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参謀の思考法 -トップに信頼されるプロフェッショナルの条件-

今回はこちらの本について、自身の考えを交えながらレビュー兼読書感想文を書きます。
参謀の思考法 -トップに信頼されるプロフェッショナルの条件-

参謀の重要性

 組織において、方向性を示すトップも必要であれば現場で活躍するメンバーも必要ですが、「参謀」についても同様に組織において必要となってきます。著者のように会社の社長を歴任されてきた方でさえ、不完全な人間であるが故に常に参謀を求めているとのこと。社長にとって参謀は迷ったときや困ったときにサポートしてもらえる存在であるとともに、間違った判断をしないためにも、自らの能力の限界を謙虚に認めたうえで、部下を含む他社から学ぶことができるよう参謀を求めるといいます。
 参謀になりたいという人は中々いらっしゃらないかもしれませんが、「この人をサポートしたい」であったり「この上司の助けになりたい」と思ったことは皆さんにもあるのではないでしょうか。

参謀の条件

 参謀になるうえで必要な条件は、「どんなことでも自分の頭で考えようとする人物」だそうです。確かにただ単に指示命令に従順に対応するだけでは社長が迷った時や困ったときにサポートすることはできないでしょうし、社長とは別の観点を持って学びをもたらすことも不可能でしょう。
 ただこれは参謀だけでなく、組織が成長していくためには特に重要で、こういった主体的姿勢や当事者意識な従業員をどれだけ増やすことができるかはどの会社でも課題になっているでしょう。
 私も昔は言われた仕事を「できました!」と上司に報告に行くと、「で?」と言われて衝撃を受けた記憶があります。やり方は少し乱暴だったかもしれませんが、指示命令に対してただ単に行動するのと意図や背景を考えたうえで行動できるのでは天地ほどの差があり、その後の行動にも差が出てきますよね。
 「なぜなぜ分析」というフレームワークがあるように、何事についても「なぜ」と自分の頭で真摯に考え続けることができる人は徐々に心を広げ思考を深めることができると著書にも記述がありました。

参謀の役割

 社長(リーダー)の役割が意思決定だとすると、参謀の役割はその意思決定に必要な材料を揃えて提示することだそうです。そのためにリーダーの進む方向を見極めてリーダーが最速で進めるように先回りをして準備できなければなりません。著者によると、社長には正しい意思決定に向けて深い思考を続けていただく必要があり、思考力を削ぐような要素は排除させなければならないとのことです。これは比喩ではなく、そのために実際に社長のかばん持ちを買って出たそうです。
 私も社長へ承認等を得るためにお伺いに行った経験はありますが、社長が意思決定するうえでどんな質問にも答えられるように事前に準備をしていなければ、議論がそこで終わってしまうんですよね。しかも残念ながら基本的に承認を得るチャンスはその1回のみです。

参謀はサポートだけすれば良いのか

 参謀はリーダーが迷ったときや困ったときにサポートできる存在であると同時にリーダーに学びを与えないと参謀とは言えません。リーダーの後をくっついていく単なるフォロワーや、いわゆるゴマすりを行うような人では参謀は務まりません。
 信頼されるということが何よりも重要だと思うので、その信頼を得る手段が単なるフォロワーでは、実行者としては優秀になれるかもしれませんが参謀という意味では力不足ですよね。ご機嫌取りなんてもってのほかです。相性の良い悪いも目的達成のためには仕事に持ち込むべきではないという記述などもありました。

参謀にとっての敗北

議論に勝つ事は、参謀にとって敗北ですらある。

 個人的に一番感銘を受けたのはこの部分でした。参謀は議論に勝つのではなく納得を得ることが重要だそうです。企業において参謀が相手を論破する事は勝利でも何でもなく、むしろ相手の反感を買うため、経営と現場の間に不信感を生み出してしまうと言う意味で、敗北ですらあるというのです。
 これは現場側としてはとても共感できますよね。人の心というものは理解するだけでは動かすことができなくて、それにプラスして納得感というのも必要になってきます。私も例えば自分のやり方や考えを上回るような意見がメンバーから上がってきたときには、自身の意見と異なるからとそれを足蹴にするのではなく、取り入れるということを意識しています。本当に良い意見ならば排除するのではなく取り入れればみんなが幸せになれるはずですからね。

最後に

 参謀はリーダーをサポートするためにリーダーの進む方向を見極めて最速で進めるよう先回りをして準備するような動きも必要であれば、反対に現場を理解し現場感覚を持ち合わせて自分の言葉で伝え、共感を得る必要のある重要な役割です。
 組織にとってそれぞれに役割があるように参謀=単なるサポートではなくリーダーと現場を繋げるような働きができる方が本当の参謀役と言えるかもしれませんね。



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