見出し画像

【狂気】♬初期の井上陽水。その「狂った歌詞」を、みんなで楽しもう!<パート1>

本名は、井上陽水と買いて「いのうえ あきみ」と呼びます
1948年〈昭和23年〉8月30日、福岡県生まれ。

1969年に「アンドレ・カンドレ」としてデビューし、「カンドレ・マンドレ」という曲でデビュー。
曲調は、「夢の中へ」に似ているかな・・・という感じの、わかりやすい曲ですが、歌詞が意味不明で、ヒットせず。

♬ よく お聞きよ 二人の言葉さ
  カンドレ・マンドレ
  サンタリ・ワンタリ
  アラホレ・ミロホレ
  1234 ABCDEFG ♬

カンドレ・マンドレの歌詞の一部

う〜ん、意味がわかりませんねぇ。
なぜ、このような歌詞にしたか、陽水本人は、
「だってさぁ、あのころってね、『おらは死んじまっただ』とか、わけのわかんない歌詞の歌が流行ってたのよ。だから、こんなものでいいんじゃないのって。なめてたね、世間を。今、思うと(笑)」
と語っている。

で、アンドレ・カンドレ時代を経て、兄貴分だった星勝さんの所属していたモップスの協力を経て、「井上陽水(いのうえようすい)」として、ポリドールに移籍してデビューします。

◆◇◆

1971年ポリドール・レコードのディレクター多賀英典に誘われて移籍し、初のアルバム断絶』のレコーディングを始める。
この「断絶」も、いいアルバムですねぇ。
狂った歌詞、怖い歌詞が満載です。

■感謝知らずの女

♬ ダイヤモンドの指輪 いつか誕生日にあげた
  そして あなたは言った もっと大きいのが欲しいわ ♬

感謝知らずの女の歌詞の一部

ろくでもない女ですね。
初期の陽水は、女性不信、人間不信に陥っていたのかな、と思います。

次は、人間の貪欲さを描いた傑作ですよ。

■限りない欲望

♬ 僕はやがて 歳を取り 死んでいく
  僕はそれを 当たり前と 思ってる
  それでも僕は どうせ死ぬなら 天国へ
  限りないもの それが欲望
  流れ行くもの それが欲望 ♬

「限りない欲望」の歌詞の一部

死んでからでも、人間の欲望は消えないのですね。
若い陽水の死生観が色濃く出ています。深いなあ。


■ハトが泣いている

♬ ハトはこの世界で 生きていたけれど
  涙ながして 明日はないと 明日はないと泣いている ♬

「ハトが泣いている」の歌詞の一部

厭世的で、人類滅亡を暗示させるような歌詞ですね。
ハトが可愛そうになってきます。

「傘がない」はあまりにも有名なので、カットさせていただきます。


ちょっと箸休めを。

■夕立

♬ 夕立 そこまで来ている 雷ゴロゴロ ピカピカ
  情け容赦ないみたいだ 誰もが一目散へと
  どこかへ走る
  カエルは 嬉し泣きをしている
  
  洗濯物がぬれるから 女はひきつった顔で
  わめきまわる ころびまわる
  男はどうしたことかと 立ち尽くすだけ
  空の水が全部 落ちてくる  ♬

「夕立」の歌詞の一部

曲はパンクっぽいですね。
突然の夕立で、「カエル」だけが喜んでいるのが、鳥獣戯画のようでオモシロイですね。

◆◇◆

「断絶」がけっこう売れたので、セカンドアルバムの制作をはじめます。
1972年12月10日、「陽水・センチメンタルⅡ」というタイトルに決まりました。

■東へ西へ

♬ 昼寝をすれば 夜中に眠れないのは どういうわけだ ♬
♬ 電車は今日のすし詰め 伸びる線路が拍車をかける
  満員 いつも満員 床に倒れた老婆が笑う ♬
♬ 花見の席で待ってる 君にやっとの思いで逢えた
  満開 花は満開 君はうれしさあまって 気が触れる ♬

「東へ西へ」の歌詞の一部

昼寝するお前が悪いんだし、老婆は倒れて笑ってるし、彼女は気が狂ってしまうし。
花見というのは、人を無茶苦茶にしてしまうのでしょうか。
しかし、よくまあ、こんなシュールな歌詞が書けますなあ。

確か、NHK「紅白歌合戦」で、元シブガキ隊のモックンが歌ったような気がします。


■たいくつ

♬ アリが死んでいる 角砂糖のそばで
  笑いたい気もする あたりまえすぎて ♬

「たちくつ」の歌詞より

名作「城の崎にて」のハチが死んでいる描写のような文学的な香りのする歌詞ですね。
なんだか、こわいですけど。

・・・

で、このあたりで、東宝映画「放課後」(監督:森谷司郎)の主題歌としてリリースしたシングル「夢の中へ」が大ヒットします。
あの人生幸朗師匠までがネタにつかった名曲です。

