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英語喋れなかった僕が元DiscordのCMOから出資してもらってアドバイザーになってもらうまで -前編-

初めまして、HoloAshという会社で米国大学生向けにビデオ通話アプリweCallを提供している岸といいます。

今回は、僕の挑戦から米国でスタートアップする人たちが増えて欲しい!ということ。特にSNSやコミュニケーション領域という、インフラや人々の生活に深く入り込むプロダクトで、グローバルで日本から広がった事例はなかなかありません。

かっこいい話ではないかもしれませんが、米国市場での1つの事例として、スタートアップ業界の方々の参考になればと思っています。

そして何より、その挑戦に賭けてくれた、その挑戦を応援していただいた全ての人に感謝を示したくブログを書いています。

Blue Jeans NetworkのKrish Ramakrishnan氏からアドバイスをもらう

まずは自己紹介です。
「違いがあることで苦しんでる、生きづらいと思う人の居場所を作る」
これが創業からのミッションで、プロダクトをいくつか作ってきました。

自分自身、発達障害があり「自分の自己肯定感の低さ」を認知しながら生きてきていて、その中でもソーシャルメディアによる他人と自分の比較、それから現実の自分と理想の自分のギャップに苦しむ人が非常に多いことは知られている。

さらに、既存のソーシャルメディアは人と人を繋ぐ役割を果たす一方、影響力のある人はより大きな影響力を得ていく装置。
そこの後ろには、僕と同じように忘れられてしまった人たちがいて、僕のようにコミュニケーションが下手な人たちは居場所を失っている。そういった忘れ去られた人たちの居場所を作っていこう、と思った。

Austinでの始まり

初めての渡米
2018年、初めてアメリカの地に降り立った。
「アメリカって都会でも田舎っぽいな」と思ったことを今でも覚えている。最初に行ったのはオースティンテキサス。

テキサスといえばBBQだ!ということでとりあえず肉を食べようとレストランに入ってみる。
店員がなんか聞いてきたけど何もわからないからビーフだけいう。

そしたら店員が一番上のメニューを指すからとりあえずOKって言ってみる。

すると「あなたはxxxxxxxxxx?」と聞いてきた。

・・・

you以外の言葉は何も聞き取れないから覚えてきたセリフ
「I beg your pardon」と言ってみる。

「あなたはxxxxxxxxxx?」

・・・

まだ聞き取れない。仕方ないから「OK」と言ってみた。
暫く待つと店員が何か言いながらやってきた、とりあえずThanksと言う。
出てきたBrisketを食べるとめっちゃ美味い、美味いんだけど、脂っぽい。

その時食べたBrisket。

聞き取れなかった内容は、
どうやら脂身はつけるかつけないかのオプションを聞いていたと、後でGoogle翻訳を使って理解させてもらった。

当然ながらお腹を壊すんだ、英語できないことは罪である、と感じた。
そして昔誰かが「日本人は胃腸が弱い」って言ってたのは本当だった、と思うのだった。

僕が初めて渡米した時、この程度の英語レベルだった。その時は覚えてきたセリフを日本語英語で説明する、ドラマシリコンバレーを見てシャドウイングして培った発音でなんとか誤魔化す(誤魔化せてない)。

テキサス大学にあるThe Seven Mustangs

Palo Altoでの修行

Technology Launch Programに採択
こうして起業したが、全く人脈も何もない。お金もない。とりあえず、インキュベーターやアクセラレーターに応募をしまくった。
その中で唯一採択されたのが、Palo AltoでやっていたTechnology Launch Programというものだった。
これが恐怖の始まりだった。。。

毎日Pitchで顔をしかめられる
この起業家ハウスはPalo AltoのBlue Bottle Coffeeから30秒のすぐ近くにあるStartup Embassyという建物で、Stanfordの研究員生、移民系の起業家が主に集まる場所だった。
毎日いろんな人が来て本当に面白い場所で、Daniel Kottke(Appleの最初の社員)がフラッとやってきてギターを弾いて帰ってくるようなところ。

そんな中、僕は毎日泣きべそかきながら過ごしていた。

初日、みんなの前でやっていることをプレゼンしろ、と言われる。
ドイツ系のエンジェル投資家が厳しい目で僕を見つめ話し始めて15秒で「お前が言ってることは1つもわからないから英語勉強しろ」と言われてしまう始末。

Pitchに対して厳しいツッコミをするエンジェル投資家

辛いながらも、みんなにこれの発音はどうする?こう言ったら通じるの?って聞きながら発音を覚えていった。口の形を真似して発音の練習をしながらピッチの練習に励む日々。仕事ももちろんする。
めげずに前に立って話し続けた。

チーム組成

活動していく中で自分の限界を感じ始めていた。
母良田氏は創業初期から無給で土日で手伝ってくれていたものの、2人でそれをやっていると進捗はやはり遅い。
エンジェルから調達を終えたある日、彼からこんなことを言われた。
「正式に一緒にやりませんか?」
安定した仕事を捨てて一緒に来てくれる、とても嬉しかった。
給与が払えないこともあるかもしれない、それでも良いと言ってくれた(実際には、1ヶ月遅れたり、資金がなくなる直前で投資家からの入金があったりとなんとかやってきた)。

