな学問領域を創出したいとの強い意欲があらわれている。

 

前期の募集人員はわずか30名。
数学重視。さらに地歴ではなく、総合問題が課される。総合問題については試作問題が昨年秋に公表されている。

 後期は前期に比べ比較的募集人員が多い(25人)。貴重な後期枠として、前期の東大志望者などの出願先として人気になるかもしれない。

 

私立大では、上智大学が共通テスト利用枠で3教科型を導入。
その効果もあって、共通テスト利用の志願者数だけみると昨年の倍以上に大きく増加。


 2024年度以降の大きな話題としては、東京医科歯科大学と東京工業大学の統合がある。新名称は「東京科学大学」となったが、入試は当面現状のまま実施するとのこと。
なお、東工大は特別選抜で女子枠を設ける。
ただし、理系における女子志望者を増やすには、小・中学校段階からの改革も必要。

 

大学入試トピック②「情報」


新学習指導要領による入試となる2025年度からの新共通テストで、注目の「情報Ⅰ」については、このように積極的な大学とそうでないところにわかれている。

消極的な大学には、「情報科目」指導の地域事情が絡んでいる可能性も。

ただし、共通テストに課すとしている大学の多くは、配点までは未公表が多いので、要注意。 


最後に

24年度入試を受ける受験生に向けて、24年度は大きな変革の前年となり、再び安全志向が強まる可能性がある。

25年度は文科省や大学入試センターの方も万全の移行措置を講じているので、行きたいと思う大学には果敢にチャレンジしてほしいと思う。


以上、解説員の奥村によるダイジェストをご紹介いたしました。


より詳しいスライドや解説は、代ゼミ教育総研インスタグラムの
アーカイブにて全7回に分けて配信しております。
ぜひご視聴ください!!

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坂口・奥村がズバッと解説!共通テスト2023アーカイブ
(1)1月18日中間発表の内容〜振り返り
(2)各教科の平均点とその分析①
(3)各教科の平均点とその分析②
(4)志願者分析①
(5)志願者分析②
(6)大学入試トピック① 〜 一橋大SDS学部、東京科学大(仮称)ほか
(7)大学入試トピック②    〜 「情報」はどうなる?

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