芳丸

すべて虚構と思ってください。 https://lit.link/yoshimaru2…

芳丸

すべて虚構と思ってください。 https://lit.link/yoshimaru2327

マガジン

  • 制作したもの

    展示の記録など

  • 雑記

    日記もどき

  • 短歌

  • 夢の記録

    みた夢の記録 適宜改変を施してあります

最近の記事

  • 固定された記事

【短歌】きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている

首元にかるい木綿の肌触りどうせ脱ぐ服どうせ死ぬ人 きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている 白雪を穢して惜しむこともない僕は地獄に堕ちるんだろう 降る雨も恥じらうような安寧があなたの眠りでありますように 木枯らしに揺れる信号機がならぶどうやら日々はしばらく続く ゆうやみの見知らぬ風にさらわれることが幸福なのだと知った 未だ見ぬ傷の痛みを生まぬため小指の糸を噛み切っている でも いずれ きみとわたしは別れるし平気な顔でケーキも食べる 制服で、だけれどわ

    • 夜食のパンが思ったより油っぽくて悲しかった

      自分が人との関わりに飢えるような人間だと思っていなかった。失望した。この側面は精神衛生の保持を自己完結させたいというわりと畢竟の願いと矛盾しているので、加えて人間関係を保つ努力ができないという自覚もあるので、なんというかここしばらくずっと戸惑っている。戸惑いを持て余して飢餓感に目を瞑っていたら周囲のすべてが敵のように思える時間もさいきんは増えてきた。自分にだれかと敵対するような価値のないことはもちろん知っている。 周囲の人間関係はすべて裏で繋がっており、自分をいつか徹底的に

      • 【短歌】葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる

        葬列へさえも日差しは降りそそぎあなたの薄いまぶたをなぞる お変わりはございませんか本日はお日柄もよくとりあえず死ね がら空きのエレベーターが昇ってくたかが生活たかが人生 まどろみのさなかに死ねる破れかけの卵の中で腐っていれば ぼくの手が消えたいきみの手を救うその手できょうは羽虫を潰す 「愛」の語を作った人は誰ですかあなたのせいでずっと苦しい 母親の通勤路沿いに新しいパン屋ができたらしい死にたい けんもぐもつかないことをことさらにつまずけぬままあるきつづける 明

        • 【夢】精肉工場へ歩く

           隣の市にある精肉工場へ徒歩で向かう。所要時間は40分ほど。最近は運動が足りていないし、散歩は好きなので問題ないだろうと思う。 目的は何かの調査だった。大学に提出するちょっとしたレポートを書くために必要なのだ。  知らない道をまっすぐに歩く。初夏の空は気持ちよく晴れており、町の雰囲気も、心地よく溌剌とした感じだ。  前を見やると、ごく新しい、前衛的なデザインの、公共施設であろう場所を道が突き抜けていた。道なりに私も施設の中へ入る。白くて天井が高くて、きれいだ。歩道が両脇に

        • 固定された記事

        【短歌】きらきらと川は斜陽を跳ね返し明日の不安を嘲っている

        マガジン

        • 制作したもの
          2本
        • 雑記
          12本
        • 短歌
          5本
        • 夢の記録
          1本

        記事

          展示記録「ホワイトアウト」

          展示期間の終了に伴い、連作「ホワイトアウト」の記録を残します。 展示のようすほろび さいごに顔をよくみせて。 ぎこちなく微笑むあなたは、 それでもこの世の何より愛おしい。 あなたの無垢が、 無垢のままで凍てつくこと それがこんなにも嬉しい。 きっと俺はひどいやつなんだろう。 この期に及んでも、 あなたはわたしになにも告げてくれない。 ぜんぶわたしから見えないように、 自分の背中に隠して いたずらっぽく笑っている。 あなたがわたしから、 世界の残酷さを隔ててしまうこ

          展示記録「ホワイトアウト」

          すべて過去になればいい

          北極星がみえなくなりました。自分の吐き出すものはもっときらきらしていて、毒々しくて、あらゆるものが神経を苛んでもその輝きが増すのならすべてを飲み込めたはずなのに そのよすがすらなくなりました。 欲求の扱い方を学ぶべきだったと思っている。自分の欲求を伝えるとき、叶えてもらうとき、痛みを伴わなかったことがない。楽しい思い出もたくさんあったはずなのに、車を運転する疲れた横顔や、とり返しのつかないことに小言を垂れる口元しか思い出せない。 みんな、心の中では怯えと不平と、苦い疲れに

          すべて過去になればいい

          弟に自分の手を引かせてしまった日のこと

          言葉にしてしまえばあまりにもあっけなくて、自分の苦しみ悩みの矮小さにうんざりする。人から可哀想だと思ってもらえる可能性にまだみっともなくしがみついているから。 夏の帰省のさなか。祭の日。家族での外食からの帰り際、弟が打ち上げ花火を見たいと言い出した。嫌がる母と弟との交渉の末、弟が暫く祭を見たあとに母が車で迎えに来ることになったらしい。人ごみに弟が一人で混じることを勝手に心配したわたしは彼について行くことにした。 人の流れを縫って屋台などを見ているうち、人ごみに少し気が滅入

