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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #46:小国が生き残る手段

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は46回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回まで、三回に分けて、機能する組織を秦新旧六大将軍を軸にまとめました。「#43:旧六大将軍の組織構造問題」では、昭王時代の六大将軍が僅かに機能しなかった点についてまとめ、それを踏まえて、「#44:機能する組織を作る-旧六大将軍編」「#45:機能する組織を作る-新六大将軍編」では、理想の組織構造はどのような物なのかを各時代の六大将軍を軸に考察しました。まだお読みでない方は、上記リンクより、各記事をお読みください。

さて、今回は、視点をガラリと変えて、秦ではなく、戦国七雄で最も小国であった韓という国に焦点を当ててみたいと思います。これは、現代ビジネスにも応用が効く内容なので、今回取り上げます。

韓とは、ご存じの通り、戦国七雄では最小の面積であり、周りは、秦、楚、魏に囲まれているので、どの方角に対しても常に気を配る必要があります。また、小国故、人口も少なく、必然的に武力に劣ると言われています。これらの理由から、戦国七雄の中では、最弱で、いつ滅びてもおかしくない国になります。しかしながら、秦が中華統一の為に各国を滅ぼそうとするまでは、しっかりと生き残り、それなりに存在感を示していました。なぜでしょうか。

それは、韓が自国を小国と認め、小国が生き残る手段を理解し、実践できていたからだと言えます。では、その手段とはどんな事でしょうか。

1) 唯一無二の存在になる
上記で述べた通り、まず、韓という国は周りを強国に囲まれ、非常に厳しい立地にあります。どの国からも常に狙われるリスクがあります。しかし、逆に考えると、いつ狙われてもおかしくないのに、中々大きく狙われないのにも理由があります。韓という国の存在自体が中華中部の均衡を保っているのです。つまり、他の国にとって、韓自体は脅威ではないが、韓がどこかの国に乗っ取られると大変な脅威になるので、そうならないように、常に周りからのサポート体制が整えられており、安定した状態にいるのです。それをしっかりと理解し、どこかに牙をむくわけでもなく、周りと上手くコミュニケーションを取りながら生き延びています。これは、ビジネスにおいても重要な戦略で、ビジネスのバランスを保つ為に、敢えて大手から狙われないような立ち位置に自社を置くという事があります。保守的な産業で良く見られます。

2) ニッチを狙う
これも上記と似ている戦略にはなりますが、上記1)は広範囲な盤上の立ち位置である事に対し、こちらはより実践的な手段になります。キングダム内で韓の武将や軍はほとんど出てきておりませんが、合従軍の時、韓軍の総大将成恢が得意としていた毒の開発が良い例になります。韓は小国故、単純な武力で考えると、他国に対して圧倒的不利になります。当時はやはり数が物を言う戦場でしたが、それを覆す為に研究されたのが毒の戦での使用になります。結局、戦での目的は勝つ事ですので、どんな手段でも良い訳です。張唐将軍のような昭和の体育会系武将は、非道だの色々と騒ぎ立てていましたが、結局こういう古い人間はイノベーションの進化についていけず、市場から淘汰されてしまいます。(張唐将軍の老害問題については、#39:老将の重みという老害をお読みください。)毒の研究がもっと進み、それを120%戦で活用できれば、韓という国は逆に中華を統一できたのかもしれません。これは、まさにビジネスでいうところのブレークスルー、イノベーションのジレンマを打ち破った好例になります。

3) ハイエナ戦略
ハイエナと言うと、強者の腰巾着で、強い物のおこぼれをもらうイメージなので、ポジティブには聞こえませんが、戦場やビジネスにおいては全く問題ないと思います。むしろ、自分の立ち位置を明確に理解した上での、優れた戦略だと言えます。韓がハイエナ戦略として、上手く活用したのが、失敗には終わりましたが合従軍の戦いになります。本来、韓という国の小ささから、このような大きな戦には声がかからない事もあるとは思いますが、李牧が呼んだのか、韓が根回しを駆使し、参加をアピールしたのかはわかりませんが、対等な位置で合従軍の一員として参加をします。それにより、秦を滅ぼした場合、出した軍の比率で領土を得る権利を得ます。韓が今以上領土を拡大する事が難しかったあの時代に、強者に協力する事で、領土拡大をする千載一遇のチャンスを得た好例になります。ビジネスにおいても、圧倒的強者にまとわりついて、ビジネスのおこぼれをもらう中小会社は腐るほどあります。特に自動車産業や医薬品産業のような、大きく保守的な産業に多くみられます。すべての会社が何千億の売り上げを挙げる必要はありませんし、会社にとっては社員を雇用し続け生き残る事が何よりも大事であり、弱者でも勝者になり得るのです。

合従軍

このように、規模が小さいから、経験が浅いから勝者にはなれない、とすぐに諦めるのではなく、自分の立ち位置をしっかりと理解し、生き残る手段はいくらでもあります。何度も言いますが、弱者=敗者ではありません。弱者でも勝者になれるのです。ましてや、ビジネスの世界は明確な勝ち負けなどなく、自分の目標を達成すれば、誰が何と言おうと勝者です。これは、会社だけでなく個人にも言える事です。不平不満ばかり言う暇があれば、その不平不満の根底にある原因を探り、逆手に取って勝ち抜けば良いだけの話です。

今回は、強者の影に隠れているが、実は多くの人のヒントになり得るのではいう思いで韓と言う国についてまとめました。完璧な人間なんていないので、社会的に成功されている読者の皆さんにとっても良い教訓になればと思います。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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