yousukefc236

こんにちは。海田陽介と申します。中学生の頃から小説を書いています。最近はKindleで…

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こんにちは。海田陽介と申します。中学生の頃から小説を書いています。最近はKindleで小説の販売もしているので、もし気が向いたら検索してみてください。Amazonで海田陽介と検索するとでできます。チャオ。

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  • 散り行く桜の花のようにそっと

最近の記事

失われた世界へ 2

                 七  僕はメールの返信を終えるとすぐにパソコンをシャットダウンし、浴室に行って髭を剃って歯を磨き、服に着替えた。もちろん、青色の帽子も忘れずに被る。これだけのことをするのに三十分近くかかった。部屋の時計に目をやると、既に時刻は十九時になろうとしていた。僕の最寄り駅は西武新宿線の東伏見という駅で、そこから新宿までは電車だけの移動であれば二十分くらいでいける。でも、実際には駅まで徒歩で向かう時間や、電車を待つ時間、さらには待ち合わせ場所まで向か

    • 失われた世界へ 1

            第一章 タイムトラベラー                 1  あなたはかつて火星に文明が存在し、そしてちょうどその頃、地球には今と同等か、もしくそれ以上の文明が存在していたと言ったら笑うだろうか?そんなことはあり得ない、と。それとも、いや、そういうことだってあっても可笑しくないと真剣に耳を傾けるだろうか? 恐らく、ほとんど全てのひとが前者だと思う。無理もない。僕だってちょっと前までそんなことを言われたりしたら眉をひそめるか、あるいは笑い飛ばすかしていたと思う

      • その世界が生まれた理由

               その世界が生まれた理由                  1  その惑星は地球ではないが、しかし、かなり地球に似ている。全く同じと言っても良いくらいだ。その惑星は地球から遥か遠く離れた場所に存在している。地球からその惑星まで向かうとすると、光の速さを持ってしても百年はかかる。現在の地球人のテクノロジーレベルではとてもその惑星まで向かうことはできない。いや、時間さえかければ、今の技術でも決して行けなくはないのかもしれないが、しかし、それにしても歳月がかかり過ぎ

        • 失われた火星都市の謎を追え

          失われた火星都市の謎を追え!!       タイムホール               1  もともと僕も藤井美優もオカルト的な話は大好きで、気がつけばいつもそういう話をしていた。でも、そのとき彼女が僕に話してくれたことは、いつにも増して奇妙な話……というか、とてもにわかには信じがたい話だった。  一応、断っておくと、僕と彼女はべつに付き合っていたわけではない。まあ、正直に言えば、僕はちょっとは、彼女のことを異性として意識していたわけなのだけれど(それに対して、彼女には

        失われた世界へ 2

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        • 散り行く桜の花のようにそっと
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          ここではない、どこかへ

             何から語ろう。……ほとんど語るべきことなんて何もないようにも思えるのだけれど、でも、とりあえず、僕は今、何かを語りたくて、こうして筆を執っている。  では、まず僕の年齢から。僕は今年で三十歳になる。今はまだぎりぎり二十代だけれど、でも、あともう少しで三十歳になる。正直、自分が三十歳になるなんてことが現実に起こるとは思っていなかったし、またその準備もまるでできていないのだけれど、でも、そんな自分の意志とは無関係に、あともうほんの数ヶ月のうちに、僕は三十歳という年齢を迎

          ここではない、どこかへ

          今から俺が本当に異世界へ行った話をする

           実に困った状況になった。隆のヤツとはぐれちまったんだ。ヤツは昆虫型の異星人のあとを追いかけていて……。いや、申し訳ない。話が飛躍し過ぎた。いきなりこんな話をされても一体なんの話だ?ってことになるよな?俺もテンパって、話す順番がめちゃくちゃになってた。少し時間を戻そう。どうして俺たちがこんなわけのわからない世界に迷い込むことになったのかについて。……一応、断っておくけど、結構信じられないような内容になると思う。                一  俺が隆のアパートに遊びに

          今から俺が本当に異世界へ行った話をする

          異世界からの侵入者

          「お疲れ様でした」  鈴木浩介はアルバイトを終えると、アルバイト先であるカフェを出て、自分が一人暮らしをしているアパートを目指して歩き始めた。  もう時間帯は深夜の十二時近いというのに、まだまだ気温は高く、三十度近くはありそうだった。湿度の高い、人肌くらいの温度に温められた空気が、身体に密着してくるようで不快感があった。 「あちい」  浩介は顔をしかめた。浩介は早く家に帰ってシャワーを浴びたかった。そしてクーラーの効いた涼しい部屋でくつろぐ……。季節は八月に入ったばか

          異世界からの侵入者

          辿り着いたその世界は

           ゴォン、という爆発音が轟いたのは、藤井透が巨大なトレラー型タイムマシンを自動操縦に切り替えた直後だった。 「一体、なんの音だ?」  隣の操縦席に腰掛けていた中川聡が、そのもともと大きな目を見開くようにして透の顔を見た。中川聡は、透が勤めている、竹内タイム運輸の社員だった。透と同じ二十六歳で、日本人にしては目鼻立ちがくっきりとしている。頭はスキンヘッドに近いホヴズ頭にしていて、身長は百八十センチにわずかに届かないくらいだった。痩せてはいるが、筋肉質で引き締まった身体つきをし