■夢の中へ

♬ 休むことも許されず 笑うことも止められて
  はいつくばって はいつくばって
  いったい 何をさがしているのか ♬
♬ 探すのをやめたとき 見つかることも よくある話で
  踊りましょう 夢の中へ
  行ってみたいと 思いませんか? ♬

「夢の中へ」の歌詞より

絶対、クスリをキメて書いた歌詞ですね。
そうじゃないと、こんな名作は書けないです。
人生そのものではありませんか。
実際、クスリで逮捕されたことがありますし・・・。

この曲は庵野秀明も大好きで、彼のアニメ「彼氏彼女の事情」のエンディング曲に使われていました。

・・・

で、スタジオ録音作品としてのサードアルバム、かつ、井上陽水の代表アルバム「氷の世界」が発売されます。

当アルバムは100週以上BEST10に留まるなどロングセールスを続け、発売から2年後の1975年8月に日本レコード史上初のLP販売100万枚突破の金字塔を打ち立てました。

オリコンのLPチャートでは5度も1位に返り咲くという記録も持っており、陽水は第一期の黄金時代を迎えます。

名曲揃いです。捨て曲なしというのが凄いですね。

■あかずの踏切り

https://www.youtube.com/watch?v=iuvz1mH0AjA

♬ 電車は行く先を隠していたが
  僕には調べる余裕もない
  子供は踏切の向こうと こっちとで 
  キャッチボールをしている 
  ここはあかずの踏切り   ♬

「あかずの踏切り」の歌詞より

作曲は、モップスにいた星勝さんです。
作詞は、陽水さん。
この歌詞もシュールですね。
「子供」を出すことで、非日常の中に突然「日常」が登場する、そんな計算があったかしら。



■氷の世界

♬ 人を傷つけたいな 誰か傷つけたいな
  だけど出来ない理由は 
  やっぱり ただ 自分が怖いだけなんだな
♬ そのやさしさを 密かに胸に抱いている人は
  いつか ノーベル賞でも 
  もらうつもりで ガンバってるんじゃないのか ♬

「氷の世界」の歌詞より

歌いだしの「りんご売り」も衝撃的なんですけど、上記の歌詞が、私にとっていちばん、しっくりくる部分であります。

私も、「傷つけたいやつ」「殺したいやつ」が山程います。
でも、できない。自分がこわいから。

まるで、私の心を見透かされているような気がしました。


■自己嫌悪

♬ めくらの男は静かに見てる 自分の似顔絵 描いてもらって
  「似てる」と ひとこと つぶやいている
  あなたの目と目よ 涙でにじめ    ♬

「自己嫌悪」の歌詞より

「めくら」という放送禁止用語のせいで、一時期、CDから省かれていた曲です。
こんな名曲を、くだらない「言葉狩り」のためにカットするなんて、アホちゃうか、と思います。

(1)めくらの男
(2)死病に罹った男
(3)不眠症の男
(4)歌えない男(陽水の自己投影か?)

この4人の男たちは、悲しい。つらい。でも生きていかなければいけない。
無常観ただようこの曲は、私の陽水フェイバリットのベスト5には入りますね。



■桜三月散歩道

♬ ねえ 君
  二人で どこへ行こうと 勝手なんだが
  川のある土地へ行きたいと 思っていたのさ
  町へ行けば 人が死ぬ
  町へ行けば 人が死ぬ
  今は 君だけ 想って 生きよう
  だって 人が狂いはじめるのは 
  だって 狂った桜が散るのは 
  三月。                 ♬

  

「桜三月散歩道」の歌詞より

この歌詞は陽水ではなく、漫画家の「長谷邦夫」が陽水のために書いたものです。
他人が書いた歌詞だから、間奏部分の子供時代を思い出す「語り」の部分も詠えたんでしょうね。自分で書いていたら、恥ずかしくて、照れてしまって朗読できませんでしょうから。

しかし、いい歌詞ですね。
桜の季節になると、みんな、狂ってしまうのですね。
深いなぁ。

◆◇◆


と、いうわけで、
「氷の世界」まで来ましたが、<パート1>はここまで。

陽水の歌詞の毒気にあてられて、すっかり精神的に疲れてしまいました。

第二弾は、またいつか。

では。

ポリドール時代の井上陽水。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

#井上陽水
#陽水
#星勝
#ポリドール
#歌詞
#狂気
#狂った歌詞
#人生とは
#達観
#個性的
#フォーク
#ロックンロール
#ポップス
#日本のフォーク
#昭和の音楽
#昭和
#ニューミュージック
#音楽
#音楽感想文
#音楽レビュー


最後までお読みいただき誠にありがとうございます。私の記事はすべてが「無料」です。売り物になるような文章はまだまだ書けません。できれば「スキ」をポチッとしていただければ、うれしゅうございます。あなたの明日に幸せあれ。