見出し画像

漫画キングダムから学ぶ会社経営 #39:老将の重みという老害

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は39回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。(各記事は基本的に、キングダム最新巻までのネタバレを含みますのでご了承ください。)

前回#38では「女性が活躍する組織」についてまとめました。女性に関わらず、社会で活躍する為にはどうしたら良いかという点について言及していますので、まだお読みでない方は、こちらのリンクよりご確認ください。

さて、今回は、特に日本では超高齢化社会になり、今後も切っても切り離せない社会問題である、高齢者との付き合い方、また、社会だけでなくビジネスや組織運営においても大きな議題である「年配者との付き合い方」、敢えて乱暴な言い方をすると「老害」について、キングダムを例に見ていきます。

いつの時代も、経験というのは大きな強みになります。勢いや理屈だけでなく、経験値を加える事により、多くの事は正しく進みます。また、経験というのは、基本的には時間に比例するので、歳を重ねた方がより多くの経験を得る事になります。しかしながら、逆に経験が足かせになって躊躇したり、柔軟に対応できない事も良くみる光景です。つまり、経験者であるほど、より柔軟に物事を捉え、対応する事が重要になります。

キングダム内でも、多くの経験値を持ち、かつ柔軟な考えを持った優れた武将というのは、多く存在します。例えば、王騎将軍や、その副官であった謄などは、昭王の時代から大戦を経験し、その経験値を後世に残しています。また、漫画を通じて経験値を得、成長するキャラクターも魅力の一つです。例えば、主人公の信や、蒙武将軍などは、良い例で、初回登場時から、大きな成長を見せております。

それでは、今回のテーマである老害とみられる例について考察していきます。それは、合従軍との戦いにおける張唐将軍です。

張唐将軍は秦国が誇る猛将として、六将の時代より前線で活躍しておりました。合従軍戦以前では漫画内でほとんど描写はなく、対楚の防壁線にいたことくらいしかわかりません。しかし、合従軍戦で、名だたる将軍の一人として、咸陽に集められ、蒙驁将軍、桓騎将軍と共に函谷関城壁の守備に当たります。

結果的には、最後、桓騎将軍の助けを経て、韓の大将成恢を討ち取りますが、いくつか、老害と思われる言動があったので、以下書き出します。

① 「貴様には国を守る覚悟はあるか?この国をしょって立つ武将になる覚悟が貴様にはあるか聞いている」

② 「将と呼ばれる者達がどのような道を通ってそこに立っていると思う どのような覚悟でそこに立っていると思う 貴様のようにフラついた男など一人もおらぬわ」

張唐 2

③ 「たわけ者共が そんなものが函谷関に届くと思ったのか 函谷関が何者かが分かっておらぬ おびただしい程の秦人の血と汗と・・・”命”を費やして積み上げられたこの”高さ”と!中華に比肩するのもはひとつもない!故に函谷関は作られてより百余年一度も敵に抜かれた事がない一度もだ!その歴史を貴様らが超えられると思うか。この壁に手が届くとでも思っているのかたわけた夢だ 今もこの先百年も秦の敵は唯一人としてここを通れぬそれが秦国門函谷関だ!」

まず、①と②に関しては、桓騎将軍に対しての言動になります。桓騎将軍のようなチャラついた若い将軍の事をいかにも嫌いな感じで、いちいち食って掛かります。現在の戦をどうするかではなく、未来の根性論を聞いたり、立ち振る舞いを罵ったり、意味がわかりません。未来について話す事自体は非常に良い事ですが、武将としての覚悟は、特に武将などというくくりに囚われない桓騎将軍にとってはどうでも良い事ですし、例えそれを聞いたからといって張唐将軍の自己満足でしかありません。これに対する、桓騎将軍の返し「立派立派、それで弱かったら、もはや悲劇だな」が、素晴らしく、意味のない問答の全てを語っています。

現代で例えるならば、定年間近の営業一筋のおじさんが、若者に対して、飲みの席で、営業マンとしての覚悟や過去の武勇伝をただ語っているだけで、若者からしたら何も得る事はありません。

次に③に関しては、呉鳳明が対函谷関の為に作った井闌車に対しての発言になります。これに関しては、浅はかで短絡的な罵声にしか聞こえてこないです。どんな仕掛けやからくりがあるかわからずに、見た目だけで判断し、失敗する好例です。普通に考えれば、相手も国を代表する大将軍で、馬鹿じゃないので、わざわざ対函谷関用に持ってくるわけですから、そのまま届きませんでしたなんて事はあり得ません。それを過去の血と汗で作った結晶に勝てる訳がないと決めつけてしまうあたり、昭和の体育会系を思い出します。

このように、根性論や、見た目だけの判断、過去できなかったから今もできないという固定観念は、客観的に二流の言動である事がよくわかります。みなさんの会社にもこのような人達は必ずいます。わざわざ言い争うのも時間の無駄ですので、ある程度距離を取りながら聞き流し、自分がそうならないよう、反面教師のいい機会として、接する事をおすすめします。

最後補足として、今回の題目にした「老将の重み」の発言は、実は張唐将軍ではなく、張唐将軍との会話で生まれた、蒙驁将軍の発言でした。蒙驁将軍に関しては、「#8:最強のリーダー、蒙驁将軍」でもまとめましたが、彼は人を使うのが非常に上手く、また、人の話を聞いたり、受け入れる度量があり、自身の強み弱みを理解しているので、リーダーとしては非常に優れていますが、副将を剥がされて戦った函谷関の戦いでは、あまり活躍できませんでした。リーダーシップが優れているからと言って、個でも優れているかと言うとそうではない、好例になります。

張唐、蒙豪

現在、日曜深夜に、まさに合従軍との戦いがテレビアニメで放送されております。これらの迷言と共に楽しんでみてはいかがでしょうか。

来週はゴールデンウィークなので、休載します。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

この記事が参加している募集

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?