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自分依存という極論

眠れない。

友人とCoCで遊んでもらう予定だったが、夕方からの頭痛が治らず直前になってやすませてもらうことにした。すぐに床についたが眠れない。22時54分。頭痛は画面を見られるくらいにはマシになった。が、2時間強の時間を眠れずに布団の上で過ごしてしまった。やるべきことも人との約束も、なにひとつ成せないままに、明日からがんばるために休むことすらできずに頭の中を駆け巡る思考の拷問に負けて今、こうしてブルーライトを浴びている。

身体的な症状が出ると安心する。警告としてひじょうにわかりやすいからだ。夕方になると頭が痛み、熱っぽい。文字の内容が頭に入ってこない。ものを食べるとえずいてしまう。息を吸い込むと胸郭がずきずき痛む。片耳が数秒聞こえにくくなる。もはや日常の一部となりかけている症状だが、この程度であれば休むには足らないということも同時に経験則で知っている。もちろんわたし専用の経験則なので、仮に同じ症状に苦しむ人がこの記述を読んでも、これを根拠に自分に無理を強いるようなことのないように願う。

他人の精神状態は目に見えない、わかるのは自分だけ、だから自分で管理して面倒を見なければならないといった話はよく聞くけれど、自分だって自分の精神状態なんかわからないのではないかと思う。わかる、とは感じる、という意味でもあるし、感じたうえで状況判断をする、といった意味でもあるだろう。主観が主観に対して判断などできるのか、とか、シニフィアンとシニフィエの問題だとか、付随する疑問や問題はいろいろあるけれど、わたしの場合一番大きな問題は、自分が苦しいと思ってもそれを信じられないということだ。(これに限った話ではなく、わたしは自分の問題に対して論理的に感情を制御するのがとことん苦手だ)

長期休暇の終わり、ちょうど自室で色々とぐちゃぐちゃになっていたタイミングで人から電話をもらい、その電話口で泣き喚き、休学させてください、と口走ってしまったことがある。相手のほうも、いまのあなたの状態だったら自分も休んだほうがいいと思う、というようなことを言ってくれた。すると、それまであんなに休みたいもう無理だとしか考えられなかった頭がすっと冷え込み、いや、自分は休めない、さっきのは怠けて苦しいふりをして休もうとしただけかもしれない、というような弁解が口から流れた。

その後も休みたい、いややっぱり怠けられない、助けてください助けてくださいと捲し立てるだけ捲し立ててしまった覚えがある。改めて思い返すと、これだけ人に迷惑をかけている自分の未熟さに顔が熱くなる。

こんなに優しさをもらってもまだ世間を妬んで、寂しい愛されない助けてくれと叫んでいるのだ。まったく自分の欲深さに自分ながら呆れる。
もちろん自覚しているからといってなんの情状酌量の余地もありはしない、ともわかっているつもりだ。残念ながら。

話がずいぶん逸れたが、要するに自分の苦しみに対して怠けるためのポーズではないかと疑ってしまう癖が抜けない、ということだ。本当に限界になったらそんなふうに自分のことを(形式的にではあっても)外側から検討する余裕などないだろうとか、いまも自分の苦しみを矮小化するための言い分を気づけば述べてしまう。

頭の中に苦しみを主張する子供っぽい自分とそれを監督指導する自分がいる、といったような構造も、いろいろなところで説明の際に使いがちではあるのだが、まだ腑に落ちかねるところもある。

また話が逸れた。ところで、一方でこのとおり、わたしは自分の認知の歪み(?)をいちおうは認識できている。ひいては、自分が自分の感情に対して向けるこの疑惑が自分にとって問題だということも把握はしているつもりだ。どの基準に照らして問題かというのは、平たく言えば自分が目指すよりよい精神構造なのだが。

永田カビさんのエッセイ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に、他人に頼るよりも自分で自分を大事にしたほうがいい、といった一節がある。この一節に出会ったときからずっと、この状態になりたい!と思い続けているし、いろいろと作戦を試してもいる。
が、まだまだ自分で自分を大事にできている実感はわかない。

amazarashiにもこんな歌詞があった。

あくまで未定の生存 「自分を大事に」とかって正論
言いたいだけだろ もううるせえよ

amazarashi「ヒガシズム」,https://apologies.jp/lyrics/detail/62/

引用文献の書き方で学問領域ってバレるのかな。

「自分を大事に」というのは自殺防止とか、そういった文脈なんだろうけど、いまのわたしに引きつけた誤読が許されるのならば、人との関わりあいのなかで助けを得ようとしながら人に助けられることができない苛立ち、と読んでおきたい。

それか、自分を大事にしようとしてもできない苛立ちとか。

怠けたいときと休むべきときってどう見分ければいいんですか?

どうしたら腕から血をだらだら流しながら約束の通話に入らなくてすみますか?

自分を絶えず責めてくる頭の中の誰かってどうしたら黙っててくれるんですか?

なにひとつわからないまま今日も終わりを迎えてしまった。

とりあえずまた横になってみる。朝まで少しでも眠れたら、試しに自分を褒めてみようかな。

ほんとうに好きな書籍なので最後にまたリンクを張っておきます。


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