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市内RPG 33 段ジョンB3の祭壇

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。

エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く地下段ジョンを探索している。

地下2階のドラゴンから逃げてきたところだ。

そして、段ジョンの地下3階に続く階段を下りてきた。

地下2階よりも通路が広く、明るい。地下2階は、オレンジのライトが点々と灯っていたが、3階は、松明が通路に置かれていて、赤々と燃えていた。

おかげで、奥までよく見通せるようになった。

ケータイを見ながら、先に進む。ドラゴンには勝てなかったが、巨大ナメクジやスライムをこつこつと倒していった。

ヒラの呪文一発でやっつけることもできた。

「ちょっと休憩」
ヒラのMPに頼ることが多いので、ヒラが一番疲れているようだ。

「はい、マカ」
リュックから小保酒店で買ったマ法力かいふくポーション「マカ」を取り出して、ヒラに渡した。

「あまーーーい」
ヒラはそれを飲み干すと言った。

瓶には「いちご味」と書かれていた。

MPを回復させながら、先を進む。


少し広い場所にたどり着いた。祭壇だ。日本式の神棚に似ている。四隅には提灯が飾られている。4つの提灯には火が灯っている。だれがつけたのだろうか。そんなことを考えていたら、左端の提灯と目が合った。

目が合った?提灯に目がある、、、。

4つの提灯がふわふわと宙に浮かんだ。青い目が光っている。

「お前たちは何者か?」

「おれたちは、魔王をやっつける勇者だ」
勇者ではない戦士ヤスが言った。

「勇者?まことの勇者か、試してやるーーー」

青い目玉のついた4つの提灯は、縦に重なりトーテムポールのように合体した。

8つの青い目をもつトーテムポール提灯。

トーテムポール提灯は、4つの口から小さな火の球を吐き出した。

吐き出された4つの火の球がゆらゆらと揺れながら、追っかけてくる。

「ヒラ、頼む」

「ミナツメタ!」
魔法使いヒラの水の全体呪文が今回は大活躍だ。

火の球が消滅した。

「なかなかやりおる。もう一度!」

トーテムポール提灯は、また火の球を吐き出した。

!!!!今度は8つの火の球が追いかけてきた。

「増えてるーーーー」僧侶カナが叫んだ。

「ミナツメタ!」ヒラが再び水の呪文を唱えた。

「これはヤバいパターンじゃないの?」ヤスが言った。

「これでも喰らえ」

次は、16の火の球が追いかけてきた。

「ミナツメタ!」

これはまずい。火の球は吐くたびに増え、ヒラはMPを消費する。持久戦は不利だ。

「あちちちち」消えなかった火の球が、ヤスに当たった。

「ナムー」カナの回復呪文。

「あぶねーーー」ヤスがマもの星竿を構え直した。

「勇者様、水の呪文って使えるか?」ヤスがぼくに言った。

「ツメタだけなら、、、」

「それでいい。おれに向かって2回唱えろ」

???どういうこと?ヤスの真意はわからないが、何かひらめいたのだろうか。

「ツメタ!ツメタ!」ぼくはヤスに向かって水の呪文を唱えた。

水のかたまりが2つ、ヤスの方に飛んで行った。


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