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No.93真夜中の遭遇

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☀この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です☀
#クロサキナオの2024AugustApex

https://note.com/kurosakina0/n/nbe3250227e3e

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「真夏の真夜中」の思い出

皆さんは真夜中に何かに遭遇したことはあるだろうか。

自分の記憶をたどると、コロナ禍になる前、職場の飲み会の終わりが遅くなって帰りのバスがなくなり、午前1時頃に一人で酔っぱらいながらフラフラ歩いて帰っていたところ、おそらく推定50m後ろから何か

「ウー・・・ウー・・・」

と唸り声が近づいてきたので、振り向かずに曲がり角を曲がった瞬間、生まれてからこれまでの生涯ベスト並みに猛ダッシュしたことがある程度で、近年は特段真夜中のネタは何もない(大体23時には寝ている)。

ただ、大学時代の真夏に続けて怖い思いをしたので、今日はそれを話そうと思う。

一夜目

大学生当時からドライブが好きで、親父にせがんで買ってもらった車体価格15万円の日産サニーという車でよく運転していた(バイト代貯めて買えって話だし、安過ぎて今なら怖くて乗りたくない)。

バイト先も車で通勤しており、バイト後は仲の良い友人を車に乗せてガストやサイゼリヤに行って飯食いながら深夜まで話し込んでいた。

ある夏の夜、いつも通りバイト後のガストで友人と話し込んだ後、時計を見たらもう午前2時近くまでなっていたので、その友人を自宅まで送った後、実家の近所の駐車場に車を止めようとしたところ、

「!!」

さっき駐車場の入り口にいなかったはずだが、自転車に乗ったままこちらをじっと見ている人影が。暗くてよく見えないが、明らかに「人」だ。

「こんな夜更けに人!?」

実家は横浜市だが、横浜市の外れの田舎なので、深夜になれば誰もいない場所。

真夏なのにとても寒気を感じたのを今でも覚えている。

自分が生まれるかなり昔の話だが、近所からそう遠くない森で人が殺されたことがあるというほぼ近所での都市伝説化した話を思い出し、心臓がバクバクして、これはもう生きて帰れないかもしれないと考え出したとき、その人影がゆっくりと車の方へ寄ってくる。

その人影が運転席側に回ってきて「コンコン」と窓ガラスを叩かれた。

そして、あるモノを取り出して、

「あのー警察ですが、窓開けてもらえませんか?」

「ん?警察?」

明らかに私服だが、たしかに警察手帳を持っている。恐る恐る窓を開けたら、

「君、近所に住んでいる人?ここの駐車場っていつも使っているの?なんかずいぶん遅くに帰宅だね。念のため免許証見せてもらって良いかな?」

とりあえず免許証を見せて、事なきをえたが、よくよく考えたら、

「職務質問?何か疑われた?」

人生で初めての職務質問・・・気持ちは複雑だった。

結局何を疑われて聞かれたのか分からずじまいだし、何だか気味悪いなと思いつつ、あの警察官も何か言ってくれたら良いのにと不信感もあり、その日は早足に帰って行った。


二夜目

あれから一週間経ったかどうかの日。
その日もバイト帰りに友人と行きつけのガストで一通り話し込んでから帰ったのだが、あの日の時間帯と同じ午前2時頃。

いつも通り駐車場に入ったのだが、なんか駐車場の各駐車スペースとは異なる場所に、1台車が止まっている。

普通のセダン型の車。しかも、真夏なのにエンジンが止まっている・・・自分の車のヘッドライトに照らされたその車には明らかに人が座っているのが見えた。それも二人。

「この前の警官は、この車を追っていたのでは?」

明らかに不信感を漂わせる謎の車。
人いたよな?何故こんな暑い夜なのにエンジンかけず何しているんだろう。

先日同様に、何か背筋が凍る感触があり、これこそきっとアブナイ人たちだ、人生詰んだとまで思うほど、その真夜中の光景が異様に見えて、本当に頭が真っ白に。

サッと駐車して逃げようとしたところ、駐車と同時に二人組が車から降りてきた。暗くてよく見えないが、男に間違いない。

身体が固まり身動きがとれない。人はあまりの恐怖を感じると全く動けないらしい。

二人組の一人が車の窓ガラスを「コンコン」と叩き、そしてあるモノを取り出した。


「警察ですが、窓、空けてくれますか?」


「また?」

これは完全にマークされていたのか・・・いやいや先日職務質問しているだろう!と半ば怒りがこみ上げてきたがそこは我慢。


「君、学生さん?こんな夜遅くになにしていたの?」


先日の警官以上に明らかに疑っている・・・。
もう疲れて眠いし疑われていることへの不信感から、

「自分は近所に住んでいますし、前にも他の警官に言いました。こっちはバイト帰りで疲れているし早く帰りたいのでもう良いですか?はい、これが免許証です!」


・・・多分穏便に済んだはず。
それからは張り込みをしている警官には出くわさなかった。

しかし後日、同じ駐車場を利用している親父の車が車上荒らしに遭い車に積んでいたゴルフバッグが盗まれた。何でも近辺で車上荒らしが多発しているらしい。

張り込みをしていた理由はこれで判明したが、「人に疑われていた」ということに対して気持ちのしこりが今でも残っており、8月になると、

「あ~、真夜中に人に疑われた月ね~」

と今でも思い出す。








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