          辿り着いたその世界は

          閉じた瞼の内側に広がる静かな光

           松本くんから電話がかかってきたのは、僕が起きようかどうしようか迷っていたときだった。明日は朝から仕事なので早く寝ようと思ってベッドに潜り込んだのだけれど、結局上手く寝付けずにいたのだ。 「もしもし」  電話に出た僕の声は変なふうに響いた。眠っていたつもりは全くなかったのだけれど、でも、実際は半分ほど眠ってしまっていたようだった。 「寝てました?」  と、松本くんは心配そうな声で言った。 「ううん」  と、僕は答えた。 「上手く眠れなくてちょうど起きようかなって思ってた

          閉じた瞼の内側に広がる静かな光

          散り行く桜の花のようにそっと

           沢田のことを思い出したのは、その小説が見つかったからだった。  その小説は、引越しの準備をしているときに色んなものを放り込んでおいたダンボールのなかから見つかった。  ずいぶん前に、沢田が手紙と一緒に同封して送ってくれていたのだが、いつか読もうと思いながら、つい、ずっとそのままにしてしまっていた。  沢田の夢は、小説家になることだった。  沢田と知り合ったのは二十六のときだ。わたしがまだアルバイトをしながらミュージシャンを夢見ていた頃だ。恥ずかしい話だが、わたしにも若

          散り行く桜の花のようにそっと

          Hello。Hello。

           ハロー。ハロー。元気ですか?今、ふと思いついたので、これを書いています。これは何処へいくあてもない、ただの独り言みたいなものです。わたしの感じことや、思ったことの、断片、あるいは切れ端。               ☆  ねえ、わたしはこれ以上、前へ向かって進んでいくことができるのかな?……ときどそんなふうに感じることがある。そのへんのなんでもない、小さな石ころに躓いて、転びそうになって、なんだか泣き出しそうな気持で、未来を、これからのことを、たとえばそれは、遥か、高い、高

          Hello。Hello。

          それは遥か遠く、とても近い場所から

          「ル・シュナ?」  佐藤正弘は腰掛けると、いつものように正面の席に腰掛けている男に話しかけた。すると、話しかけられた金髪碧眼の男……ウェンスは仏頂面で、「レナ」と、答えた。  現在、佐藤正弘がいるのは、宮崎県にある自衛隊基地の一室だった。部屋は正方形をしており、目に眩しいような白色をしている。部屋の広さは高校等の一クラス分くらいの広さであり、また部屋のなかにはほとんど物がなかった。そのため、部屋は妙に広々として感じられた。あるものといえば、現在二人が腰掛けている椅子と、ふ

          それは遥か遠く、とても近い場所から

          失われた大陸

           僕は今、松橋の住むアパートのドアの前に立っていた。松橋が住んでいるのは、都心からやや離れた、ごく平凡な鉄筋コンクリート造りのアパートだ。僕はもう何度も松橋のアパートには来たことがある。しかし、今回の訪問は、いつもといささかその事情を異にしていた。 松橋と連絡が取れなくなったのは、今から三日前のことだ。ラインも電話もメールも一切繋がらない。まあ、松橋にもいろいろと事情はあるだろうから、一日や二日、忙しくて連絡を取る暇もないということはあるだろうが、しかし、それが三日にも渡っ

          失われた大陸

          夏の終わりの静かな風

          「吉田くんじゃない?」  ふいに背後から声をかけられた。驚いて振り向くと、そこにはひとりの女性が立っていた。年の頃は二十代半ばくらいだろうか。きれいな女の人だった。知り合いだろうかと思って僕は記憶の糸を手繰り寄せてみたのだけれど、どうしても思い出すことができなかった。それで僕が戸惑っていると、 「覚えてない?」  と、彼女は言った。 「ほら、高校のとき同じクラスだった」  と、彼女は笑顔で続けた。  その彼女が出してくれたヒントのおかげで、ようやく僕は彼女のことを

          夏の終わりの静かな風

          僕の孤独は水色の冷たさに沈んで

           西瓜の種子を彷彿とさせる、無数の黒い粒が、光沢のある、青い、記号の∞の形に似たもの、あるいは数字の8を想起させるものに、群がっていた。 蝶々は、忙しく動き回るたくさんの蟻たちによって、徐々に、その原型を失いつつあった。 「ここにいたんだ」  急に、頭上から声が降ってきた。顔をあげてみると、そこにはひとりの女が足っていた。ほっそりとした体型の女で、茶色の前髪を、額のところで、真っ直ぐに綺麗に切りそろえていた。一重の瞳は細く、まるで目を細めて笑っているみたいに見え、少し丸

          僕の孤独は水色の冷たさに沈んで

          アンダーワールド

           漆黒に近い暗闇を、黄色い光が二本、鮮やかに切り裂いている。それは僕と工藤先輩が頭に被っているヘルメットに固定されたライトの光だ。一応、電灯の光もあることはあるけれど、かなり間隔をあけてポツンポツンとあるだけなので、周囲の空間は基本的にかなり薄暗い。 「マジでさぁ。こういうところ歩いてると、地底人とかでできそうだよなぁ」  工藤先輩は僕の前を歩きながら、面白がっている口調で言った。 「やめてくださいよ。地上にいるときならともかく、こういうところでそういう話すると、マジで

          アンダーワールド