病気のリスクを減らすために必要な睡眠時間
今回は、睡眠障害になるとどんな病気のリスクが高まるかみていきたいと思います。
病気にかかりやすい睡眠時間を知ることで、どの程度睡眠時間を確保する必要があるかがみえてきます。
睡眠障害と食欲
食欲と聞くと、一見病気とは無関係に感じますが、食欲は、肥満との関係性があるため、病気との関係性もあります。
食事摂取量が増えると、肥満のリスクは上がります。
肥満は、生活習慣病のリスクが高まることは一般的に言われています。
つまり、食欲のコントロールは、生活習慣病（動脈硬化、糖尿病、高血圧など）に関連することになります。
では、睡眠と食欲の関係性をみていきましょう。
健康な成人を4日間連続して睡眠時間を4時間に制限するだけで、空腹のシグナルであるレプチンの減少と食欲増すグレリンの増加がみとめられる。
健康な成人が4日間睡眠時間を4時間にするだけで、食欲が増加します。
慢性的に睡眠時間が4時間の人は、常に食欲が増加しやすいことを意味します。
持続的に食事摂取量が増えれば、当たり前ですが、肥満のリスクが高まります。
睡眠時間が短くなると、食欲増加→肥満→生活習慣病のリスクが高まることになります。
睡眠障害と糖尿病
睡眠時間と2型糖尿病リスクの間にU字型の関係があり、睡眠時間が1日あたり7～8時間のときに2型糖尿病リスクが最も低くなることが示された。睡眠時間が短い場合も長い場合も、2型糖尿病リスクの有意な上昇と関連しており、2型糖尿病の遅延または予防における適切な睡眠時間の重要性が強調された。
このように、睡眠と糖尿病の関係性は、多くの研究により明らかにされています。
睡眠時間が短くても、長くても糖尿病リスクが高まります。
糖尿病のリスクを減らす意味では、7～8時間睡眠が推奨されています。
睡眠障害と高血圧
5時間以下vs7時間、6時間vs7時間、9時間vs7時間群の差は統計的に有意であり、睡眠時間が短いほど高血圧リスクが高いことが示唆された（P <0.05）。9時間以上vs7時間群では有意差はなかった。
睡眠不足は、高血圧のリスクを高める要因になります。
高血圧リスクを減らすには、9時間の睡眠が必要になります。
睡眠障害とうつ病
メタ解析は、短時間睡眠および長時間睡眠が成人のうつ病のリスク上昇と有意に関連することを示すものであった。
ここで言う、短時間睡眠は、5～6時間以下を示し、長時間睡眠は、8～9時間以上を示しています。
つまり、うつ病のリスクを減らすには、6～8時間の睡眠が必要といえます。
まとめ
・睡眠障害は、食欲増加、糖尿病、高血圧、うつ病などのリスクを増加させます。
・これらの病気を予防する観点からは、睡眠時間を7~9時間確保することが重要になります。
参考・引用
1)Karine Spiegel et al : Brief communication: Sleep curtailment in healthy young men is associated with decreased leptin levels, elevated ghrelin levels, and increased hunger and appetite
2)Zhilei Shan et al : Sleep duration and risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of prospective studies
3)Hui Li et al : Correlation between sleep duration and hypertension: a dose-response meta-analysis
4)Long Zhai et al : SLEEP DURATION AND DEPRESSION AMONG ADULTS: A META-ANALYSIS OF PROSPECTIVE STUDIES
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