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睡眠ホルモンメラトニンの3つの働きと増やす方法

はじめに

メラトニンは、脳内の松果体で合成されるホルモンです。
幸せホルモンであるセロトニンが原料となり、メラトニンが合成されます。

特徴
・加齢に伴い減少する
・メラトニン量は光に依存する(光を浴びると抑制)
・メラトニン量は1日のリズムが存在する
などがあります。

メラトニンの3つの働き

メラトニンには、

①睡眠作用
②抗酸化作用
③学習と記憶

の働きがあります。

①睡眠作用

 メラトニンは、睡眠の質を高め、体内時計の調整に関与するホルモンです。

睡眠の質
睡眠効率(ベッドいる時間と実際の睡眠時間の差があるか)、
睡眠困難(入眠しても途中で起きてしまうかなど)、
日中覚醒困難(日中眠くて仕方ない)
など様々な要因から判断されます。

睡眠効率が高く、睡眠困難や日中覚醒困難がないのが睡眠の質が高い状態になります。

体内時計
生物は地球の自転による24時間周期の昼夜変化に同調して、ほぼ1日の周期で体内環境を積極的に変化させる機能を持っています。
人間においても体温ホルモン分泌などからだの基本的な機能は約24時間のリズムを示すことがわかっています。このリズムを体内時計を呼んでいます。
1日の体温の周期は下記のようになります。

夕方に深部体温が高くなり、明け方に向かって低下していきます。
眠気は、深部体温と皮膚温の差が小さくなると生じます。つまり、体内時計が整っていると同じような時間に眠くなります。

メラトニン自身が体内時計の調節を受けています。

松果体のメラトニン量は、昼間に低く抑えられているが、夜間に急激に増加し真夜中にピークを迎え、朝方にはほぼ消失します。

以上より、メラトニンの量が睡眠の質、体内時計に深い関わりがあることがわかります。


②抗酸化作用

 私たちの体は酸素を利用してエネルギーを作りだしていますが、酸素を利用すると同時に活性酸素は常に体内で生じています。
 この活性酸素が私たちの細胞を傷つけ、被害をもたらしています。
活性酸素は老化、がん、シワ、しみ、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病の原因となります。
 活性酸素は年齢とともに増えるとも言われていますが、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、多量飲酒、紫外線なども活性酸素が増える原因です。
 体内で増えた活性酸素を除去していくことが、老化や、がん、生活習慣病などの予防になりますが、活性酸素によって酸化を抑えることを、抗酸化と言い、活性酸素から体を守ることを抗酸化作用と言います。
 メラトニンには、抗酸化作用があるため、身体を守りのに貢献しています。

③学習と記憶

学習と記憶低下の代表例には、認知症がある。
メラトニンと認知症の関係性は多くの研究で報告されている。
例えば、アルツハイマー型認知症患者の血中メラトニン濃度は、同年齢のヒトに比べて低いことが明らかになった。
他の研究では、軽度認知障害の患者に常に飲んでいる薬に加えて9~18ヵ月3~9㎎メラトニンを飲み続けてもらうと、飲まなかった群に比べて、MMSE(認知機能をみる検査)の改善が認められた。
このように、メラトニンは、学習と記憶の維持・改善に貢献することがわかる。

メラトニンの分泌量が増えることは、身体に様々なメリットがあるのがお分かりいただけたと思います。

それでは、メラトニンを増やす方法をみていきましょう。

メラトニンを増やす方法

①朝、太陽を浴びる

朝、起床後に太陽光を浴びることで、体内時計をリセットできます。
光を浴びてから、15~16時間後に、メラトニンの分泌が起こり、真夜中にピークを迎えるリズムが出来上がります。
例えば、6時起床であれば、22時頃に眠気が出現するようになります。
一方で、太陽光を浴びる時間が遅くなると、メラトニンが分泌するタイミングも遅くなります。眠気のタイミングが遅くなる上に、眠れてもすっきりしない睡眠になってしまいます。
よって、朝起きて太陽光を浴びることがメラトニンを増やすのに重要になります。

②夜間にブルーライトを浴びない

ブルーライトを浴びるとメラトニンが減少し、睡眠の質低下を招きます。
ブルーライトを発生する機器には、LED、パソコン、テレビ、スマホなどがあります。
日中に睡眠の質を高める行動をしても、夜にブルーライトを浴びると、効果が減ってしまいます。
夜は、なるべきブルーライトを浴びない工夫が大切です。
スマホをみない、テレビをみないなど行動を制限するのは理想ですが、これらの行動制限はストレスの原因になります。
これらの行動は辞められないが、少しでもブルーライトを浴びたくない人は、ブルーライトカット眼鏡やスマホのブルーライトカット機能を使うとよいでしょう。
夜は、少しでもブルーライトを浴びないように心がけると、睡眠の質を高めます。

③リズム運動をする

リズム運動は、睡眠の質を高める働きがあります。
リズム運動には、セロトニン神経の活動を促す効果があるからです。
歩き、咀嚼、呼吸、段差昇降などがリズム運動に該当します。
セロトニン神経の活動を促すと、夜間のメラトニンを増加させます。
結果、睡眠の質を高めることに繋がります。

④食事からメラトニンの材料を摂取

いくらメラトニンを増やすための行動をしても、メラトニンの原材料が体内にないと増やせません。
メラトニンの材料は、セロトニンです。このセロトニンは、必須アミノ酸であるトリプトファンからできます。トリプトファンは、体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。
つまり、トリプトファンを食事から摂取するのが、メラトニン増加に重要です。

トリプトファンは、上記の食材に多く含まれています。
また、下記のようなビタミンB6を同時に摂取することが推奨されています。
ビタミンB6は、トリプトファンの吸収を促進してくれるからです。

まとめ

・メラトニンとは、脳内の松果体から分泌されるホルモンです。
・メラトニンには、睡眠作用、抗酸化作用、学習と記憶の効果があります。
・メラトニンを増やすには、①朝、太陽を浴びる、②夜間にブルーライトを浴びない、③リズム運動をする、④食事からメラトニンの材料を摂取する方法があります。

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参考引用

・メラトニンとエイジング
・メラ トニン合成酵素の構造生物学と 概日リズム制御


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