          弟に自分の手を引かせてしまった日のこと

          【短歌】地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている

          地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている 晩酌のチューハイ缶は燃えるゴミはやく地球を壊したいので 失恋の予行練習かさねてはまだ見ぬ傷をなぐさめている 思い出を残して窓は閉ざされる23時のベルトコンベア あおじろく眠れぬ夜を媒介に布と肌とが溶け合っている 手放した車椅子へと射す西陽あなたのための世界の終わり つらいとか死にたいとかじゃないんですただ救済が足りないんです 聞く価値もなしと思えば手のひらに溜まりゆくのは下の句ばかり 売りつける相手を選

          【短歌】地表ごと灼く祈りにも似た冬を死ぬまできっと待ちわびている

          どこですかここは

          自分から外へ出て行かれない。 相対的にしか相手と同じ立場に立てない。  にんげんは頭の中に全員違う機構を持っているかもしれない。 だとすれば比較にすら意味はない。 自分よりも外へ出て行けないことは嫌じゃない。なぜならそれは自分という器が堅牢であることの裏返しだから。わたしは自分という単位や個人という単位を重視する傾向があるからそれ自体はべつに苦しい事じゃない。この意味でわたしは至極近代的な人間かもしれない。 結局わたしはいつだって自分についてしか話さないし自分のことしか

          どこですかここは

          自分依存という極論

          眠れない。 友人とCoCで遊んでもらう予定だったが、夕方からの頭痛が治らず直前になってやすませてもらうことにした。すぐに床についたが眠れない。22時54分。頭痛は画面を見られるくらいにはマシになった。が、2時間強の時間を眠れずに布団の上で過ごしてしまった。やるべきことも人との約束も、なにひとつ成せないままに、明日からがんばるために休むことすらできずに頭の中を駆け巡る思考の拷問に負けて今、こうしてブルーライトを浴びている。 身体的な症状が出ると安心する。警告としてひじょうに

          自分依存という極論

          きっと私は自分を持てあましたまま死ぬ

          自覚が行動へうまく反映されないのは困りものです。 わたしは後ろ向きな人のことばが好きなので、後ろ向きで身勝手なことばをつい公開してしまいます。この記事は、後ろ向きな人のことばがあまり好きではない人は読まないほうがいいと思います。 いろいろと試しましたがわたしにとって告解にいちばん適しているのはこの名義のようです。これは再読も添削もせずに吐き出したことばをそのままに保管するという試みです。それを公開するのはなぐさみを期待してのことでしょうか、だとしたらそんなに浅ましいことは

          きっと私は自分を持てあましたまま死ぬ

          お迎えが欲しい

          初めて酒を飲んだ。常日頃、絵を描こうとしたり包丁を持ったりすると手が震えることがあり、困っているのだが、酒を飲んだところぴたりと震えが止まったので驚いた。飲酒経験も無い癖にいつの間にかアルコール中毒の症状でも備えていたのだろうか?調べてみると本態性振戦という種の手の震えにはアルコールで治る特徴があるようだがよくわからない。素人診断は危ない、何度もそうやって自分に症状を与えようとこじつけを行って痛い目を見てきた。私は強迫性障害でもADHDでもなくただの怠惰で打たれ弱い健常者なの

          お迎えが欲しい

          【短歌】ななつだけ叩いてひっくり返す夜 傾眠持ちのあなたの枕

          柔らかいあたたかい肉わるいこをきちんと𠮟ってあたたかい肉 夕暮れになったらストーブつけてよしたまに風呂場で泣いててもよし 先生はああ叱るかもしれないが俺はあなたの日本語 好きです ああ無情、日曜ひとつ殺したよ 次はどの桃もぎに行こうか すれ違い殺してないか確認し去り際にまた殺した気がする 人間ががんばって四季をずらしたので赤とんぼはいま冬の季語です 殖えるにはヒトが一匹足りなくて切る、生物学的な幸福 もう今日は冷水浴びず済むようにブレザーにかけた朝の牛乳 籠の

          【短歌】ななつだけ叩いてひっくり返す夜 傾眠持ちのあなたの枕

          彼岸の造花

          「斯して事件は幕を閉じた。」 それで、 私を手にかけたのは 結局誰であったのか? 最早、取り立てて記述する までも無いだろう。 物語世界に囚われないと雖も、 私の存在しうる此処が どこまで行っても 舞台上 であることに 変わりは無いのだから。

          彼岸の造花

          日記を晒す(2022年5月)

          病んだ自分の日記が好きだ。頑張って生きていてなんだか滑稽味がある。 本当に何もできないときは日記なんかつける気力も当然無い。こういう文章を書けている時はその分の気力というか、エネルギーが余っているのだろう。 某日 学校嫌すぎて布団でスプートニクの恋人を読んでた。行かなくてもいい大学に行きたいって言って行かせてもらってるんだから学校行きたくないとは言わないと決めてたけどここでくらい許されたい。特に何もないんだけどまだまだ学問が頭に入ってこない、っていうか元の調子に戻ることなく

          日記を晒す(2022年5月)

          名前の話

           自分の名前が嫌いだ。    完全に名前負けしている。そのうえ読みにくい。さらに氏と名の取り合わせが悪い。白米に苺ジャムをぶっかけたような、バランスの悪い名前だと思う。  特に読みが嫌いだ。常用の読みからは当然のごとく外れているし、口頭では聞き取りにくい。自己紹介の時はいつも憂鬱だ。一度発音しても大抵正しく聞き取ってもらえないので、「あいうえおの『あ』に、かきくけこの『き』に……」を文字数分繰り返す。こんな人間の紹介に余計な時間を取ってしまい申し訳ないと思う。と同時に小学校

          名前の話