Tech Crunch Disrupt in San Francisco

さらに、インド人エンジニアのShekharがAmazonをやめると聞いた。
元々知り合いだったArunという知人からそれを聞いて、「一緒にやろう!」と誘って、一緒にやり始めた。
彼の給与は最初怖くて聞けなかったし、あとで聞いたら想像の2倍くらいあって引いた。。。
そんな彼が給与は半分以下になってまでジョインしてくれた

一緒に世界を変えよう!って言って頑張る3人

プロダクトを世の中へ

この時のチームは5人。フランス人、ナイジェリア人、インド人、日本人のチームでやっていた。

「違いがあることで苦しんでる、生きづらいと思う人の居場所を作る」

このミッションの元、アンチソーシャルメディアのプロダクトを開発しよう!といって始めた。
「偽りの姿ではなく、自分らしくいられる場所を作ろう」ということで、中毒性のない自分らしくいられるソーシャルメディアweBelongの開発を始めた。

チームは5人へ

こうして始まった僕らの「自分らしくいられるソーシャルメディアweBelong」はLGBTQ向けに人気を得ることになった。
米国では当時、Ginny And GeorgiaやNever Have I Everといったティーン向けのドラマが流行っていたが、多くの作品でLGBTQを扱っていた。

一方で、ソーシャルメディアに目を向けるとSnapChatやInstagramは容姿がいい人が人気を得ていき、自分らしさよりも加工された美しさが人気を得ていた。

LGBTQの人たちは自分らしく自分を表現をできる場所を探していたが、そんなソーシャルメディアはなかった。weBelongはそんな彼らのハートを掴むことができた。

weBelongの立ち位置は「中毒性のない自分らしさを表現する居場所」で、僕らの少し後にBlue FeverやBeRealなどが出てきており、多くのスタートアップがこの現状を認識していたようだった。

僕らはLGBTQ向けの立ち位置を確保したことで、ユニークなプロダクトになり、ユーザーは10万人程度まで増えていく一方で、そこにはLGBTQならではの難しい構造もあった。

アプリがラジオや雑誌で取り上げられるなどした

weBelongのユーザーはLGBTQのティーンの中でも、都会に住んでない、保守系の州に住む、親がAnti-LGBTQである、といった人たちだった。

リアルにも居場所がない、LGBTQ同士の繋がりを求めてweBelongに来てくれていた。

これは同時に「周囲に広まりづらい」ことも示していた。

インタビューしたユーザーの8割強が「友達がいない、ここに来たら友達が見つかるから来てる」と言っていた。
ネットワーク効果が期待できない中、どうやったらこのアプリが広まるかを考え続けていた。
だが、問題はそれだけではない。

New Yorkでユーザーたちと向き合う

中毒性が低いソーシャルメディアは同時に「続けても大して面白みもない、メリットがない」ことでもある。
特に最近のソーシャルメディアはリコメンドと中毒性でできている、といってもよい。

このアンチソーシャルメディアなソーシャルメディアはコンセプトは受け入れられるが、weBelongは思い出した時にしか使わないアプリで、Weeklyでは使うがDailyでは使わない、というアプリになってしまっていた。

ユーザー数は10万人を超えてきていたが、半年以上ちょっとずつしか増え続けないユーザー数を見ながら悩んでいた。
これが数千万人数億人の居場所になるのか、その答えはわからないが決断は早い方がいい。
ピボットをする決意をした。

最後に

前編の失敗談は一旦ここまでです。次のチャレンジについてとDiscordCMOの話は後編にて。

そして、とにかくこれまでの挑戦と失敗、学びは僕1人では決してできませんでした。
今日に至るまで、一緒にやってくれている仲間たち、厳しいことを言ってくれる起業家の方々や笑顔で支えてくれる人、鋭く突っ込んでくれる投資家の方、ただ困った時に話を聞いてくれる方々など、みなさんには感謝が尽きません。

振り返ってみて、続けていた方が良かったのか、やめて正解か。その判断は難しいですが、僕自身がLGBTQとしての利用者にはなり得ない、そして、ソーシャルメディアの性質と中毒性を失わせようとすることのバランスの難しさがありました。
今新しく出しているプロダクトの話は次回の後編にてお話ししますが、次の挑戦ではコンテンツを消費するのではなく、友人と共に体験する時間を作るアプリを開発していますので、そちらもぜひみてください。

今回のチャレンジができたのは応援をしてくださった多くの起業家、投資家の皆様のおかげです。

投資をしてくださったVCおよびエンジェルの方々、Nick Dor, Eros Resmini、笠原さん、山本正喜さん、エニグモ須田さん、小林さん、高頭さん、トミーさん、Indee Japanの皆さん、小笠原さん、曽我さん、宗清さん、宮川さん、熊谷さん、岩田さん、布田さん、ヤソさん、芝山さん。
本当にありがとうございます。

そして、起業家としてや友人として少なからず関わってくださった方々、本当にありがとうございます。

ここまで来れたのは皆様のおかげですし、日本人がアメリカのBtoCで勝負することに賭けるのはなかなかできないリスクテイクだったと思います。

ここまでの応援をまずはありがとうございます。この学びを通じて次のチャレンジに入っています、まだまだ諦めないです!

ここから世界に広がっていくサービスにしていきますので引き続き応援をいただければありがたいです。

もしもっと話を聞きたい、米国で挑戦したい、応援したいと思っていただいた方はTwitterでフォローやメールいただければと思います。
後編はこちら

yoshua@holoash.com
https://twitter.com/YoshuaKishi

#わたしのチャレンジ


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