クラシック音楽館に寄せて〜管弦楽のためのラプソディ
クラシック音楽館「いま届けたい音楽~音楽家からのメッセージ」で、外山雄三の「管弦楽のためのラプソディ」が演奏された。
まず、指揮者の広上淳一のメッセージから(番組中のテロップから引用)
広上さんの、言いようのない怒りが感じられるメッセージだった。
そんな広上さんの指揮で、指揮者でもある外山雄三作曲の「管弦楽のためのラプソディ」が演奏された。
N響の海外演奏旅行のために作曲され、日本人にとって「日本らしさ」を感じる曲になっている。
日本の民謡が主題に使われており、「あんたがたどこさ」や「ソーラン節」等が入り乱れる前半、「信濃追分」がフルートによって奏でられる中盤、「八木節」で激しく盛り上がる後半に分けられる。
冒頭は、クラベスによるけたたましい連打から始まる。その世界観に、一気に引き込まれる。(この部分のテンポが演奏によって違うので、聴きどころの一つ)
ミュートトランペットにより「あんたがたどこさ」が奏でられ、まるで懐かしい場所に来たかのようだ。
そこから、「ソーラン節」や「炭坑節」などが次々と重なり、入り乱れていく。このごった煮感が何とも心地よい。
続くピッコロと小太鼓のシンプルな音楽に、日本民謡の力強さを感じる。(テンポは速いけれど、串本節かな?)
鈴の音にいざなわれて、フルートによる「信濃追分」が奏でられる。(ここも、演奏によって特徴的なので、要チェック)
そして、拍子木によって静寂が破られ、祭の始まりを告げる。
いよいよクライマックス「八木節」である。このリズム感は日本人のものなのか、それとも人類が皆持つものなのか。それくらいに根源的なリズムと拍子に心動かされる。
最後に、冒頭のクラベスが再び戻ってきて、壮大に幕を閉じる。
広上さんの、「今に見ていろ」という思いにぴったりな、強力なパワーを持った曲である。様々な思いをふっとばしたい人に、おすすめの曲だ。
一方で、いろいろなものが混とんとして混ざり合うことの魅力もここにはある。
必ずしも、秩序だってあるばかりが、世界ではないのだ。混とんとした中から生まれるエネルギーもある。混とんとした中だからこそ得られる一体感もある。
多くの魅力を持つこの曲は、演奏による違いが楽しみやすい作品なので、ぜひいろいろな演奏で、お楽しみいただきたい。
作曲した外山雄三の指揮による演奏がこちら。
個人的には、こちらの熱演も好きです。(ただし、前半カットあり)
特にフルートが、熱い。
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